5
次も同じような配置ならきっとまた使うだろうと思って中年男の右手を拝借してきた。次の部屋に入って一歩進むと後ろ手に扉が大きな音を立てて閉まった。がちゃりと鍵がかかる、と同時に真っ暗だった部屋に明かりが灯る。それまでと同じぶら下がった裸の豆電球だ。
部屋の四隅を照らす強力な電球に照らされて浮かび上がったのは部屋のそこら中に散乱する白骨の
白い山の上に漆黒の
右腕が何かに乗ってふらつきながら前へと進んでいる。目を開けると繁華街の見た事がない道だった。右側で肩を貸してくれている人がいる。その横顔を見て私は今まで見ていた景色を思い出し叫び声を挙げた。その人の顔はあの空間で出会った中年男だったからだ。
「おう気がついたかい? もう少しで駅だぞ。呑み過ぎには気を付けなきゃなあ、お互いに」
ハハハと笑う中年男から離れようと右肩を外そうともがくと中年男が危ないぞ、と抑え込んでくる。それでも離れようと更にもがいた弾みで
了
向こう側の鍵 枕本康弘 @moto_yasu
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