第17話 あけてはいけない
悪魔が現れた。願い事を一つかなえてくれると言う。
「なんでも一つだけ願い事を叶えてあげよう。寿命かそれとも金か」
手から金銀財宝や小さな液体の入っている瓶を取り出したりする悪魔にむかって私は答えた。
「世界で一番美しい女性になりたいわ。おかねは既に十分持っているし、長く生きるつもりもないもの。動物に変えようたって無駄。人間よ。あくまで人間の女性になりたいの」
「本当にそれでいいんだな。」
そういうと、悪魔はさっと腕をふるった。
世界で一番美しい美女。それは何より私が望んでいたことだ。
鏡を覗く。そこにはいつもと変わらない平凡な顔が映っていた。
「うそつき。どこも美人になっていない。あんまりだわ」
私は手元にあった枕を悪魔にぶつけた。悪魔はするりとそれをかわすと姿をけした。悪魔の声だけがする。
「願いは叶えてやったさ。いや、既に叶っていたと言った方がいい。この星には人間はお前一人だけになったんだよ」
悪魔は二度と私の呼びかけには答えなかった。どういうことだったのだろうか。
その時、部屋の戸を叩くノックの音がした。誰だろうか。私は扉に近づく。家にいるのは家族だけだ。
扉を開こうとして、手が止まった。何故だか、凄く嫌な予感がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます