11:からりと
彼の説明に僕は納得できなかったが、分かり合えないのは当然なのだろうと思った。言葉に聞き覚えのある単語が含まれているせいで、話し合いが成立するのではないかと期待してしまうが錯覚なのだ。
――同じ言葉を使う人間同士でさえ、分かり合えないんだから、なおさら。
彼は言葉を続ける。
「君がどこに向かうつもりなのかは知らないが、君は招かれてしまった人間だからね。必ずこの先で、君を必要としている者なり場所なりにたどり着くだろう。そして、それをよしとしない者もいる。気をつけて」
からりとした口調で助言をしてくる。お節介なヤツもいるのだなと思った。
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