第319話 【国の繋がり・2】
会場には既に多くの貴族や、名高い商人達が集められていた。
見た感じ、冒険者は俺達以外には居なさそうだった。
「冒険者は私達だけみたいだね」
「まあ、ランクの高い人達はギルドの頼みで他の街に駆り出されていたり、アンジュさんみたいに貴族を苦手してる人も居るからね」
上のランクになるにつれて、貴族との付き合いをしないといけないからと言って、逆にランクを上げない人も冒険者の中には居る。
そんな話を、ルークさん達から前に聞いた事がある。
それから俺達は会場で発表が行われるまで待っていると、何人か知り合いの貴族の人に話しかけられた。
「ジン君達久しぶり~、元気にしてた?」
「お久しぶりです。ミリアーナさん、ティアナさん」
会場にはミリアーナさん達も来ていて、久しぶりに会い色々と話をしていた。
すると、そこにリオンやレーヴィンが現れ、俺の活躍を聞いて数年前に無理にでも弟子にすればよかったと後悔してるという話をされた。
「ジン君って、本当に色んな人に好かれてるよね」
「俺には無い才能だな、本当に……そもそも、俺の場合は人付き合い自体が苦手だしな」
「レン君、私達意外と楽しそうに話してる姿あんまり見ないもんね」
そんな風にクロエ達に言われると、姫様達が会場にやって来たようで会場がざわついた。
そして姫様達は、集まった貴族達に対して今回決まった重大な内容を発表した。
同盟国、それもこれまでの歴史上無い5ヵ国。
連合国として一緒に魔王討伐に対して、色々と協力していたという過去があるが、かなり驚かれていた。
「凄いよね~、5ヵ国の同盟って、それもその中には竜人国も入ってるのがまた凄いよね」
「リュドラさんに聞いたら、魔王討伐に参加させてくれた礼にこれからも協力する事にしたって言ってた」
「へ~、それじゃあジン君が橋渡しみたいな感じだね。ジン君が使者に選ばれてなかったら、竜人国との縁も無かっただろうしね」
「まあ、偶然が重なったって感じだね」
別に狙ってやった訳じゃないから、自分の手柄だとは思っていない。
正直、竜人国とここまで仲良くなるとは俺自身思っても居なかった。
その後、発表が終わるとそのまま5ヵ国の貴族達と交流を深める為、晩餐会が行われた。
「ジン。久しぶり」
「久しぶり、グライア。元気にしてたか?」
「勿論」
晩餐会の席で一番最初に俺に声を掛けに来たのは、竜人国の王子グライアだった。
竜人国では、俺の事を代理人様と呼び敬語も使われていたが、折角知り合ったのに堅苦しいからやめて欲しいと何度も言い。
何とか今の様に、ため口で話す間柄となった。
正直、相手は王子だから俺が敬語を使わないといけないのだが、グライアから「だったら、僕も敬語で話すよ?」と言われてこうなっている。
「君達がジンの仲間かな? はじめまして、僕は竜人国の第一王子グライア・ドラゴニア。ジンの仲間なら、気軽にグライアと呼んで欲しいかな」
そうグライアが挨拶をすると、まさか王子だとは思わずクロエ達は緊張した様子でグライアに挨拶を返していた。
そしてグライアと話をしていると、他の所で貴族と話をしていたグラムス王がやってきた。
「ジン、久しぶりだな」
「お久しぶりです。グラムス王」
「ジンの活躍は、私の所にも届いていたよ。まさか、悪魔も倒す力をつけていたとは、流石はノア様に選ばれた者なだけあるな」
グラムス王はそう笑いながら言うと、クロエ達に挨拶をした。
クロエ達は王子に続いて、国王まで来るとは思ってなかったらしく、これまた緊張した様子でグラムス王に挨拶を返していた。
その後、俺達の所には他の3ヵ国の王族が挨拶を来て、流石に他の国の王とは関わりなく、俺も多少緊張して王族達と挨拶を交わした。
「まさか、4ヵ国の王族と挨拶をする事になるとは思わなかったな」
そう言うと、皆は疲れた表情で頷いて溜息を吐いた。
そんな俺達の所に、姫様が一人でやって来た。
「ふふっ、お疲れの様子ね。流石のジン達も4ヵ国の王族の相手は、精神的に疲れた様子ね」
「はい。流石に疲れましたよ……姫様も挨拶回りしてたみたいですけど、慣れてるんですね」
「これでも王女として、それなりにやって来たからね。それで、ジン達と挨拶したい王族がもう一人いるんだけど、大丈夫かしら?」
そう姫様は言うと、姫様の後ろに居た一人の男の子が顔を出した。
何となく、姫様やデュルド王に似た顔つきをしていた。
「初めまして、私はデュルド王国第一王子のルフィウス・フォン・デュルドと申します」
これまで、遠くからは何度か顔は見た事のある。
デュルド王国の第一王子であり、姫様の弟のルフィウスだった。
こうして正式に挨拶をするのは、今日は初めてだった。
「はじめまして、ジンと申します」
そう俺が挨拶をするとクロエ達も続き、俺達はルフィウスと挨拶を交わした。
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