第341話 【温泉宿での休暇・1】
ある事件によって、折角温泉に来たのに体力を使った俺だったが仮眠した事で何とか回復できた。
「そろそろ、夕食が出来るってよ。移動する?」
「んっ、そうだな皆を待たせちゃ悪いし、少し早いと思うけど移動するか」
レンに起こされた俺はそう言葉を返して、一緒に大部屋の方へと移動した。
大部屋には既に人が大体揃っていて、俺達は自分の名前がある席の所へと座った。
「あれ、ジン君。寝癖が付いてるけど、寝てたの?」
「あっ、うん。ちょっと温泉に入ったら、気持ちよくなっちゃってそのまま風呂から上がった後、そのまま寝てたんだよ」
「そうなんだ。まあ、確かに温泉は気持ちよかったもんね」
ニコニコと笑うクロエに対して、俺は内心バレてないみたいで良かったと安心した。
それから師匠達やルークさん達も大部屋へとやって来て、全員が揃ったところ夕食が届き、皆で夕食を食べ始めた。
「このツケモノ? って言うの、王都には無かったけど意外と美味しいね」
「うん。こっちの味噌汁は王都にもあったけど、このコリコリ感が良いね」
宿の飯はゲームで出ていた通り、和食がメインの様で白米に味噌汁、漬物などが用意されていた。
王都には味噌はあったが、漬物は出回っておらず久しぶりに漬物を食べた俺は久しぶりに味合うこの食感に懐かしさを感じていた。
皆も漬物の食感が気に入ったのか、美味しそうに食べていた。
「師匠も気に入ったみたいですね」
「ええ、この食感気に入ったわ。旅をしてた間、見た事も無かったから食べ物が来た時から気になってたけど、こんなに美味しい料理があったなんて、まだまだ料理には未知な部分が多いわ」
師匠はそう楽しそうに言うと、ナシャリー達も美味しそうに食べていた。
それから食事を済ませた俺達は、そのまま大部屋で少しだけ一緒に過ごして、それぞれの部屋に戻っていった。
「なあ、ジンって今レベルいくつになってるんだ?」
部屋に戻り、寝る準備をしているとルークさんからそう聞かれた。
「レベルですか?」
「ああ、聞いたら駄目なら別に良いんだが、ほら悪魔を倒したり国を潰した英雄のレベルか気になってよ」
「ルーク、人にレベルを聞くのはマナーが悪いぞ? 仲間ならまだ分かるが」
「いや、別にいいですよ。ルークさん達には昔からよくしてもらってますし」
そう言って俺は、ルークさん達に今のレベルを教えた。
「ひゃ、100だと?」
「……悪魔を倒した実績とか考えから、おかしくは無いが。ジンって、まだ15歳だよな?」
「15歳ですよ。まあ、もう直ぐ誕生日なのでほぼ16歳と変わりませんけど」
「だとしてもおかしいだろ……3年前の時点でジンの強さは異常に高い事は気づいてたけど、まさかレベル100を軽く超えていたとはな」
ルークさん達はそう頭に手を当て、驚いた様子で居た。
「なあ、レン達ももしかして、100近いのか?」
「ジンと一緒にしないでくださいよ。パーティーの中でおかしいのは、ジンだけですよ。ジンを除いた他は大体80前後です」
「だとしても、年齢から考えると高い方だろ……」
レンの真剣な言葉に対して、ルークさんは呆れた様子でそう返した。
その言葉にレンは、「えっ? 俺達もおかしいですか?」と聞き返した。
「ジン程では無いが、普通ではないのは確かだな……才能とか努力の差でも変化するが、レン達の歳でその域に達してる奴は俺はお前等以外見た事が無い」
「同じくだな、それこそ獣人国とか戦いを好む種族が多い地域であれば、また違っては来るだろうけど、その中でもレン達のレベルは高い方なのは間違いない」
俺が近くに居る事で常識が崩れていたレンは、ルークさん達の言葉を聞いて「俺達もおかしいのか……」と少し落ち込んだ様子でそう言った。
「それにジンの場合、レベルの他にもおかしな所は沢山あるからな……師匠が魔女だなんて、本当にジン位だろうな」
「確かに、でもそんなジンの最初に技を教えたのは俺達ってのもおかしな話だけどな」
「それな、今にして思えば後の英雄に自分達のスキルを教えたって事だもんな」
「ルークさん達に教えて貰ったスキルは、今でも使わせてもらってますよ。本当に凄いスキルを教えて貰いました」
俺のその言葉に対して、ルークさんは「英雄様にそう言ってもらえると嬉しいな」と笑みを浮かべながらそう言った。
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