12:坂道
「ここで夜を明かすこともできるけれど、出て行きたいならそこの坂道をのぼって行くといい。くだるのはおすすめしないよ」
そこの坂道――と言われて目を動かすと、ぼんやりと道らしきものが光って見える。ただの気まぐれなのだろうけれど、彼は世話好きなのだろうと思った。
「君からは質問がないみたいだし、ボクはお暇するよ。じゃあね」
金木犀の香りが強くなったかと思えば、樹木からは光が消えて、行くべき道だけ仄かに明るさが残った。僕は素直に坂道へと向かう。
――くだるのはお勧めしないと彼は言っていたけれど、ここからはずっと上り坂だよなあ。
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