第338話 【温泉旅行・2】


それから俺はふと、レンのステータスもどうなった気になったので、一旦裏庭から建物内にあるレンの研究室へと向かった。


「レン。今、ちよっと良いか?」


「んっ? ああ、いいよ」


 研究室に居たレンは、休憩時間だったのでソファーに座って休んでいた。


「ジンがこっちに来るなんて珍しいな、何かあったのか?」


「クロエ達と模擬戦闘をしていて、二人のステータスを見たらかなり変わっててさ、そう言えばレンのステータスも全く見てないと思って確認に来たんだよ」


「あ~、確かにジンはずっと忙しなく動いてて、見せる暇は無かったな。んっ、確認していいよ」


 レンはそう言うと、スッと自分のステータスを俺に見せてくれた。


名 前:レン

年 齢:17

種 族:ヒューマン

身 分:平民

性 別:男

属 性:水・光   


レベル:74

筋 力:3418

魔 力:3974

 運 :78


スキル:【水属性魔法:5】 【光属性魔法:5】 【魔力強化:5】

    【剣術:3】    【体術:3】    【集中:5】

    【調合:5】    【錬金:5】    【調理:5】

    【状態異常耐性:5】【付与:5】    【並列思考:5】

    【古代錬金術:5】

固 有:

能 力

称 号:金級冒険者  稀代の錬金術師 加護持ち

    古代錬金術師 歴史を変える者

加 護:薬神の加護


 レンはクロエ達程、レベルや能力が劇的に変わっては無かったが、スキルに名前からしておかしなスキルが目に入った。


「レン。この【古代錬金術】って何のことなんだ?」


「あ~、それか? ほら、ナシャリー様に弟子入りした時に普通の錬金術とは別に、大昔行われていた錬金術のやり方を教わったんだよ。現代の錬金術とはちょっと違くて、スキルも別になってるみたいなんだよ」


「その【古代錬金術】と【錬金術】ってどういう違いがあるんだ?」


「ん~、説明が難しいんだよな……見ても多分分からないと思うけど、違いは錬金術をする際の魔力の動かし方が違うんだ。普通の錬金術は、周りから魔力を与える感じだけど、古代の方は素材に含まれてる魔力を動かす感じで錬金術をするんだ」


 レンは説明が難しいと言いながらも、かなり分かりやすく伝えてくれた。

 そして【錬金術】と【古代錬金術】の使い分け方も、レンは簡単に説明してくれた。


「成程な、素材に含まれてる魔力が多い物は【古代錬金術】を使う方がより良い物が出来て、逆に含まれてる魔力が少ない素材を【古代錬金術】でやると駄目にしてしまうから、【錬金術】じゃないとだめなんだな……」


「そんな感じだ。まあ、現代ではそんな魔力が多く含まれてる素材はそんなに無いけど、ジンが貰って来た世界樹の素材はそれに該当するから、【古代錬金術】で色々と研究してるって感じだな」


 それからレンは今どんな研究をしてるのか見せてくれたが、どれも凄すぎて俺の頭では理解できない物ばかりだった。

 在庫品の中には欠損部位を治す治療薬が沢山あり、最早レンにとってそれらの薬は価値がしたらしい。

 流石、称号に〝歴史を変える者〟なんて称号が追加されるだけある。

 俺達の中で、俺に次いで規格外に成長したのはレンかもしれないな……俺はそう思いながら、クロエ達の所に戻ってその日は一日体を動かす事にした。


「久しぶりに馬車の移動だね」


「まあ、最近はずっと転移での移動だったからね。偶には、こういうのも良いかと思ってさ」


 旅行当日、俺達は用意していた馬車に乗り、目的地の温泉村へと向かっていた。

 師匠達もその馬車の一つに乗っていて、窓から師匠達が乗ってる馬車を見ると師匠達は楽しそうだった。


「ジン君、温泉村までどのくらいで着くの?」


「馬車で4時間って聞いてるけど、この馬車の馬は王都でもかなりいい馬だから3時間くらいで着くとは思うよ。まあ、休憩をはさみながらだからゆっくりと外の景色でも楽しみながら行こうと思うよ」


「3時間か~、結構長いけど逆にそんなに時間を掛けて移動なんて久しぶりだから楽しいね~」


「俺はどちらでもいいな、効能がいいっていう温泉がどんな性質なのかだけが気になる」


 一人だけ研究者気質な事を言うレンに対して、レイは軽く頭を叩き「レン君も休むの!」と怒っていた。

 そんなレイ達のやり取りを見て俺とクロエは笑い、楽しい旅行になりそうだなとそう思った。

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