第14話 四姉妹の下着姿を見せて下さい!
若菜四姉妹は、鳴爽が通う
大学、高等部、中等部と今は四人がバラバラだが、四人をセットで認識している生徒が大半だろう。
彼女たちを四人まとめて認識していなかったのは、一年前までの鳴爽くらいのものだ。
恋愛になんの興味もなかった頃の――
実は、乃々香が生徒会長で成績トップクラスという以外、四姉妹たちには特別に秀でたものがあるわけではない。
いや、正しくは鳴爽のようにコンテストや大会で1位を獲るといった華々しい成果を出したことがない、というべきか。
実際には人より秀でたところは充分にあるが、世間で評価される事柄ではないというだけだ。
それでも、この四姉妹が圧倒的な人気を誇っているのは――
単純に四人が四人とも、美人・美少女だからだ。
見た目の良さが圧倒的すぎるからだ。
舞はバランスの取れたスタイル、内側から滲み出る圧倒的な色気。
乃々香は前髪で目を隠していてもわかるほどの美形、すらりとした長身はモデルのよう。
絆奈は少女らしい幼さを全体に残しつつも、あまりにも胸部のボリュームが目立つ。
みつばは子供らしい可愛さに加え、イキイキとした表情、しなやかな動きは常に踊っているようで、そこにいるだけで目立つ。
鳴爽の周りの友人たちも、ほとんどがこの四人に興味を持っている。
不埒な想像をしている友人も多い。
鳴爽には面白くないことだが、ただの妄想にも水を差すほど堅物ではない。
ところで、鳴爽は「四姉妹の服の下の秘密を知りたい」と言った。
もちろん、鳴爽はいつものように本気だが、舞たちが本気でないことは承知の上だ。
「ま、これくらいはね。結局、あたしたちはなにもできてなかったし」
「そ、そうだね……メイドでご奉仕なんて恥ずかしいこと、できないもの……」
「恥ずかしくて悪かったですね。で、でもこれこそ恥ずかしい……」
「ボ、ボクでもちょっと恥ずいかなー。なんか、裸より照れる。お兄さん、あんま見ないでね」
「…………」
本気でないと思ったら、本気でした。
本気で服の下の秘密を見せてくれました。
舞はピンクのキャミソールの下に、黒のブラジャーとパンツ。
乃々香はタンクトップの下にピンクのブラジャー、わずかに脱いだショートパンツから覗く同じ色のパンツ。
絆奈はTシャツの下に白のブラジャー、ハーフパンツの下に白のパンツ。
どちらも脱いで、下着が両方ともあらわ。
みつばはパジャマの上下を脱ぐと、グレーのスポーツブラと水色と白の縞パン。
下着姿の四姉妹が鳴爽を取り囲むようにして座っている。
若菜家居間で、先ほど長々と説明した美女・美少女たち四人が半裸で鳴爽に迫っているのだ。
「あの、その姿は永久に眺めていたいくらいなんですが」
「なに、鳴くん? 眺めたくないみたいな言い方だね?」
「いえ、お義父さんが行方不明だし、今だとなかなかその下着も取り去ろうって気にはなれなくて」
「そうだと思ったから、今のうちに君に見せてるんじゃん」
「……そんな理由ですか?」
舞の説明に、鳴爽は首を傾げる。
「ボクらがこんなことしてるって、パパにLINE送ったら飛んで帰ってくるかも?」
「なるほど、それはありえる」
家出の理由は謎でも、父が度を超した親馬鹿であることは確かだ。
もっとも、飛んで帰ってきた父に鳴爽が殺される可能性は高いが。
「でも、さすがの俺もこの状況でみんなにどうこうはできないよな……」
「きゃっ……!」
鳴爽は半裸の絆奈の腰を掴んで抱き寄せる。
すべすべしていて熱い肌の感触が、鳴爽の身体に伝わってくる。
「ちょ、ちょっと! 鳴爽くん、言ってることとやってることが違くないですか!?」
「絆奈は(仮)でもカノジョだから、こういうときは抱き寄せて励ましてやらないと」
「このお尻を触っている手はなんです!?」
鳴爽は片手で細い腰を、片手で絆奈のぷりんとした尻を撫でている。
「うん……」
「うん、じゃないですよ! 言語を失わないでください!」
「あー、鳴くんいてマジよかったなあ。見てると落ち着くよ」
「妹がお尻撫で回されてて落ち着くって、どうかしてません!?」
「わたしは、おっぱいまでなら落ち着いて見られるよ……?」
「鳴爽くんを焚きつけないでください、姉さん!」
鳴爽は、絆奈の鋭いツッコミをBGMに美少女クラスメイトの尻を撫で続けている。
さっきのジャージ姿で絆奈の尻の形が最高なのはわかっていた。
こうして直接触ってみると、弾力と柔らかさまで最高だとわかる。
「この尻が……俺のものか……」
「私のお尻は私のものですけど!」
「でも、きー姉、そうは言ってもお尻は拒んでないよ?」
「どこでそんな言い回し覚えたんですか、みつば!」
みつばなどは、寝転がって頬杖をつき、鳴爽の尻を撫でる手つきをじーっと観察している。
足をぱたぱたさせていて、なんだか楽しそうだ。
「まあ、俺もさすがに四人の下着姿はじっくり眺めますが、今夜もらうのは絆奈のお尻くらいですよ」
「……わ、私のお尻で満足するならいいですけど……」
「観念するの早っ! 我が妹ながらチョロすぎんね。よくそのチョロさで、今日まで処女守れたよね」
「余計な付け足ししないでください!」
絆奈の性体験の有無は確かに新情報だ。
もっとも、絆奈とのキスやメイド通い妻のときの様子を見ればバレバレだったが。
「でも、舞さん。これはエンドレスですね」
「なにが?」
「絆奈のお尻で興奮して、舞さんのFカップと乃々香先輩のEカップの谷間で興奮して、みつばちゃんの未熟なスポブラ姿で興奮して、これは治まりませんね」
「もー、さすがのあたしもそんなにじっと胸見られたら恥ずいけど」
「お姉ちゃんも意外と口だけだから……こんなえっちな身体しといて、無駄に持て余してきたから……」
「どうも、ウチの姉妹は一言余計な傾向があるね……」
「それ、お姉さんが言います?」
長女と次女と三女が、険悪な雰囲気で睨み合っている。本気ではないだろうが。
「ちょ、ちょっとちょっと、お兄さん、ボクは!」
「みつばちゃんも成長してるんだろ? 可愛い可愛い」
「きゃ!」
鳴爽は、ぽんとみつばのスポブラ越しにBカップの胸に軽く触れる。
以前の風呂ではしっかりと見てしまった胸だが、触ると柔らかさもボリュームもしっかり感じられる。
「こ、こらっ! みつばの胸はまだダメですよ! 先に私ですよね!?」
「え、今日の絆奈はおっぱいも解禁か……?」
「……違います。妹のを触られるくらいなら、私が犠牲になるという意味で……」
「快感をむさぼろうとしてるくせに、自己犠牲を演出してるよ、絆奈」
「でも待って、お姉ちゃん。大きなおっぱいは感度が悪いっていうから、そんなに気持ちよくないのかも」
「なんの話をしてるんですか、そこの姉二人!」
「でもまあ、一つ大事なことがわかりましたよ」
「ひゃあんっ♡」
鳴爽は絆奈のお尻をがしっと掴んで揉むように撫でて柔らかさを楽しんで――
「も、もうっ! 人が自由に触らせてたら――って、今度はどこを見てるんです、どこを!」
鳴爽が、じーっと絆奈のブラジャーの谷間に視線を向けると、三女は恥ずかしそうに身をよじった。
「三人は大きいし、みつばちゃんも将来の伸びしろに期待できる」
「な、なに言ってるんです……」
「お義父さんが、これだけ立派なおっぱいに育った娘たちを置いて、戻ってこないとは思いませんね」
「胸で判断しないでください!」
舞と乃々香とみつばも、呆れて笑っている。
鳴爽はいいことを言ってドヤったが、あまり通じていないらしい。
じっくりと絆奈の尻の観賞を楽しみ、四人の下着姿を鑑賞させてもらって――
さすがに四人が恥ずかしくなって寝間着を着直すのをきっかけに、鳴爽はトイレに立った。
紳士として、女性の着替えをまじまじと眺めるわけにはいかない。
トイレを済ませ、洗面台で鏡を見てまだすこし濡れている髪を整えたりしていると。
「鳴爽くん」
「ん?」
絆奈が洗面所に入ってくる。
「薄いTシャツだと、歩くだけで胸がぽよんぽよん揺れるなあ……」
「あなた、今日は身体に興味持ちすぎですよ!?」
「ああ、ごめん。つい、非現実的な状況だから、興奮してるのかも」
「鳴爽くんは、いつも私たちに興奮してるように見えますけど」
「してるけど?」
「でしょうね……」
鳴爽の無駄にストレートなところに、絆奈も慣れてきたようだ。
「あのですね……その、誤解しないでほしいんですけど……」
「あんな馬鹿みたいな恥ずかしいマネでもしないと、不安でしょうがないんだろ」
絆奈は、はっと目を見開いて――少しだけ笑う。
「……馬鹿みたいというのは反論したいですが、だいたい合ってますね」
「わかってるよ。絆奈たちが、お義父さんがいないのに呑気に男と遊ぶような女の子とは思ってない」
思っていないからこそ、鳴爽は四人と付き合いたいと言っているのだ。
「そ、そうですか。わかってくれているのならいいんです……えっと」
「ん?」
「ちゅ」
絆奈は大きく背伸びすると、鳴爽の頬に軽くキスしてきた。
「こ、今夜泊まってくれて、私たちみんな感謝してます。こ、これが私にできる精一杯のお礼です。私からできることはこれくらいで――」
「俺はもっとできるけど」
「でしょうね! でも、今夜はこれまでです! お、おやすみなさい!」
絆奈は、くるりと身を翻して洗面所を出て行く。
鳴爽は絆奈の背中を見送って、キスされた頬を撫でた。
一回きりとはいえ、唇でもキスをしたあとだ。
それでも、絆奈のほうからのキスは――本当に嬉しい。
「俺も、キスとお尻と下着のお礼はしておくか。こっちが多めにもらったことだし……お義父さんを見つけておくか」
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