第115話 【やり残し・2】


 そうして俺は刀に集中して刀術の披露を終えると、パチパチとエリスさん達に拍手を送られた。


「凄く力強い剣術を見せて貰ったわ、最初どっちも才能があるって言っててどの程度かと思ったけど、両方とも凄い使い手なのね」


「ありがとうございます」


 エリスさんに褒められた俺は、お辞儀をしたながらそうお礼を言うと俺の肩をルークさんがガシッと掴んできた。


「ジン、お前凄いな! 魔法も剣術もそのレベルで使える奴、中々いねーぞ!」


 る、ルークさん滅茶苦茶興奮してるけど、原作でこんな人だったかな?

 もっとこうカッコイイ感じのキャラだった気がするけど、なんかどっかの剣聖と似た雰囲気を感じる。


「ルークの言う通りだな、ジン。お前、凄い奴だなって前からオーラを感じていたが、ここまでとはな……」


「あははは、そ、そこまで凄いですか?」


「ああ、まずその剣術だが、俺達が使う剣ではなく〝刀〟という剣だろ? それを使う冒険者と会った事があって、使わせてもらった事があるが中々難しい武器だった」


「そうそう。剣術が得意な俺でさえ、真面に扱えなかったからな、それでその刀を使う奴に普通の剣と刀ってどっちが扱いが難しいんだ? って聞いたんだが、刀の方が難しいと言われたんだよ」


 ルークさん達は以前、刀を使う人と出会ったと言い、その人から刀の難しさを聞いていたと言って話を続けた。

 まあ、でも俺の場合はただ普通の剣よりも刀の方がイメージにピッタリだったんだよな、だからここまで褒められるとなんだか騙しているようで悪い気がした。


「その、そこまで褒めて貰って恐縮なんですが……俺、実は普通の剣の方の才能があまりなかたんですよ。それで刀と鍛冶屋で出会って、その形に惹かれて使ってみたらそっちの方が自分にシックリ来ただけなんですよ」


「なら尚更、凄いと思うぞ? 刀の才能って、本当に稀な才能らしいからな、剣はどちらかというと一般的で誰でも使おうと思ったら使えるだろ? だが刀は違う。俺やドルクでさえ、真面に扱えなかったからな」


「その通り、剣にはそこそこ自信があったんだがな……」


 そうルークさん達が話していると、今まだ黙っていたエリスさん達が「そろそろ、ジン君を返してくれるかしら?」と言って俺の手を掴み、引き寄せた。


「さっきまでじゃれ合ってた癖に、ジン君が力を見せたら横取りなんてさせないわよ? 先にジン君と訓練するのは、私達だから」


「なっ! それは約束と違うだろ! それにジンは俺が連れて来たんだぞ?」


「連れて来たって、ただ声を掛けにいくジャンケンで勝っただけでしょ?」


「だとしても、連れて来たのは俺だ!」


 楽しく会話していたと思ったら、なぜか今度はエリスさんとルークさんが喧嘩を始めた。

 喧嘩の理由、どっちが俺と一緒に訓練するかって内容に聞こえるけど……まさか違うよな?


「あのアニスさん、あの二人ってなにで言い争いしてるんですか?」


「ジン君とどっち側が一緒に訓練するかの言い合いですよ。ジン君って自分の事を隠そうとしながら活動してるけど、ちょくちょく目立ってたでしょ? それを聞いたルーク君とエリスちゃんが興味が湧いちゃって、才能を感じる方と一緒に訓練をしようって決めたの、それでジン君はどっちも才能があって私達の想像を超えて来たから、あの二人は言い合いをしてる」


 マジか、好きなキャラが俺を教える為に言い合いをしてる何て、これゲームやアニメ好きからしたら、最高な事だ。

 良かった~、どっちかに絞らず両方とも鍛えてて、それのおかげでルークさん達に気に入って貰えた。


「ふふっ、ジン君って普段からちょっと大人びた感じしてたけど、そんな顔も出来るんだね」


「あっ……」


 ルークさん達に気に入られたのが嬉しくて、顔に出てしまったようでアニスさんからそう言われ笑われた。

 その後、ルークさんとエリスさんは最終的にジャンケンをする事にして、ルークさんはパーを出して、エリスさんはチョキを出した。


 そうして俺はその日、ルークさん達とではなくエリスさん達との訓練をする事になった。

 エリスさんとの訓練では、まずエリスさんが得意とするスキルを見せて貰った。

 そのスキルの名は【魔力視】といって、魔力の流れを見るというスキル。

 今でもある程度の魔力の流れを見る事が出来るが、このエリスさんのスキルの効果はゲームでも凄い役立っていた。


「エリス先生、スキルとしてではなく普通に魔力を見てますけど、それとは違うんでしょうか?」


「本質は一緒だけど、私のスキルは更に深く見る事が出来るわ」


 魔力を見るという点では一緒の行為だ。

 だか、エリスさんの【魔力視】は敵の魔力の流れを見て弱点を探る事や、ダンジョンの罠の位置、姿隠しなどで見えない敵さえも見れる。

 エリスさんのこのスキルを使用後は、敵の弱点を突きやすくゲームではほぼ必須のスキルだった。


「そんな凄いスキル、俺に教えても良いんですか?」


「良いのよ。気に入った相手には教えるつもりだし、でも難しいスキルだからそんな簡単に自分の物にはならないわ」


 そうエリスさんから言われながらも、俺はエリスさんから【魔力視】についてゲームでは省かれてた訓練方法を聞いて訓練を始めた。

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