第342話 【温泉宿での休暇・2】


 旅行二日目、俺は朝早くに温泉に入ろうと思い起きてすぐに着替えを持って、温泉に入りに向かった。

 その際、昨日の様にならない為に従業員の数人に、風呂場が男女逆になってないのか等をシッカリと確認してから入る事にした。


「ふ~、朝風呂も気持ちいいな……」


 普段だと殆どしない朝風呂を堪能してる俺は、全員湯舟に入りのろけきった顔になっていた。


「……そう言えば、寝ころび湯もあるって看板に書いてあったな、そっちにも行ってみようかな」


 男女別で作りが少し違っていて、今日の男湯には普通の露天風呂と横に慣れる寝ころび湯もあると看板に書いてあった。

 俺はその〝寝ころび湯〟が気になり、今入ってる湯舟を出てそっちに向かった。


「あれ、ルークさん? ルークさんも温泉に入りに来てたんですね」


「まあな、折角の温泉宿だから普段は朝に風呂なんて入らないから、普段しないような事をしようと思ってな、そういうジンも同じ感じか?」


「はい。折角の温泉旅行なので、温泉を堪能しようと思いまして」


 そう言って俺はルークさんから少し離れた所に入り、横になった。

 うん、これはこれでいいな……首上だけが濡れないようになってて温度も少しだけ下げられてるから、良い感じに気持ちが良い。


「ハハッ、ジン。物凄いとろけきった顔だな」


「そうですか? でも、滅茶苦茶気持ちいいですよね」


「それは分かる。俺もこんなに温泉が良いなんて知らなかったから、次の休暇からはこの宿を使おうか迷ってるよ」


「俺達は絶対に使いますね。というか、次からは旅行気分よりも温泉宿で過ごす時間を取ると思うので転移でパッと来ると思います」


 正直、旅行気分を味合うのもよかったがその分も温泉宿で過ごす時間を増やす方が良いなと思った。

 多分、次の休暇この宿を使うなら転移で直ぐに来ると俺は考えている。


「ジンはそれが出来るから良いよな……やっぱり、【空間魔法】って便利なのか?」


「便利ですよ。かなり限られた人にしか扱えませんけど、これが誰でも扱えるスキルだったら過ごす事になっていたかも知れませんね」


「そうだよな~、一瞬で遠くまで行けるなんてマジでいいよな……」


 ルークさんはそう言うと、「俺も才能があったらな……」と願望の様な事を口ずさんだ。

 まあ、こればっかりは叶えられないからな、才能が無いと【空間魔法】は使えないし、その中でも転移は難しい魔法だからな……。

 それから俺達はこの話題は面白くないと思い、話題を切り替える事にした。


「そう言えば、休暇が終わったらジン達は冒険者活動を再開するんだろ? 再開後はどこか行くとか決めてるのか?」


「一応、迷宮に行こうかなとは思ってます。正直、強い敵が居る迷宮くらいじゃないと俺達も戦い甲斐が無いので」


「まあ、確かに平均レベル80超えでジンはレベルを100超えてるから、そう思うのも仕方ないか……でもジン達って3年間の旅の間に、かなり迷宮を攻略してなかったか?」


「……そうなんですよね。その時にあらかた攻略してしまってて、何処に行こうかで話し合ってるんですよね」


 3年間の旅の間、俺は自分の知識の中にある迷宮には殆ど行っている。

 行った事の無い迷宮も中にはあるのだが、それは有能なアイテムもなければ敵もそんなに強くなく、行く価値が無い場所ばかりだった。

 それで俺達は何処に行くかで、ずっと悩んでいる。


「羨ましい悩みだな全く……でも、そんなジン達に耳よりの情報があるんだが知りたいか?」


「えっ、なんですか?」


「実はな旅行に来る前にギルドで、知り合いの冒険者に聞いたんだがデュルド王国に新しい迷宮が出来たらしい。それもかなり大きい迷宮で、今はギルドが調査してる段階だって言ってた」


「それ本当ですか?」


 その言葉を聞いた俺は、バッと起き上がりルークさんの方を見た。


「ギルドにも確認した。んで、その調査段階中の迷宮がどれくらい大きいのか聞いたら、これまでデュルド王国にあった迷宮の中でもかなり上位に入るくらいには大きいって聞いた」


「情報提供ありがとうございます。王都に帰ったら、俺も自分で調べてみますね」


「おう。俺達はその迷宮には直ぐに挑戦する予定じゃないから、攻略したら情報提供よろしくな」


 その後、俺は風呂から上がるとクロエ達を集めて、ルークさんから聞かされた迷宮について話をする事にした。

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