第325話 【罰・1】
それから十数分後、俺達は首都の近くまでやって来た。
「ジン、どうする? このまま首都の上空まで飛んでいく?」
「いや、ここからまずは一般人の避難をさせます。ナシャリーさん、以前空に自分の姿を映す魔道具を開発した事があると言ってましたけど、あれって今ありますか?」
以前、ナシャリーが作った魔道具はどんな物があるのか聞いた事がある。
その際、この世界にそんな物が驚く代物、魔力によって範囲と大きさを決めて自身の姿を空に移す魔道具を作っていると言っていた。
「んっ、必要になると思って用意してた。好きに使っていいよ」
「ありがとうございます」
俺はナシャリーから魔道具を受け取ると、その魔道具に神聖国全体を範囲とさせ、街の上事に俺と威嚇用として竜王の姿を映した。
「はじめまして、俺は冒険者のジンだ。今から、神聖国に戦争を仕掛ける者だ。俺が何故、戦争を仕掛けるのか国の上層部の人間はよく分かってると思う。お前らは、やりすぎたんだ」
俺は魔道具に向かってそう言い、記録用の魔道具を起動させて姉さん達が襲われてるシーンを神聖国の国民に対して見せた。
「ただし、俺も悪魔ではない。今から5分以内に、戦いを拒否する者達は安全な場所へ避難させる。一般人や、神聖国に偶々流れてきていた冒険者達は魔法で安全な場所に移してやるから安心すると良い。だが、俺達と戦うと決めた者達は覚悟するんだな。今日は、お前らの最後の日となるからな」
俺は魔道具越しに圧を掛け、そう締めくくって魔道具を止めた。
それから俺達はその場で待ち、ナシャリーの魔道具で神聖国の事を見ていた。
神聖国は突然、俺の顔が上空に現れ混乱していた。
その中には俺が英雄だという事を知ってる者や、国の中枢の者達が腐ってると知ってる者達が居て、早々に国を捨てる覚悟を決めていた。
「あっさりと国を捨ててる人多いね」
「それだけ、国に対しての信頼が無かったんじゃないかな?」
「まあ、他国に一度でも行った事のある神聖国の人は大抵、自国の悪い所を一回は聞いた事があると思うからな」
あっさりと国を捨てる決意をしていく国民に対して、クロエ達はそんな事を言っていた。
国を捨てようと決めてる中には、神聖国の兵士達も居た。
「弟子ちゃん、兵士達は転移させないのよね?」
「はい。無理矢理だろうと、兵士になった者達ですからね。それに神聖国の兵士達について、情報屋に調べてもらった所、全員では無いですがそいつらもかなりやってるのでそのままでいいです」
「あら、そうなのね。分かったわ」
師匠の言葉にそう返した俺は、そろそろ5分が経つなと思い。
クロエ達に改めて、人との戦いになるけど大丈夫か聞いた。
「うん。ここまで来たし、今更止めようとは思わないよ」
「私も同じだよ。ジン君にだけ辛い思いはさせたくないからね」
「一度決めた事だからな、俺達の事は気にしなくても大丈夫だ」
「……皆、ありがとう。神聖国との戦いが終わったら、暫くは休暇にしてゆっくりとしようか」
俺の言葉に対して、クロエ達は「久しぶりに旅行も良いね」と笑みを浮かべて言った。
そうして俺とクロエの話で、少しだけ空気がよくなった後、5分が経ったので俺達は神聖国へと乗り込む事にした。
「お~、沢山集まってるみたいだな! ジン。あいつらは、我らが相手しても良いのか?」
「はい。俺達は中央に集めた神聖国のトップ達の所に行くので、ヴェルドさん達はその他の所をよろしくお願いします。別に殺しても良いので、思う存分暴れて構いません。後処理は、デュルド王国の国王がやってくれると言っていたので」
「ほ~、人間の王が後処理をしてくれるのか。それは良いな! ならば、久しぶりに思う存分暴れてみるか! 皆の者、行くぞ!」
数百のドラゴン達は、竜王の掛け声に「グルォォォ」と雄叫びを上げた。
更には首都だけには留まらず、ドラゴン達は首都以外の街へも飛び立って行き、ドラゴン達による一方的な無慈悲な攻撃が始まった。
「さてと、俺達は首都の中に集めた神聖国をトップ達の所に行こうか」
俺はそう言って、師匠達と共に神聖国のゴミ掃除へと向かった。
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