第332話 【その後・4】


「う~ん、これはまた悲惨な光景だな……」


 元神聖国の首都に近いと瓦礫や、もしかしたら竜人国の作業員の邪魔になると思い、少し離れた所に転移した。

 そして跡地となった場所の所へと向かうと、そこは最早人間が戦った後では無かった。

 草原はボコボコ、街だった所は瓦礫の山となっていて、災害でも起きたんじゃないかと思う程だった。


「まあ、ドラゴンなんて現れたら災害とほぼ同じか……」


 自分の思った事に対して俺はそう言って、他の所も見て回った。

 見て回った結果、何処も人が住めるような土地ではなく、また復興もかなりの時間が掛りそうだなと見て回ってそう感じた。


「……一旦、帰るか」


 見回りを終えた俺は、王都へと戻って来てベッドに横になった。

 まさか、あそこまで酷い事になってるとはな……いやまあ、ドラコンが破壊しても良いなんて言ったら、あんな風になるか……。

 それもドラゴン族も神聖国に対して、かなり鬱憤が溜まっていたみたいだしな……。


「後の事を考えずにやった結果だな……」


 ちょっとだけ反省した俺は、竜人国がこれからあの場所をどうするのか聞こうと思い、今度は竜人国へと転移で移動した。


「神聖国の跡地をどうするかですか?」


「はい。姫様から話を聞いたら、土地は竜人国が受け取ったと聞いたので、これからどう使うのは聞こうと思い、忙しいと分かっていながらこうしてお時間を貰ったんです」


 竜人国へと移動した俺は、王城へとやって来た。

 そして神聖国の跡地について話がしたいと言って、話が出来る人が居ないか聞くと、丁度リュドラさんが現れた。


「そうですね。一応、まずは人が住めるように今の荒れ果てた状況から元に戻そうとは思います。あのまま放置していたら、変な輩が住み着くかも知れないので」


 そして綺麗に片付いたら、これまで自国の近くではやれなかった兵士の訓練が出来る広い土地を確保しようと考えていると聞いた。


「成程、特に都市を作るんじゃなくてまずは片付けを優先するんですね」


「はい。都市を作ってもいいんですが、竜人国としては今の都市設計で十分なので、今の所は演習場しか案は出てないですね」


「……でしたら、その片付けに俺も力を貸してもいいですか?」


 その俺の言葉にリュドラさんは、「え?」と驚いた顔を出して俺の顔を見た。


「あの時、後の事を気にせずとにかく好き放題にやってしまって、思ってた以上に土地が酷い事になっていました。正直、これが同盟国でもあまり知らない国なら、任せようかなとも思ってました。しかし、土地の所有者は竜人国になっていたので俺も力を貸したいなと思ったんです」


「それで突然現れたんですね」


「はい。連絡を入れる事も出来ましたが、急用だったので無理に来たって感じです。それで、どうですか?」


「私達としては有難い申し出です。正直、私達も戦う方は得意ですが片付けは苦手でして、どうするかってずっと話し合っていたんです」


「そうだったんですね。力になれそうで、良かったです」


 俺はリュドラさんにそう言って、今後については後日また来るのでその時に話し合いたいと言い、話し合いは終わった。

 そして話し合いが終わった後、俺は片付けをやる上で必ず欲しい人材の元へと向かった。


「それで、力を貸してもらえないでしょうか?」


「成程、それなら私達も力をお貸ししますよ」


「ありがとうございます」


 やって来たのは隠れ里のエルフの里、ここに住んでるエルフ族だったら森さえも一瞬で直せる。

 その力があれば、焼野原となっている神聖国の草原や森を復活させることも簡単だ。


「聞いた感じ、かなり大変そうですが瓦礫の除去などはお手伝いしなくても大丈夫ですか?」


「大丈夫です。そっちは、なんとかなりそうなので自然の復活さえやって貰ったら助かります」


 そうして俺は心強い味方を手に入れ、王都へと戻ってその日の夕食の時間にクロエ達に暫くの間は跡地の片付けに時間を使うと言った。


「また知らない所で話が進んでるね。それって、私達も手伝える事ある?」


「大丈夫だよ。森とかの復活は、隠れ里のエルフ族に任せる事にしたけど、その他は俺が【空間魔法】で片付けようと考えてるから」


「……まあ、ジンには【空間魔法】があるからな」


 俺の言葉にレンがそう返すと、クロエは「あっ、その魔法があれば片付けも簡単そうだね」と納得していた。


「本当は冒険者活動をしながら、時間を掛けて片付けようと思ってたけど、放っておいたら別の問題が起きそうだなって思ったから、そっちに集中する事にした。皆には、また迷惑を掛ける事になって申し訳ないと思ってる」


「謝らなくても大丈夫だよ。私達のリーダーはジン君だから、ジン君の指示に私達は従うだけだよ」


「そうそう。それにクロエちゃんとの連携技の訓練もしたいと思ってたら、私達としても丁度いいよ」


「俺も研究を進めるだけだからな、各々好きな事をして満足したらまた冒険者活動を再開するでいいと思うぞ。だから、ジンが謝る必要はない」


 俺が謝罪すると、そう皆から言われた。

 その後、俺は皆にお礼を言って、問題解決したら迷宮探索に行こうと約束をした。

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