第弍拾八話 必殺の跳び蹴り!

「作太郎!」


 突然、一馬の声が響いて大刀が飛んできた。

 作太郎がそれを発止はっしとつかむ。


「一馬先生!」


 いつのまにか斜め前方に一馬が現れ、忍びの動きを制している。

 一馬は大刀を袴の腰帯に差し、白刃を閃かせた。


「おのれら……!」


 忍者刀を逆手に構えた忍びが歯がみする。二対一となり形成は明らかに逆転されてしまっている。

 作太郎が風のように動いた。

 忍びが刃を下から跳ねあげ振り下ろす。それはまるでカマキリのような動きだ。

 だが、作太郎は早くも忍びの動きを見切っていた。

 横一文字に払った斬撃が忍びの刀を跳ね飛ばす。


 バッ!


 忍びが跳躍した。


「手裏剣がくるぞッ!」


 一馬が叫ぶ。

 徒手空拳に思えた忍びの手から十字手裏剣が出現し、宙空から嵐のように打ち下ろす。

 作太郎にひるみはない。先ほどの枯れ葉と同じだ。そのことごとくを白刃で払う。


 忍びの履いた足袋たびのつま先から鋭利な刃が飛び出した。

 手裏剣を払って剣尖が右に流れた。

 その一瞬の隙を狙って跳び蹴りが作太郎の喉元に迫る。


「ッ!」


 一馬は目をみはった。

 作太郎の大刀が光を放つ。

 翻った白刃が忍びの体そのものを真っ二つに両断していた。




   第弐拾九話につづく

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