第参拾九話 激闘ノ参
そのときだった、ふいに足元に衝撃がきた。
真っ向上段の一撃が宙でとまる。
日下が機先を制して作太郎の足を踏みつけたのだ。
太刀は鍔元で受け止められ、そのまま
(望むところだ!)
この展開は作太郎にとっては好都合だ。体力の衰えた日下に力負けすることはない。
だが――
日下が手首を返して作太郎の腕をするりと抜けると――
「ぐわっ!」
今度は衝撃がこめかみにきた。柄当ての業で作太郎のこめかみを突いたのだ。
まさに老練ともいえる技法であった。
火花が散り、目の前が真っ暗になったかと思うと作太郎の体が浮いた。
日下が相撲のかち上げの要領で下から肘を繰り出し作太郎を跳ね飛ばしたのだ。
その刹那――
白刃が閃いた。
「がはっ!!」
作太郎の腹が真一文字に裂けた。
そこから大量の鮮血とともに腸がこぼれる。
ぐいっと引き寄せられた。
日下がこぼれでた腸をつかんでたぐり寄せたのだ。
刃が迫る。
それはかわしようのない必殺必至の刺突であった。
第余拾話につづく
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