第27話 【王家の判断・2】

 そんなフィーネさん達に、王城であった出来事を話すと理解してくれたようで「お疲れさまでした」と労いの言葉をかけてくれた。


「王家の方は優秀な方が多いですけど、中には少し発想が豊かと言いますか、制限された行動の中で自由な事をする方が多いですからね」


「ええ、一応知っては居ましたが、あそこまでとは……まさか国王も出てくるとは思いませんでしたから」


「現国王ルフォンドルス様は子供への愛が強い方ですから、フィアリス姫から頼まれて協力したのでしょうね」


 フィーネさんがそう言うと、クロエは「王様、怖かった」と少し震えながらそう言った。

 俺はまあゲームのキャラとして知ってるし、何となく予想をしていたから心構えは出来ていた。

 だけど、クロエの場合は行き成り王様と対面してしまったせいで失神までしてしまっていた。


「一応、姫様には注意してきましたけど、もしまた同じような事があったらギルドの方から王城からの依頼は俺等には止めて頂くようにしてください」


「嫌な依頼はこちらで止めるのもパートナーの役割ですから、その様に対応させていただきます。この度はジンさん、クロエさんにご不快な思いをさせてしまう依頼をご用意してしまい、申し訳ございません」


 俺の言葉にフィーネさんはそう言うと、フィーネさんとリコラさんは俺達に向かって頭を下げて謝罪をした。

 その後、俺達は精神的に疲弊してしまったので今日はこのまま解散する事にした。


「はあ、マジで疲れたな……」


 クロエと解散後、宿に帰宅した俺はベッドに横になった。

 疲れているからか、俺はそのまま寝落ちしそうになったが、ハッと気づいて無理矢理体を起こした。


「危ない危ない……最近、疲れ気味で直ぐに寝入ってしまうな……今日はやる事があったんだ」


 そう自分に言い聞かせ、ベッドだと寝てしまいそうだから椅子へと移動して、自分のステータスを表示させた。


名 前:ジン

年 齢:12

種 族:ヒューマン

身 分:平民

性 別:男

属 性:火・水・風・土・光


レベル:33

筋 力:591

魔 力:2001

 運 :76


スキル:【鑑定:3】   【状態異常耐性:2】【剣術:3】

    【魔力強化:3】 【火属性魔法:3】 【水属性魔法:3】

    【風属性魔法:3】【土属性魔法:3】 【光属性魔法:4】

    【魔力探知:4】 【身体強化:2】 

固 有:【成長促進】【異空間ボックス】

能 力

称 号:神童 加護持ち 銅級冒険者

加 護:魔法神の加護 武神の加護 剣神の加護


「このレベルでもたった一月で2も上がってるのは、本当にジンというキャラが強い事を現してるな……」


 他のキャラ、というこの世界の者達は30レベルだと、俺が普段倒してるオークやゴブリンを数百体倒しただけではレベルなんて上がらない。

 これは【成長促進】の能力を持ち、更に隠し能力として成長速度が上がる数値が設定されてるジンだからこその成長速度だ。

 そして〝ジン〟の力が、ゲーム通りである事を改めて確認した俺は、とあるスキルを得る為に魔力を練り始めた。


「公式チートキャラ、設定資料にしか書かれて無くて本編でも登場しなかったあのスキルはこの世界での俺を助けてくれるだろう……」


 そう俺は考えながら、スキル取得の為に集中した。

 そしてそれから日が暮れるまでの間、俺はスキル取得の為に魔力を練り何とかそのスキルを手に入れる事が出来た。

 俺が手に入れたスキルの名、それは【瞑想】という回復系スキルの一つ。


「ギリギリ魔力が足りたから取得できたけど、これ明日に響きそうだな……」


 スキル取得の為に魔力を練り続けた俺は、魔力が殆ど無くなっていて頭痛もしていた。

 欲しいと思っていたスキルだが、シンシアの奴ここまで辛いって言ってなかっただろ……。

 このスキル、俺は前々から欲しいと思っていたがこの世界での取得方法が分からず後回しにしていた。

 そんな時にシンシアに【瞑想】のスキルについて話をすると、取得方法を知ってると言われ俺はそのやり方をメモして今日実践した。


「ふぅ~……でもこれで迷宮探索に役立つスキルが一つ増えたな、クロエの魔力が上がったらあいつにもこのスキルを教えてやるか」


 ゲームではクロエも持っていたから、取得は出来るだろうそう思いながら俺は夕食を食べに部屋の外に出た。

 【瞑想】このスキルは勇者も持つスキルで、俺はその力を実際にプレイして強さを知っていた。

 スキルの能力は単純で自然回復の効果を高めるのと、もう一つが【瞑想】を実際に使用する事で短時間で傷を回復させるというスキル。

 ゲームでは回復禁止のエリアがあり、プレイヤーはこのスキルに何度も助けられた。


「ジン、どうしたんだ。帰って来た時よりも、更に疲れた顔して無いか?」


「ちょっとな、色々と考え込んで頭を使い過ぎたんだ」


「お前でそうなるって、どんな難しい事考えていたんだよ……」


 リカルドは呆れた顔でそう言うと、俺の夕食を運んで来てくれた。

 運ばれて来た食事を俺はゆっくりと食べ進め、完食した後はシャワーを浴びそのままベッドに横になると直ぐに眠りについた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る