第318話 【国の繋がり・1】
竜人国にも話が行ったと聞いた翌日、俺達は姫様から呼び出しをされ、朝早くから王城へとやって来ていた。
普段、転移で来るのだが今回は正式に呼び出された感じだったので、正門から場内に入り、待合室で姫様を待つ事になった。
そして姫様が部屋に来たのは、俺達が城に着いてから5分程経ってからだった。
「ごめんなさいね。ちょっと、準備が遅れちゃったわ」
「あの、今日は何の為に呼ばれたんでしょうか? 正門から来るようにって、手紙に書くって事は重大な事ですよね?」
「今回、呼びだした理由はある発表をされるから、その場にジン達も呼ぶ事にしたの」
「ある事ですか?」
姫様の言葉にクロエがそう聞き返すと、姫様は笑みを浮かべて「ええ、驚く内容よ」と言って、その内容について姫様は話してくれた。
魔王を討伐する際、デュルド王国やその周辺国は協力して、魔王の討伐を行った。
その実績から以前からは、絶対に考えられなかったある事を思い付き、デュルド王国が主軸となりその話は進んだ。
「魔王討伐の際に協力した国々で、繋がろうって話が出たのよ。同盟国と言えばいいのかしらね」
「……それは凄いですね。歴史上、これだけの数の同盟国は無かったと思いますよ」
姫様の話によると、同盟国に参加する国の数は全部で5ヵ国。
デュルド王国、竜人国はその同盟国でも国内の武力がトップクラスに強く、残り3ヵ国は武力というより生産に強い国々だった。
国土の3分の1が山で、鉱物が沢山採れるジェルダ王国。
比較的天候が安定していて作物が多く採れる国として有名な、ラドリス王国。
そして、ゲーム時代かなりプレイヤーがお世話になったと過言でもないダンジョンがある国、トコルタ王国が同盟国となると聞いた。
「トコルタ王国ですか、この国って確か例のダンジョンがある国ですよね?」
「ええ、流石ジンは知ってるみたいね」
そのダンジョンは、物語の後半に発見されるダンジョン。
中で取れる素材は、珍しい物ばかりで出てくる魔物も強い魔物ばかりで、腕試しをしたい冒険者は既にその国に向かい挑戦している。
本当だったら俺達も魔王討伐が終わったら行こうと、話をしていたのだが問題が起きてしまったから、行くのを断念した。
「問題が解決出来たら、行く予定です。腕試しというより、そのダンジョンで取れる素材が目的なんですけどね」
「確かに、聞いた話だと種類問わず色んなアイテムが取れるって聞いたわ」
「楽しみだよね~、素材もそうだけど強い魔物とも戦いたい! 竜種が出るって噂だけど、本当なのかな?」
レイが興奮気味にそう言うと、姫様は「また楽しそうな話が聞けそうね」と笑みを浮かべながらそう言った。
その後、同盟国の発表の席に俺達も出席する事が決まっていたので、王城で正装に着替えて時間まで待つ事になった。
「ジン君、今日は見回りしてないけど大丈夫かな?」
「来る途中、ハンゾウの店に王都の見回りを頼んでおいたから、多分大丈夫だと思う」
「そっか、それなら安心だね」
クロエは問題が起きないか心配していたが、俺が先にハンゾウに連絡をしていると知ると安心していた。
姫様から突然の招集だったが、もしかしたら一日潰れるかもしれないと思った俺はハンゾウに直ぐに連絡を入れた。
折り返しの連絡はなかったが、多分ハンゾウならやってくれているだろう。
「そう言えば、ジンに一つ聞きたい事があったんだけど、レドラスの部下に連れて来た悪魔。俺の助手としても使っていいか?」
「えっ? レン、助手が欲しいのか?」
「あいつ、悪魔なのに錬金術にちょっと詳しいみたいなんだよ。ナシャリー様程ではないけど、助手として良い役割をしてくれそうだから、ちょっと欲しいなって思ったんだよ」
「ん~、一応あいつはレドラスの掃除の部下として連れて来たから、レドラスに聞かないと分からないな……取り合えず、レドラスに話をしてみて時間が空いてる時にレンの助手として使えないか聞いておくよ」
そう言うと、レンは「ありがとう」とお礼を言った。
その後、暫く待機部屋で待っていると、メイドさんが呼びに来たので俺達は一緒に部屋を移動して発表が行われる会場へと向かった。
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