前編
優子さんは大学卒業後から大手通信会社に勤務しています。入社五年目を迎える彼女は、今年の春からマネージャー補佐という役職を与えられたそうです。年齢を考慮すると、それが異例の昇進、というのは本人の弁ですが、学生時代から優秀だった彼女のことですから、おそらくそれは本当のことなのだろうと思います。
そんな彼女が勤務する会社では昨今の流れを機に、テレワークが推奨されているそうです。以前は何があってもオフィスに来い、と口酸っぱく言っていた職場が随分丸くなったものだと笑っていましたね。パソコンで文章を打つことすらままならない私からしてみれば、テレワークといったものがどういう仕事内容なのか、想像すら付きませんでしたが、優子さんの話を聞くうちになんとなく理解することができました。ですがそれは、ブラインドタッチも上手に出来ない私には、おそらく優子さんのような仕事は無理なのだろう。それが認識できたという程度の理解にすぎませんが。
九月も中旬に迫ったある日。その日も優子さんはそれまでの例に違わず、大学時代から暮らすアパートの自室でテレワークなるものに励んでいたそうです。
優子さんは午前中にテレビ会議を終えると、そこから得意先へ向けた資料作りに取りかかりました。
資料作りも一区切り付き、ふと顔を上げると時刻は既に十三時を少し回った頃でした。
それまで資料作りに没入していた優子さんは、気が緩むと同時に空腹を覚えたそうです。
優子さんはバッグを手に玄関に向かいました。近くのコンビニへ買い物へ出かけようとしたそうです。
優子さんの住むアパートは三階建てで、二十世帯ほどが入居できるようになっているそうです。市内の中心からは少し離れているそうですが、駅やバス停が徒歩五分の距離にあり、なかなかに人気のある物件だそうです。また、アパートの敷地内には入居者専用の駐車場があります。さらにその駐車場の横には公園も隣接しているというのです。優子さんは休日になると、子どもたちのはしゃぎ声を聞きながら、その公園の木漏れ日の下で読書を楽しんだりすることもあるそうです。素敵だなあと思いました。もっとも、その素敵だなあという思いは優子さんと水川部長が並んで歩いているのを目撃した時の比ではありませんが。
こういった例えを用いると、なんだかその時のことを根に持っているように思われるかも知れませんが、決して他意はありません。もしかすると、いいえ。おそらく私は一人の女性として、優子さんに憧れに似た感情を抱いていたのでしょうね。
話が逸れてしまいました。文才が無いゆえの失敗ですね。でも書き直そうとは思いません。このままにしておくことできっと優子さんも、あなたらしい、と笑ってくれそうだからです。
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