第42話 わたし と 私


 ねぇ……答えてよ。

 あなたがわたしをずっと見ていたこと、知っているんだから。

 いつまでそうして、意固地になっているの?

 本当は自分が一番わかってるんでしょう。やらなきゃいけないこと。今、自分がすべきこと。


 ……やっぱり、答えてはくれないんだね。


 しょうがないか。あなたはそのためにわたしを殺したんだもの。

 でも、わたしは諦めない。他でもないわたしだから。私のことはわたしが一番良くわかってる。あなたが嫌だって言っても、わたしはやらせてもらう。

 だからね……もう、自分を責めるのはよしなよ――私。




 ――夢?



 私に誰かが話しかけていた。その誰かを、私はおそらく知っている。

 知っているのに、ずっと知らないふりをしていた。そいつのことが嫌いだったから、心に蓋をして、そいつの存在をなかったことにした。

 それなのに、彼女はゾンビのように復活し、目を閉じるたびに私に語りかけてくる。

 うざったくてしょうがない。

 もう嫌だ。これ以上、私に構わないで欲しい。


 来るな。来るな。来るな!


 彼女は何が楽しいのか、いつもにやにや笑っている。

 虫酸が走る。

 二度と私に近寄るな。関わるな。干渉するな!


 しかし、私の言葉を彼女は決して聞き入れようとしない。

 制御のきかないわたしに対して、私はどうすればいい。

 彼女を見ていると、心の蓋がゆるくなってしまう。

 どうして? 教えて。誰か、教えてよ。ねぇ……ッ!

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