第356話 【攻略争い・3】
迷宮の家に戻ってきた俺は、ハンゾウから受け取った資料を神様に渡した。
「わ~、こんな直ぐに? ありがとね! 凄く助かるよ」
神様はチラッと資料を中身を見ると、綺麗に作られている資料に驚きながらそうお礼を言った。
そして、今回の頼み事の報酬として俺達が持つ、迷宮の図鑑を更に強化してくれた。
その強化内容は、未発見のアイテムでも一日に1つまでなら開放されて、何処にあるのか教えてくれると言う機能だった。
「どうかな? 今まで迷宮内での君達の行動を見てて、考えてみたけど」
「変に凄い物よりも実用的ですし、攻略がこれ以上楽になる事は無いので良い物です。皆もそう思うよね?」
そう皆にも聞くと、クロエ達も頷いていて特にレンは「直ぐに必要な物が知れるのは有難い」と嬉しそうにしていた。
その後、神様は最下層でまた会えるのを楽しみに待ってるよと言って消えた。
「ジン君と居たら、本当に凄い事ばかり起こるね」
「まさか神様にまで会うとはね~、本当に凄いよ」
「本当にな」
クロエ達は俺の事を見ながらそう言うと、俺はユリウス達に向けての手紙を書いて執事に出してもらうようにお願いした。
それから俺達は再び迷宮攻略に戻り、今日の目標の40層まで攻略してからこの日は少し早いが休むことにした。
「このままのペースで行けば、明日にはメイちゃんにまた会えそうだね」
「そうだね。明日も攻略頑張ろうね」
クロエ達は今日の攻略状況から明日にはメイに会えると確信しながら、嬉しそうにそう話していた。
「まあ、何処で難しくなるか分からないけど、このまま順調にいけば明日には50層に到達すると思うな」
「図鑑を見た感じ、50層以降は更に色んな素材があるらしいから、俺はそっちを早くみたい」
レンは図鑑を見ながらそう言って、明日も頑張ろうと言ってその日はそれぞれの部屋に入り休む事にした。
翌日、朝食を食べた後、昨日は直ぐに攻略に向かったが俺達は少しだけ家でゆっくりしていると、執事から「お客様です」と呼ばれた。
「やっぱり、ジン達は一番いい所に住んでたんだな」
「迷宮の入口以来ですね。ユリウスさん、アンジュさん」
家にやって来たのはユリウスとアンジュさんで、アンセルはこの場には居なかった。
玄関だ立ち話をするのもと思い、俺はユリウス達を家の中に招き入れた。
そして家の中に招いたユリウスさん達と、今の攻略状況等の話をした。
「ジン達が先を行ってるとは思ってたけど、既に40層まで攻略していたのね……私達と10層以上も離れているわね」
「10層という事は、アンジュさん達は30層付近何ですか?」
「ええ、昨日丁度29層まで攻略して今日はこの後に30層に挑む予定よ」
そうアンジュさんが言ったので、俺は何も考えず「ボスの攻略方法教えましょうか?」と言った。
「ジンの優しさは分かるけど、私達には必要ないわ」
「うん。そんな現状、迷宮の攻略争いをしてるジン君達から、情けを掛けて貰う必要はないよ」
「あっ、そんなつもりじゃ……いや、そうですね。そう聞こえますね。すみません」
俺は咄嗟に出た言葉がある意味、ユリウス達を貶してる事に気付いて謝罪をした。
そんな俺の謝罪にユリウス達は「優しさで言ってくれたのは分かってるから、大丈夫だよ」と言ってくれた。
「さてと、お互いの近況報告も終わったし、そろそろ攻略に向かうよ。ジン君達に負けない為にもね」
「はい。俺達もユリウスさん達に追いつかれないように、より一層頑張りますね」
「ふふっ、どっちのパーティーが先に攻略するか楽しみね」
それからユリウス達は家から出て行き攻略に向かい、俺達も準備をして迷宮の攻略に向かった。
ユリウス達と会った事で、より一層指揮が高まった俺達は攻略速度を更に上げ、探索もしっかりとしながら攻略していった。
そして俺達は遂に、メイが待っている50層へと到達した。
「この迷宮の半分の地点、それに昨日神様に資料を渡したからもしかしたらボスの難易度が難しいかもしれないね」
「……ワクワクしてきた」
「戦い甲斐のあるボスが出てきてくれるね」
「早く攻略して、先の素材を採りたい」
三人はそれぞれの思いを胸にしているようで、俺はそんな皆を見てボス部屋の扉を開けて中に入った。
50層ボス部屋、そこは広い空間に4つの石像が並んでいた。
「第50層ノ試練を開始スル」
突如、ボス部屋に機械音声の様な音が流れると、石像達は急に動き出した。
石像の内2体は杖を持ち、残り二体はそれぞれ刀と戦斧を地面から取り出した。
「……ねえ、あの構えどこかで見たような」
「あの石像、俺達の動きをコピーしてるな」
そう俺が予想した言葉を口にすると、刀持ちの石像は俺と同じような動きをして攻撃をしてきた。
自分と全く一緒の動き一瞬驚いたが、能力までは完全に一緒という訳では無かった。
多分、50層に合わせたレベルに設定されているのだろう。
「動きは一緒だけど、能力までは同じじゃない! 慌てず、対処をするぞ!」
そこまで理解すると、俺達は自分の石像相手に反撃に出た。
いくら動きが一緒だからと言って、これまで積み重ねて来た力まではコピーされていない。
その為、多少動きに驚かされながらも俺達はそれぞれ自分の石像を倒し、無事に50層のボスを討伐する事が出来た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます