第357話 【まだ続くよ迷宮攻略・1】


 ボス討伐後、俺達は互いに労い合った。

 久しぶりに緊張感がある戦いが出来て、クロエとレイは満足していた。


「流石に迷宮の半分だから、結構やれる相手だったね」


「自分と同じ行動してくるって、今までにない体験で凄く面白かった」


 そんな感じで俺達はボス部屋を出て、メイの待つ報酬部屋やってやって来た。


「ジン様達の攻略速度が速いのは理解していましたけど、まさかこんなに早く50層まで攻略するなんて、迷宮妖精として働きはじめての光景です」


 メイは俺達の攻略速度がこれまでの攻略者とは違って、圧倒的に早い事に物凄く興奮していた。

 そして50層突破の報酬をメイは出し、俺達はそのアイテムを確認した。

 50層突破のアイテムは全部で2つあり、一つはこれまでも貰ったメイの呼び出し券だった。

 今の所、溜まり続けているが次の報酬部屋が100層攻略時という事を考えると、クロエ達はこの期間に使いそうだ。


「んで残りの物だけど……これまた気になる物が出て来たな」


 50層突破の言わば本命の方の報酬、それは迷宮住宅内に設置されていたあるゲートへの入る券、迷宮商店街への入場券だった。


「住宅街に入った時から気になってたけど、50層突破で使えるようになるんだね」


「逆に50層突破まで使えないという事は、それなりに物も良い物が用意されてそうだな……」


「ずっと気になってた場所だったから、この後行ってみようよ!」


「そうだな、どんなものが用意されてるのか気になるし行ってみるか」


 レイの提案に俺はのって、メイとお別れをして俺達は安全地帯に戻って来た。

 そして、住宅街の奥にある商店街へ俺達は向かった。

 商店街というだけあって、沢山お店が立ち並んでいて服屋やアクセサリー屋等といった雑貨系のお店も普通にやっていた。

 お店をやってる人は執事と同じく、迷宮人という神が用意した人達で俺達が来た事に驚いてる人達が何人か居た。


「お店の人達も驚いてたって事は、こんなに早く来るのはやっぱり私達が最初みたいだね」


「そうだな、準備中の店があったくらいだからな」


「一番気になってた素材屋が準備中だったのは残念だ……」


「珍しく興味沸いてたのにね。残念だね~」


 迷宮商店街を一通り見て回った俺達は、家に戻って来て商店街の様子について感想を言いながら昼食を食べていた。


「それで皆と話そうと思ってたんだけど、50層からについてだけどどっちの方向性で行く? 探索メインか攻略メインか、今まではどちらかというと攻略メインの動きでレンに満足のいく採取する時間を作れてなかったから、俺は残り50層もあるなら暫くは探索メインでもいい気はしてる」


「私も探索で良いよ。ここまでレン君には我慢してもらってたし」


「私も~、それにメイちゃんと会いたいなら券使えばいいしね~」


 探索か攻略、どちらで行くか聞くとクロエとレイはここまでレンに我慢してもらったというのもあってかそう言った。


「俺としては嬉しいけど、良いのか? もしかしたら、抜かれるかも知れないぞ?」


「まあ、そこは状況を見ながら行こうとは思ってるよ。ただ50層以降は、メイも言ってたけど神様が難易度を調整したって言ってたから、じっくり楽しみたいってのもあるんだよな」


 報酬部屋で報酬を受け取った後、俺はメイから50層以降の迷宮について少しだけ情報を聞いた。

 その際、俺が渡した情報をもとにして神様は迷宮の難易度を調整したみたいらしく、50層以前よりも難しくなっていると聞いた。

 それを聞いたクロエ達は喜んでいて、多分それもあって探索をメインにしても良いと言ったんだと思う。


「取り合えず、50層以降の攻略は明日からするとして、今日の所は休んで明日に備えようと思う。俺はまた王都に戻って、新しい情報が無いか聞きに行こうと思うけど、皆はどうする?」


「あ~、それなら俺も一旦拠点に戻って研究したいから、俺も王都に戻ろうかな」


「私は特に予定もないし、さっきの商店会をもっかい見てこようかな?」


「あっ、それなら私もクロエちゃんと見に行く~」


 俺とレンは王都に戻り、クロエとレイはそのまま迷宮内に戻る事が決まった。

 そして食後、俺とレンは一緒に迷宮を出てレンは拠点に行き、俺は冒険者ギルドへと向かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る