帝国暦741年 初頭 戦略兵器

 「あああああ~~~~~~~~!?」


 素っ頓狂な悲鳴mp4とでも名付けて無料素材にすれば、結構なDL数を稼げるのではないかと、会館の外に出たアウルスは思った。


 「おまっ、おま……どうしたそれ!?」


 「逆にお前がどうしたんだよ。なんでいるんだ……?」


 様々な引き継ぎを終わらせ、朝食には遅いくらいの時間に出立するべく表に出ると、アウルスはどういう訳か大量の馬車を引き連れたベリルと鉢合わせた。


 人目があるからか貴人を指さすようなことはなかったが、日本語の悲鳴は震えており、手にしていた箱を落とす始末。


 水に打ち上げられた魚のごとく口を開閉する友人を見て、アウルスはやっとこ自分の様の悲惨さを思い出す。


 Cにもかなり悲痛な表情をさせたのだ。殺した殺されたから遠いBには、彼女以上のショックを受けても無理はなかろう。


 「いや、来るだろ! 普通! 何か終わった感あったし! 普通に工房からも見えたぞアレ!!」


 「といっても、まだ市内に残党がいただろ。突っ込んでくるヤツがあるか」


 「居ても立ってもいられなかったんだよ馬鹿ぁ!!」


 衆目の目なければベリルは普通に泣いていただろう。平和な日本で育った彼女なので、友人が四肢を失った様など見たことがなかった。何人か早世してしまって、先輩や同期の葬式に参加したことはあっても、これだけの重症を見るのは初めてだ。


 況してや、それがこの世でたった三人きりの真に労苦を分かち合える相手となれば、むしろ叫んだだけで抑えたのは殊勲賞物の自制心である。


 「しかし、またえらい行列だな……何を届けに来てくれたんだ」


 「何もかももあるか!! お前、ちょっと二人……いや、三人になれる場所作れ!!」


 「いやー、これでいて結構急ぎなんだがなぁ……」


 遂に感極まったのか、泣きわめき始めたお抱え職人を見下ろし、御曹司は仕方ねぇと会館の比較的無事な部屋に一席を設けた。


 名目は、急遽一層の様子見を打ち切り護衛隊の編制をさせていたカリスを呼び、運び込まれた物資の差配をするとして誤魔化す。後は見た目だけ普通に過ごして、文法から何から違うので誰にも解読しようのない母国日本語という暗号で、情報を共有するだけである。


 「あーあーあーあー……お前、お前、ほんっとコレ……」


 「何だよぉ、あの様見ただろ。死んでないだけでも大したもんだろ」


 取りあえず脱げなんて言われたアウルスだが、さしもの彼もネタに走らず、片手間に――それでも、ちゃんと医師免許が取れるくらいやりこんでいたが――医術を学んでいる技術担当に傷口を見せた。


 今はつるんと皮膚が張って塞がった右腕は、二の腕の中程、拳一個分くらいしか残っていない。右目は伏せれば瞼が凹み、眼窩が完全に空き家だと分かる。


 「あー、ひでぇ……目玉さえ残ってりゃ、魔法の不思議パワーでなんとかなったかもしれねぇし……腕も、せめて肘くらいありゃ……」


 「もっと言ってやりなさいB。この馬鹿、瓦礫に潰されたからって右手引きちぎって立ち上がったのよ」


 「仕方ないだろ。必死だったんだよ。あそこで私が立たなきゃ完全に指揮が崩壊してたんだぞ」


 友人二人がかりに責められて、Aは唇を尖らせた。下手人が既にブチ殺されているからといって、怪我をした自分が怒られるのは何か違うかと思ったのだろう。


 「くそー、義手を作るにしても、せめて肘関節がありゃ、作る俺も使うお前も楽だったのに……どーすんだよ、この半端な長さ……」


 腕をぺたぺた触るベリルは、残った左手の長さと見比べて大いに溜息を吐いた。


 関節は最も負荷がかかり、同時に複雑な構造をしているため技術的にもコスト的にも重い。イニシャル、ランニング両コストもさることながら、なくなった四肢の代替として肘から先があるかどうかで自由度は全く違う。


 少なくとも、この長さでは体幹を狂わせないようにぶら下げる、殆ど格好だけの義手ウェイトになるだろう。


 「なんかこう、ファンタジー世界の謎物質で都合の良いの作れないか?」


 「無理だよ馬鹿。前世でも俺らが死んだ頃は、まだ触覚のある筋電義肢なんてなかったのに。まだどっかから右腕捥いできて接ぐ方が現実的だわ」


 「うーん、そんな接ぎ木しまくって多方面からディスられそうな見た目になるのはちょっと……」


 そして、前世では生体電気を感知するなどして、ある程度能動的に動ける人工筋肉――培養した肉ではなく、液体などで作用する物――搭載の義肢は開発が進んでいたが、残念ながら繊細な手仕事まで可能にする代物はない。


 3Dプリンターの登場によってお洒落にも気を遣い、耐久性と費用が考えられた物もあるにはあったが、残念ながらこちらでの再現は不可能だ。チタンすら作れていない文明レベルでカーボンやプラスチックが用意できる筈もないのだから。


 「てか、実際どうするつもりなのよA。その腕だと手紙書けないでしょ。密かに特訓してて両手利きになってたりしない?」


 「こんな事態誰が想定するか。普通に右利きだよ……まぁ、そこは安心しろ。私の部下は優秀でね。サレハとファハドは、殆ど完璧に私の筆跡を再現できる。自分でもたまに、あれ? これ直筆だっけ? ってなるぞ」


 「コイツ、部下にそんなの仕込んでたのかよ……」


 アウルスは密かに、というよりも下準備の段階で、誰か代筆要員を用意しておかないと早晩腱鞘炎で腕が死ぬなと見抜いていたので、幼少期から腹心とするべく購入された奴隷二人には、早い内から筆跡模倣を仕込んでいた。


 何も難しいことではない。アウルスが日記を書いて、それを毎日複写させるだけの簡単なお仕事だ。そして、普段の勉強でも日記の文字を真似るよう命じて10年以上生活させれば、人力コピー機の完成という訳である。


 「手紙はそれで誤魔化せるとして……用事片付いたら採寸させろよ……くそー、義眼も義肢も、探索者の宣撫用くらいにしか研究してねぇのに……」


 「まぁ、でも暫くはこの痛々しい様を精々利用するさ。納期はゆっくりでいいぞ」


 「俺らの精神衛生に悪いんだよ! 夏前には微調整終わらせて、普段使いと予備まで用意するから覚悟しとけ!!」


 何をだよと思ったアウルスなれど、ともあれ時間が押しているので、何を持って来たのかと聞くことにした。食料やら物資やらが欲しいのは事実だし、あとで倉庫街に――略奪に遭っていなければ良いのだが――補充させに行くつもりだったが、向こうから物が来てくれるのは嬉しい限りだ。


 「色々運んできたぞ……とりあえず、スコップと鶴嘴、それにリヤカーもあるだけ」


 「お、助かるー。実はリヤカーもバリ障害物に使っててな。半分以上駄目になってたんだ」


 「んなこったろうと思ったよ。下手に積み上げて類焼させる訳にもいかんし、使い手のない走狗は郊外に馬車でピストン輸送して埋めちまおう。消石灰も持って来たしな」


 消石灰? と首を傾げるアウルスに、カリスが高アルカリ性の粉末で死体の細菌を殺し疫病を抑える効果があると補足した。


 鳥インフルエンザなどが流行した際、ニュースで殺処分された家禽を埋める映像が流れる光景を見たことがあるだろうか。その際、一緒に墓穴に放り込まれる白い粉が消石灰だ。細菌が死ぬような高いアルカリ性によって、菌が繁殖する前に滅菌するために投入される粉末は防疫的価値が高い。


 元々、ベリルは消石灰を製鋼やコンクリートの製造に用いていたので、工房には結構な備蓄があった。主たる供給源は、帝都そのものである。帝都には沢山の海産物が東の港に届くことや、近郊で食用の貝を採っている漁師も多い。


 カエサル家の庇護下にある救貧院に仕事を回し、彼等に集めさせれば「ゴミを引き取ってくれるなら有り難い」と無料で積み上がるため原料費は格安だ。


 集められた貝殻を砕いて窯で焼いて製造した消石灰が元から備蓄されていたのだが、ベリルは工房に帰った後、直ぐに移送の準備をさせた。120年前の氾濫を知識としてでも知っていれば、当然の対策だ。


 始末が追いつかず腐敗した、人と走狗の死体より溢れ出した疫病で山ほど死人が出たことを知っていれば、真っ先に打つ手を考えるのは当然だった。


 「あとは治療用に綺麗な布と糸、消毒用のアルコールなんぞだな。湿布用の軟膏やらも、一応用意しておいた」


 「助かるわ。もう殆ど払底してたのよね。あるとないとじゃ、予後が全然違うから。これで負傷兵の現役復帰も早くなる」


 「欲を言うと抗生物質欲しいよな」


 「無茶言うんでねぇよ。ありゃマジで頭が変になるくらいの根気か、気が遠くなるような科学の産物だぞ。内燃機関も手ぇ付けてない状態で高望みすんな」


 お坊ちゃまの高望みに技術屋は顔を顰めた。少なくとも青カビを何万株と選って品種改良していくのも、科学的に合成するのも今のところは割に合わない。抗生物質とは、まこと厳格に管理された高度な科学の末に至る、万能薬の劣化品なのだから。


 良い物を持ってきてくれたと喜ぶ二人を見て、技術担当は何とも決まりが悪そうに体を縮こまらせた。


 そして、暫く「これ見せていいもんかね」と悩んだ後、恐る恐る背嚢を取りだして中身を卓上に晒した。


 それは布に包まれた一組の板。高出力の水車と良質な鋼のカッターを用いて作られた、粗雑な木材を良質な一枚板に造り替えた合板だ。細い木を大根の如く桂剥きにした素材を重ね、一枚の広くて長い板に造り替えるベニヤ板は、発想としては古代からあるものの、効率的な製造設備の発明は19世紀の代物だ。


 良質な木材は常に需要が逼迫する。消費する速度よりも、木々が生長する速度の方が圧倒的に遅いからだ。


 ベニヤ板は壁材にするには物足りない低品質な痩せた原木でも、接着剤の質さえ良ければ軽くて丈夫な素材に造り替えられる画期的な品。ベリルはこれを2×4工法――既製規格材を基礎に据えた設計工法――による簡易軍事拠点や、都市開発のために使うべく実用化したが、AとCにお披露目されたのは工業的な武器ではなかった。


 「げぇっ!?」


 「あちゃー……」


 布に包まれた板には、絵が描かれていた。多色刷り版画のそれは写実的で美しく、画角などを考え抜かれた芸術品と讃えて差し障りのない品であるのだが、モチーフが大いに問題であった。


 戦場にて差配を振るう、顔を知っていればアウルスだと一目で分かる工作精度の高い連作の絵は、たとえ字が読めまいと通用するプロパガンダ兵器。漫画的技法を取り込んで劇的に、そしてコマ割りをすることで事態の推移を無学でも理解できるよう描かれた版画が、僅か二日の納期で作られた飛ばし記事だと誰が理解できようか。


 四角いモノローグのコマには、修辞学的に秀でた煽り文句が書かれており、識者層への訴求力まで考えられているとあれば、何ヶ月も前から準備していたと言われても得心が行こう。


 これも全て、高性能マザーマシンのゴリ押しと、採算を度外視して24時間稼働した職工達の献身あってこそ為せる業であった。


 「おまっ、お前、これ……!!」


 「どうしよう。全6頁で50組も刷っちゃった……絵だと両手揃っちゃってるよコレ……」


 「堂々たる指差しポーズねぇ……右手、ないのに」


 「そうじゃねぇよ馬鹿共!!」


 周りに訝しまれぬよう、内容は明け透けなれど声音は平静を保とうとしていたAは激昂し、Bの胸ぐらを掴むべく手を伸ばそうと試み失敗した。右目がなくなって遠近感がガタガタになったせいで、位置関係を脳が正しく処理できていないのだ。


 情報は武器。これは世界救済事業を行うにあたって、明確な主力兵器の一つに選定された、立派な大量破壊兵器だ。


 どんな人間でも理解できる媒体は、民意を強く動かす力を持つ。全くの無能力者で、どうしようもない愚策を連発してフランス人を大いに落胆させたナポレオン三世が、第二共和制の大統領になれた理由は、正にそれだったのだ。


 選挙を行っても、被選挙者の名前も碌に知らない無学で字も読めない一般人は、とりあえずで知っている人間を推す。これは現代地球でも変わらず、市議会選挙などで投票先に困った人も少なくなかろう。


 コルシカ島の人食い鬼が持っていた才能を爪の垢ほども受け継いでいなかった、愚昧な甥っ子がフランス人の支持を得られた理由は、膨大な選挙資金を用いて自分の名を宣伝したからなのだ。


 なので、この戦前から令和にかけて磨かれた漫画的技法を取り込んだ〝広告版画〟は、切るべきタイミングが非常に難しい武器なので軽々に使ってはならぬ。Aは二人にそう再三にわたって警告してきた。


 ここでアウルスの人気が爆発して、まかり間違って30にもなっていないのに、重要役職に担ぎ上げられては堪らないからだ。


 「言ったべ!? 私言ったべ!? こういうのは私の指示に従ってくれってさぁ!!」


 「いやぁ、分かってんだけどさぁ、俺もねぇ……」


 「じゃあ、なんで刷っちゃったの!? 今すぐ中庭で全部焚き付けにしてこい!!」


 「いや、コトがコトじゃん。民意得てケツ持って貰わないと、八つ当たりとかで処刑されかねんだろお前」


 「そこはさぁ! これから上手くやろうって……」


 「いや、無理だって、お前人付き合い下手だもん」


 古い古い友達、今は鉄洞人になってしまった友人からバッサリ言い切られて、アウルスは膝から崩れ落ちた。


 よもや、政治担当として腕前を磨きに磨いた自分の人付き合いが下手……? と。


 「あちゃー、そこバッサリ言っちゃう?」


 「だって、コイツ未だに自分の扱い軽いんだぜ? そりゃ利益共同体に大勢巻き込んで壁にしてても、今まで癇癪での暗殺事件がなかった方がおかしい立場なのにのほほんとし腐ってからに」


 アウルスは政治家として一流であるし、個人として付き合うにしても信頼を得るという一点においては妙手だ。


 しかし、あれだけ色々な映画を見て、幾つものゲームで政治的に敵手を葬っておきながら、この期に及んで自分の価値算定がド下手という致命的欠陥が治っていない。


 常設の護衛が4~6人というのは多い方であり、人員には拘って、守りが厚い建物を職場に選んでいるところまではいいが、相変わらず脇が甘い。


 煽り倒された民衆に館を囲まれることを、まるで考えておらぬ。


 「そりゃお前がここで気張るのは最適解だろうけど、お前が死んだら半分詰みだったって分かってんの? それ考えたら次善策でもよかったんだぜ?」


 ここ暫くは、思考が経済に寄っていたからか、友人の目を通しても特に酷かった。


 経済的合理性と市場の健全性にかまけて暢気が行き過ぎていた。いや、平和ボケしていたと言ってもいいだろう。


 利益も何もかもも捨てて助けに来てくれる人がいるように、気に食わないからという一点で不倶戴天の敵認定して殺しに掛かってくる馬鹿を政治担当は忘れている。


 大連合を組んだ戦争で、負けたら酷いことになるのに人事で揉めて、最強の将軍が左遷された事態がどれだけあったか。個人間の好悪とは、時に利害も国の存亡にも優越してしまうのだ。


 どれだけ元ネタが嫌いなキャラだろうが、ステータスさえ高ければガンガン使うAには分かるまい。彼にとって義理という能力は、とりあえず金で打っ叩けば何とかなるだろうとの楽観で曇らされているのだ。


 「で、でも、私、結構頑張って……」


 「頑張りは認めるが、神輿が潰れてどうすんだって話よ。俺らの失態も勿論大だぜ? Cはいなきゃならん時にいなかったし、俺もこんな特大の現場猫が発生するなんて考えてなかった時点で、反省点は無数にある。けどなぁ……」


 個人的にアウルスをぶっ殺しておきたい連中からすると、今は正に絶好の機会ではないか。有耶無耶の内に民意を悪い方に煽って、帝国勇猛社が氾濫を引き起こしたと情報操作することは容易い。


 そして、世襲化している部分が強かろうと所詮元老なんぞ議員に過ぎぬ。上手く民衆を御せないと分かれば、御曹司の首を飛ばした方が簡単かなと短慮に走る日和見連中もいよう。


 さしものアルトリウス氏族と帝国安閑社の縁者も、帝国の民意全てを敵に戦える訳もなし。精々、最後まで一緒にいてくれるのは、母メッサリーナくらいだろう。


 万全を期して安全を確保したいなら、ここで民意と世論を味方に付けておくのは必要十分条件である。


 それを怠ったなら、最悪どこかの属州に逃げて総督を嗾け、帝国相手の反乱戦争をやって生き残りを図る必要まで出てこよう。遠回りを通り過ぎて、ただの時間と資源の浪費だ。


 「この期に及んで、写真嫌いを拗らせた我が儘言うなよ」


 「げっ、なんでバレ……」


 「わからいでか。お前の渾名知ってっか? 図画嫌いだぞ」


 さて、アウルスは公共施設を寄贈したり、救貧院にて自分の名前で炊き出しを行ったりと帝国市民や無産階級に富を還元しまくっているが、その実、顔が全く売れていない。


 というのも、彼が前世から大の写真嫌いで、帝国人には付き物の彫像一体、果ては肖像の一枚すら描かせないという徹底っぷりをしているからだ。


 像をぶったてて目立つ所に飾っておくのは、帝国富裕層の常識文化であるにも拘わらず、彼は自己出資の浴場――新型ボイラーの実験施設でもあるが――の前にも自分の像を置かず、ついでもって名前も〝カエサル・アルトリウス浴場〟とするなど、自分をプッシュするつもりが欠片もない。


 これは専らアウルスの個人的好悪に基づき、他を立てる政治的意図は正に建前に過ぎぬ。


 絶対形に残りたくないでござる、絶対形に残りたくないでござる、などと宣う彼は、集合写真にも記念写真にも上手いこと紛れて写らないようにしてきたが、政治家がそれでは困るのだ。


 歴史オタを拗らせているアウルスの中身が、自分を象った像が倒されたり砕かれたりしている様を想像すると、胃がギュッとなるなんて下らない理由を二人が見逃してきたのは、偏に疲労と胃痛を労ってやってのこと。


 だが、絶対に必要となると容赦はできぬ。事実、カリスとしてはついさっき、アウルスが死んでいたら自分も殺されていたと再確認してきたところなのだから。


 「卑屈になんなよ。ちゃんとAPP高いからお前。20とまではいいかんけど、友人の欲目でも17くらいはあるって」


 「そうよ。序盤に親切そうな顔して近づいてきたら、うわー、こいつ後でぜってぇ裏切ってくるって顔と声してるけど、ちゃんとガワはいいんだから」


 「そういう問題じゃないんだよぉ!!」


 最早恥も外聞もなく半泣きだったアウルスだが、不安要素を潰すために有効だと理性は告げているので、結局この格好好いプロパガンダ漫画の流布を呑むしかなかった。


 斯くして全く嬉しくないが、今後の政治戦の在り方を新たなパラダイムに押し上げるであろう武器が、泣く泣く市中に広くばら撒かれることとなるのであった…………。


【補記】

 ナポレオン三世。Civ4でアレクとモンちゃんと同程度に隣にいて欲しくないナポさんの甥っ子。亡命先で権力を握ろうとする度に失敗して逃亡したり、クーデターしようとして悉く失敗し逮捕されたり色々残念で見ていて面白い民主的専制君主という謎の存在。

 某野望的に言えば金融政策やパリ改造やらの実績から政務は70くらいもらえそうだけど、知謀と統率が絶望的に足りない。甥っ子だけど次男以降の織田家の人みたいな雰囲気。


 左遷される最強の将軍。明の袁 崇煥や西ローマのスティリコ。有能な将軍差レンされすぎ問題。中華帝国は大体異民族を阻んでいた有力な将軍が佞臣に左遷されるか、自死を強要されて滅んでる感があるのは私だけだろうか。

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