第18話 人間の代わりをつとめております

 私たちは地球と呼ばれる星の調査にきている。

 宇宙船を止めると、ビルのあちらこちらからロボットがやってきた。

 「ようこそ。地球へ」

 ロボットの代表は挨拶のあと、我々を隅々まで調べ始めた。問題が無い事が判ると、代表は言う。

 「問題ないようですね。失礼しました。これから地球の案内をさせて頂きます」

 「ありがとう。助かる」

 「いえいえ、『人間』の代わりをするのが仕事なのです」

 彼らは色々な場所に連れて行ってくれた。様々な歴史建造物、美術館を見せてくれる。

 それはどれも素晴らしく、母星にはない文化で美しいものだった。

 次にロボットたちは宇宙船に近寄り分析をした後、メンテナンスを申し出てくれた。

 「これは私たちの技術でも修繕ができそうです」

 「宇宙船は長旅でボロボロだったのだ。でもこんなにして貰ってもいいものか」

 「我々は『人間』の代わりに働いているだけです」

 彼らは宇宙船の不具合をただちに修正し燃料まで最新のものをいれてくれた。

 「今度は私たちの歴史を説明します」

 そう言うとロボットたちは、地球という星の説明をしてくれた。それは解説付きで非常に判りやすいものだった。最後に、ロボットがいつ誕生して『人間』の役に立っていったかという歴史の話。

 「なるほど。これは良くまとめてある」

 「このように私たちは『人間』の為に作られたのです」

 ロボットはそういうと、今度は色々な料理や酒を出してくれた。

 「『人間』の作るものと比べると味は劣るかもしれません」

 「いや。これは実に美味しい。我々の星ではこのような物を食べられない」

 我々は料理に満足をし、彼らの出す酒に酔いしれるたのだった。


 地球から帰り母星へと帰還した我々は早速、今回の出来事を報告した。

 「彼らのもてなしは、どれも素晴らしく完ぺきです」

 「では友好的な星なのかね」

 「はい。ただ、気になる点が一つ」

 「ふむ。きかせてくれ」

 「彼らの言う『人間』という生き物を探しましたが最後まで見つけることはできませんでした」

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る