2:屋上
随分と高い場所だ。風が強くて、僕の伸びっぱなしの髪がぐしゃぐしゃになる。
ここは人工物の屋上らしいがとても広い。それでいて人影は全くないし、コンクリートの地面に建っているものも特にない。なんなら僕がどうしたらこんな場所に来られるのかさえ想像できない程度に遮るものがなかった。
そんな場所であるので見通しはよく、建物の向こうには山が繋がって見える。
「ここはどこなんだ?」
歩いてみて、自分が靴を履いていなかったことに気がついた。どこかから調達しないとと思案しつつ、建物の端までたどり着く。フェンスも何もないのでおっかないが、しゃがんで下を覗き込み――ひっ、と短い悲鳴をあげてしまった。
覗いて見えた地面までは恐ろしく遠いのだが、そこが真っ赤に染まっていることは確かなのだった。
「これは一体……」
ほかに見えたものから判断するに、この建物はショッピングモールと公共施設が同居するようなものらしい。だが、人の気配はない。周辺の建物も観察するが、通りに車はあっても動いておらず、むしろ無造作に放置されているような有様だ。
何が起きたというのだろうと考えたところで僕の横に影が増えた。
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