第324話 【破滅へ・4】
その日、多くの者達は一つの事を思った。
デュルド王国に居る英雄ジンの怒りを買えば、その者はこの世から消されるだろう。
「……人が考え事をしてるのに変な言葉を耳元でささやくの、止めてくれませんか師匠」
俺は閉じていた目を開けて、後ろに一緒にスカイの背中に乗ってる師匠の方へと顔を向けて俺はそう言った。
「ふふっ、弟子ちゃんが凄く悩んでたから、ほぐしてあげようと思ったのよ。もしかして、緊張してるの?」
「いえ、全く。ただどうやって、神聖国を苦しめてやろうかを考えてました。正直、今までの歴史の中でも相当色々とやってますから、国のトップは消すとして、どのように消そうかなと……師匠は、何かいい案はありますか?」
「ドラゴン、魔女、それに悪魔から国を救った英雄の弟子ちゃん達が戦争を仕掛ける以上に、相手を混乱させる事ってあるかしら?」
……まあ、確かに敵からしたら、これだけでも絶望を味合うかもしれない。
「ですが、それだけでは足りません。自分が生きていた事を後悔するレベルで叩き落します」
「流石、マリアンナの弟子ね。頭のネジがマリアンナと一緒で飛んでるわね」
師匠とのやり取りを聞いていたヘレナーザは、俺の事を見ながらそう言ってきた。
それに対して、ナシャリーも「うん、師匠と弟子。似てる」と言った。
「待ってください。師匠がおかしいのは分かりますけど、俺は違いますよ。今回は、あいつらが俺の怒りに触れただけで普段はただの普通の青年です」
「……ジン君はただの青年じゃないと思うよ」
「普通、じゃないね。全く」
「ジン、流石にそれは冗談すぎるぞ」
ナシャリー達の言葉に反論すると、味方である筈のクロエ達からそう言われた。
「弟子ちゃん、自分が変な事は認めるのも大事よ?」
「反論しないと思ってたら、師匠認めてるんですか……」
「ええ、だって私が変なのは事実だものね? まあ、魔女という存在自体がおかしな存在だと、私は思うけど」
師匠の言葉にナシャリー達は「それはそう」と、そこに関しては認めていた。
その後、俺は師匠達と少し話をした事で、怒りでいっぱいだった気持ちが少しだけ楽になった。
だけど、楽になったからと言って神聖国に対する制裁のレベルを下げようと、俺は思う事は出来なかった。
「それにしても、神聖国も馬鹿な事をしたわよね。自分達の行いが正しいと思いすぎた罰ね」
「ええ、神の代弁者気取りで好き勝手やってたものね。今日でその生活が終わるなんて、知らないでしょうね」
「面倒掛けられた分はお返しする。丁度、試したい物もあったし」
三人の魔女は、かなり神聖国に対して鬱憤が溜まってる様子だった。
「三人の魔女に加えて、ジン君を敵に回すなんて神聖国って運が悪いのか、今まで目を付けられなかったのが運が良かったのかのどっちかだろうね」
「半々だと思うよ。神聖国も手を出しちゃいけない所をちゃんと見極めてたら、良かったんだろうと思うけどね」
「一番手を出したらいけないジンの家族に手を出したのが、運の尽きだろうな……そこにさえ手を出さなかったら、こんなドラゴンや魔女が敵になる事は無かっただろうな」
師匠達の話を聞いたクロエ達は、神聖国に対して哀れんだ様子でそう言った。
それからスカイから、もうすぐ神聖国の国内に入るけど、このまま進むのか聞かれた。
「一旦、神聖国の国内に入ったら止まってください。師匠達にはそこで、国を囲う結界を張ってもらいたいんですが、大丈夫ですか?」
「結界ね。わかったわ、それなら私に任せて頂戴。神聖国を結界の効果は、外に出ない様にすればいいのかしら?」
「はい。出来れば、出入りを禁止させたいんですができますか?」
そう聞くと、ヘレナーザは「大丈夫よ」と言うと手をバッと広げて、魔力を広げた。
「はい。出来たわよ。これで、神聖国の国内には誰も出入りする事が出来ないようになったわ」
「ありがとうございます。それでは、このまま神聖国の首都へ目指します」
俺の言葉にドラゴン達は再び動き出し、俺達は神聖国の首都へと向かった。
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