06
『レコードボックス到着』
賑やかな機内にその音が鳴ると扉が開いて二人は出て行く。私もその後を追った。
これは──。
先程見上げていた水槽の中にいた。大きさは3m四方くらいだろうか。全身が濡れている感覚があるのに、肌に触れるとさらりと乾いていることからそれは感覚上のみの事実ということを知る。
その中央には魚が静かに泳いでいた。海の魚というよりも錦鯉のような見た目をしている。真白な身体に浮かぶ色鮮やかな模様。しかし模様と思っていたそれが動き出す。
よく見ると映像が投影されているようだった。数人が集まって何かをしている?動き回る魚のせいでそれをはっきりと捉えることはできない。
「この場所が
「ヒナちゃーーーん!」
私達を横目にリリーさんは下にいる鷹島屋さんへ一所懸命に手を振っていた。下のフロアを見ると彼女はこちらを一瞥して直ぐにデスクへ視線を落とす。
「あれれ?ヒナちゃん私達のこと見えなかったのかな?」
「いや、しっかり見てたな。見てた上で、だな。」
『二人共…いや三人だったわね。正暦分岐点の説明をするわ。今回の
どこからか鷹島屋さんの声が響く。それに続くように無機質な音声が流れ始めた。
『
レコードボックス内
濡れない水が身体の深くへ浸透していくような感覚を抱く。
身体の中が満たされたとき意識はその中へと溶け込んだ。
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