第215話 【隠れ里のドワーフ族・3】
魔王軍と戦うと意思が強いドベルドだが、正直こつちの戦力からドベルドの番が来る可能性は限りなく低い。
森の破壊許可だが、こちらもドワーフ族に了承を得て、更にはエルフ族から壊れた場所は直してくれるという有難い言葉を貰ってる。
「という訳で今回もリウスでまずは一気に数を減らそうと思ってるけど、皆もいいか?」
「本当は暴れたいけど、それが一番効率がいいからね~」
「私もレイちゃん寄りの意見だけど、リウス君が戦った方が早いからね」
「俺はまあ、どっちでもいいからな。正直、エルフ族から貰った薬の研究を早くしたいって気持ちしか今は無い」
クロエ達に意見を聞くと、レイとクロエは若干戦いたい欲が出ていたが了承してくれて、レンに関してはエルフ族から貰った薬に興味が移っていた。
「ジン殿、先程から話に出ている〝リウス〟とは何者なんだ?」
「ああ、俺も使役してるドラゴンの事です。リウス、皆から許可貰ったからもう一度暴れて来て良いぞ!」
「きゅ~!」
ドベルドの質問に答えながらそう言うと、頭に乗っていたリウスは飛び降りてそのまま体を大きくした。
「グルァァ!」
そして盛大に吠えたリウスは、そのまま魔王軍に対してブレスを放った。
突然現れたドラゴンのブレスに、またしても対処できなかった魔王軍は一気に数千体の魔物が消し飛んだ。
それと同じく森も破壊されて、一気に視界が良くなり、遠くの方に何故か逃げようとしているミザリニスの姿を発見した。
「な、なんだ今のは……」
「それじゃあ、ドベルドさんはクロエ達と残りの魔王軍の対処をお願いします。俺は、あそこで逃げようとしてる四天王を討伐してくるので」
俺はそう言ってドベルド達の元から、ミザリニスの元へと転移して移動した。
「ひ、ヒィィ! 何でこんなに来るのが早いのよ! さっきまでエルフ族の所に居たじゃない!」
ミザリニスは俺の姿を見ると、悲鳴を上げた。
う~ん、まさかあのゲームで苦しめられた相手に悲鳴を上げられるとは思ってもいなかったな。
「いう訳ないだろ、どうせ今も魔王城に残ってる奴等と通信してるんだろうしな」
「ッ!」
俺の言葉に対して、ミザリニスは明らかに動揺が走った。
分身体を作り出せるミザリニスは諜報部隊としても優秀で、二カ所の地点から情報収集をしてるというのが設定資料に書かれていた。
本体だけ魔王城に残されていたら今後面倒だったが、分身体を倒した際に魔力の後を辿るとこっちに居る事が分かったので俺は少し安心した。
「ふっ、ふんっ! 今のうちに強がってなさいよ! 私が倒されても、まだ最強の四天王に魔王様が居るんだからね! あんたなんか魔王軍に勝てないわよ!」
「別に俺が勝つ必要は無いからな、俺はただエルフ族とドワーフ族を救いに来ただけだ。魔王軍を倒すのは、勇者様だからな」
そう言いながら俺は、ミザリニスへと魔法を放った。
ミザリニスは何発か当たりながらも生存して、思考を巡らせてどうやってここなら逃げようか考えている様だった。
だがしかし、そんなミザリニスに対して俺は一切手を抜かず、最後まで集中して戦い。
最後はミザリニスの魔力が消えるまで魔法を放ち続け、ミザリニスの魔力がこの世界から完全に消えたのを確認した。
「……よし、これで世界の難敵の一つを倒せたな」
修行後の勇者でもミザリニスとの戦いは、多少辛い場面がある。
それを考えても今回、俺が倒すのは良かったと思う反面、勇者の成長を妨げてしまったかもしれないという不安感があった。
だけどゲームだと、エルフ族とドワーフ族に多大に被害が及んでしまっていたから、それを救えたのは良かっただろう。
そんな事を考えながら俺は、クロエ達の所に戻り残りの魔王軍を始末してドワーフ族の里へと戻った。
その後、ドワーフ族の族長と共にエルフ族の里へと移動して、無事に魔王軍の討伐を終えた事を報告した。
そして何人かのエルフ族を借りて、ドワーフ族の里がある森の修復を頼み、これにて無事に俺達の依頼は達成する事が出来た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます