第126話 【自称四天王の豚・3】
討伐後、直ぐに金オークを回収した俺はレンと共にクロエ達の元へと戻った。
……うん、凄い死体の数だ。
「なあ、レン。あの死体の数ヤバいな」
「そうだね。魔物の死体って放置したらヤバい事になるから、回収するか火で燃やすかするけど、あれ掃除大変そうだね」
「本当にな……」
掃除担当は収納スキルを持ってる俺の役割なので、目の前の光景に俺は溜息を吐いた。
その後、クロエとレイが満足するまで戦い、この都市に居た魔物は全て消えた。
「は~、楽しかった! クロエちゃん、私の勝ちだよ!」
「む~、もうちょっと居たら勝てたのに~、でも楽しかったらいいや!」
レイとクロエは満面の笑みでそう言い、二人のそんな満足した様子を俺は掃除をしながら見つめた。
「……もうあの軍隊を倒してしまったのですか?」
掃除が終わった後、都市の近くで待機していた裏の人に伝えると、驚いた顔をして聞き返してきた。
まあ、あれだけの数をたった数時間で片付けてきたら、そりゃ驚くだろう。
そう思った俺は、裏の人を連れて都市の中に行き、全ての魔物の気配が無くなったのを確認させた。
そして最後に金オークの死体を見せて、本当に金オークの軍隊を全滅させた事を確認してもらった。
「ジンさん達の力はある程度知っているつもりでしたが、情報を新しくしないといけないようですね」
「まあ、今回は特にクロエ達がストレス溜まってたから、こんなに早く終わったんだよ。普通はもう少し慎重に動くから、時間は掛かってたと思う」
その後、裏の人を都市に置いたまま俺達は王都に戻り、その日は宿にそのまま向かい、報告は次の日にする事にした。
そして翌日、報告の為に姫様の所に来ると、呆れた顔をされた。
「この数年でどれだけ強くなったのよ……言っておくけど、最低限の兵士を置いてたのに都市を取られたのよ? それをたった数時間で、その軍隊を討伐って……」
「裏の人にも言いましたけど、昨日のアレはクロエとレイがやったんですよ? 俺とレンはボスしかやってません」
「そのボスにも兵士は手間取っていたのよ? 魔法の腕が凄くて、苦戦したって言ってたのよ。それなのに裏の子の話によると、首を綺麗に刈り取って他に戦闘の痕跡は無かったって……」
姫様は金オークの死体の報告を受けて、どんな倒し方をしたのか詳しく聞かせてと言って来た。
詳しく聞かせてと言ってもな……。
「その情報によると、あいつはある匂いを凄く好きな奴でその匂いのする香水を餌にして、油断してる所を後ろからシュパッと」
「……聞いた私が馬鹿だったわ、本当におかしな人達……」
「俺はジンから作ってと言われて、香水を作っただけですよ。他の二人もただ好きなだけ暴れて魔物を蹂躙したりしてましたけど、俺は至って普通ですよ?」
「レンも大概変よ。普通、話だけ聞いて失敗も無くオークの好きな香水を作るなんて、普通の人には無理よ。貴方もジンのおかしさに汚染されてるわよ」
「嘘、だろ……」
自分は普通だと思っているレンは、姫様からの言葉にガクッと膝をついた。
まあ、正直俺達四人の中で誰が一番異常かと言えば、明らかにレンだろう。
出会った頃、レンはちょっと集中力が凄い程度だった。
しかしこの数年で色んな事を学んだレンは、物凄い量の知識を脳内に蓄積している。
その蓄積された知識を掛け合わせ、俺が必要だと言った物をたった数時間で用意したりと最近その異常性が徐々に上がって来ている。
「はぁ、本当にこんなに強いのに表に出ないのおかしいでしょ……今のジンなら、ユリウスと互角に戦えるんじゃないの?」
「どうですかね。昔のままだったら、まあ行けたと思いますけどアンジュさんの元で更に強くなりましたからねユリウスさん」
アンジュと再会した事でユリウスの止まっていた剣術のレベルは更に上がり、ゲームのユリウスの力を既に超えている。
その後、姫様から勇者の育成が行き詰まってるや貴族に対して等の愚痴を聞く事になり、俺達が解放されたのは報告を済ませてから二時間が経っていた。
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