第70話 【ツルハシの性能・1】
リーザに金塊を渡してツルハシを作って貰ってから数日経ち、現在俺とクロエは再びダンジョンへとやって来ていた。
前回、20層まで攻略してる俺達は転移で20層まで転移し、そこからダンジョン探索を始めた。
そして今回の目的は攻略ではなく、ツルハシの性能の確認。
下へ下へと降りるのではなく、一層ずつ念入りに探索して採掘エリアを見つけたら採掘をするとクロエと事前に決めてやっている。
「ふぅ~、採掘って体力使うな……」
「そうだね~、でも鉱石がとれるとなんだか嬉しいよね。宝石系だと、綺麗で嬉しさも上がっちゃうから楽しいよね」
「ああ、分かる。俺は綺麗にその鉱石が採れた時は、ちょっとした達成感を感じているよ」
今後に採掘をしてる俺達は、それぞれ自分の採掘で好きなポイントを話ながら別の採掘ポイントへと向かっていた。
そうして一日目の探索を終えた俺達は、安全地帯へと戻って来て小部屋を出して夕食を食べる事にした。
「一日目ずっと採掘をしてみたけど、どうだった?」
「予想以上に採掘に体力を使うから、攻略メインで考えるならあまり採掘はしない方がいい気がしたかな? それこそ、今日みたいに攻略メインで考えない時とかは良いと思うかな、意外と採掘って楽しかったし」
クロエは、一日を振り返りそう言った。
確かに攻略メインで考えてる時は、採掘してる時間は作れそうにないなと感じたな。
どうしても一つ掘るのに、まだ採掘に慣れてないのもあるが数分掛ってしまう。
「慣れてないってのもあるけど、慣れても多分そこまで早くは掘れないだろうしな……クロエの言った通り、そのダンジョンのメインで採掘をするかしないかを決めた方がいいな」
「でも、珍しい鉱石があったら掘っても良いかもね」
「そうだな、探索メインの時は希少な鉱物以外はスルーして、希少な鉱物があったら採掘する感じでいいかもな」
そんな風に俺達は今後についてそう話し合いをして、夕食後見張り番を決めて一人ずつ休む事にした。
翌日、昨日とは違い朝からダンジョンで採掘を始めた俺達は、とある採掘ポイントの前で立ちつくしていた。
「ねえ、ジン君。あの鉱石ってアレだよね……」
「ああ、間違いないだろうな……いや、ここのダンジョン鉱石系は良い物が出るって聞いてたけど、まさか二日目で出るとは思わんだろ……」
俺達が立ちつくす採掘ポイントには、希少鉱石の一つ。
魔銀鉱石ミスリル。
「……どうするクロエ。採掘してみるか?」
「わ、私は無理だよ。ジン君、私より上手いからやってみてよ」
「俺も緊張で手が震えてるんだが……」
クロエから採掘を押し付けられた俺は、ツルハシを手に持ちミスリルが埋まってる採掘ポイントの前に立った。
ゲームでもこんな序盤で出ないのに、何で逆に出て来るんだよ。
マジでリーザの所で、ツルハシを手に入れて正解だった。
「ふぅー、よし行くぞ!」
そう俺は気合を入れなおして、ミスリルの採掘を始めた。
ミスリルの採掘で一番気を使うのは、その採掘難易度の高さだ。
一歩でも間違うと、ミスリルが粉々に砕けて使い物にならなくなってしまう。
だったら、使い道がないんじゃないか? と思われるかも知れないが、腕の良い鍛冶師ならミスリルを加工するが事が出来る。
その加工して出来た物は、魔力との親和性が高く魔法を付与しやすくなるという性質を持つ武器や道具を作る事が出来る。
主に魔法剣の材料や、防御系の魔法を付与して使う事が出来てゲームでもそう言った役割をしていた。
「……ふぅ、マジで神経使うな」
下手に傷付けたら粉々になってしまう危険がある為、俺は魔物を狩る時以上に集中して採掘をしている。
ツルハシの性能が高く、少しの力でも掘れて調整がしやすいのは本当に助かっている。
そんな感じで掘り進め、約一時間の採掘の末、俺は無事にミスリルを掘り終えた。
「っと、壊さない内に直ぐに入れておこう」
落としたりしたら、俺の頑張りが無駄になってしまう。
そう思った俺は直ぐに【異空間ボックス】へとミスリルを入れて、ようやく一息ついた。
「ジン君、お疲れ様! ドワーフ族でも採掘が難しいって言われてるミスリルを掘っちゃったね! 凄いよジン君!」
「ああ、滅茶苦茶時間がかかってしまったけど掘れたな……自分でも驚いてるよ」
クロエは一時間掘り続けてた俺に対し、労いの言葉と称賛を送ってくれた。
そんなクロエの言葉にそう言うと、ずっと緊張していたせいで疲れが一気に押し寄せその場に座り込んでしまった。
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