第17話 二条の救出
「お話は、済みましたか障害王女様よ」
そう優斗が私に言って来た。
「えぇ、その前に一つ確認するけどいいかしら」
「なんだよ」
「風翔ここに出しなさい。そしたら命までは取らないわ」
「そりゃどうも、そしたら風翔の居場所……」
そう優斗が風翔の居場所から聞き出せるかと思っていた。しかし、そんな事は簡単に進ませてくれないのが世の中と言うものである。優斗は、槍を私に向かって一突きしたのだ。
「危ないでしょう?まぁ、良いわ貴方がその気なら……」
そう言って私は、持っていた刀を抜きながら優斗にゆっくりと向かって行った。
「へぇ、そんな刀如きで俺の命が狩れると思ってんのか」
そう言うと私に向かって優斗は、小銃を私に向けて来た。それを私に向かって放って来た。まぁ、そんな物をまともに食らえば死ぬなんて知っていたので近くの草木に身を潜めた。
「全く、あんな武器があるなら部隊の式神砲の一つでも拝借してこれば良かったかな」
そう言いながら私は、しばらくの間草木に身を潜めながらある事を考えていた。それは、彼が持っている武器の存在についてである。この世界は、陰陽師と呼ばれる能力者が一番強いと恐れられている。その理由は、召喚獣と言う物を使えると言う簡単な理由であり召喚獣と言う物を使って戦争を進めて行き国を作ったのが若宮王家の始まりであったのだ。
しかし、彼が持っている武器はそれと違った意味で恐ろしいのである。もし、彼が持っている武器がマシンガンであればこの世界に大きな変化があるのは確実であろう。
そんな事を考えていると銃弾の雨がピタリと病んだ。
「あ、あれ弾が出ねぇじゃねか」
そう優斗が引き金をカチカチしていた。
「全く考え無し撃つからこうなるんだよね」
そう言って私は、草木から勢い良く飛び出した。
「さようなら」
そう言って私は、優斗を袈裟に賭けたのだ。
「くっそが、あの桜め騙しあがって一生……」
そう言って優斗は、こと切れたのであった。
「陛下、ご無事ですか?」
そう琴音が私に言って来た。
「えぇ、無事よ。行きましょう」
そう言うと琴音は、首を縦に振った。そうして私は、風翔の居場所を探した。しかし、どこにも居ない処か咲輝の姿すら見当たらないのである。
「貴様なんか、猫ノ宮に滅ばされてしまえばいいんだ」
「そう、なら私をここまで玩具にしたこと死んで償いなさい」
そう言った直後人が倒れる音がしたのだ。
「あの陛下、もしかして……」
「あぁ、この
そう私達は、天守閣に侵入した。
するとそこには、血を流して倒れる風翔の姿と二人の少女の姿があった。
「おそらく、花椒だと思う」
そうシノが私に呟やいた。するとこちらに気づいたのか花椒が刀を振りかざしながら私に襲いかかろうとした。
「ったく、相変わらずの力だね花椒」
そうシノが言うと少女は、一歩引いた。
「あら、最弱の策士
そう赤髪の少女は、シノに言った。
「うっさいわね、ショウ」
そう言うと私は、ショウの扱える人間ですぐそばにいるボロボロの格好で手足に枷をはめられている少女の姿を見て察した。
「シノ、下がってなさい」
そう私がシノに言うとシノは、私の傍に戻って来た。
「随分、手ひどくやられたのですね」
そう私が言うと咲輝は、顔を背けた。まぁ、獣の皮を縫い合わせたような服に手足に枷を付けられている姿を見られるのは正直に言って恥かしものである。しかも周囲には、三角木馬やむち打ちと言った拷問道具が揃っていたのだ。周囲の状況から見ると相当壮絶な体験を強いられていたのだと言う事ぐらい容易である。
「誰か知らないが、姫をいじめないで頂きたい」
そうショウが私達に言った。
「ショウ一体誰だと思ってんのこの人を?」
「誰って内府かその妹じゃないの?」
そうショウが答えた。
「このお方は、湊帝國皇帝虎臥結奈様だよ」
そう言うと私は、ショウに近寄った。
「あのさ、もしかしてそこに居るのは……」
「陛下の推察通りの御人でございます」
そうショウが言った。
「琴音、着物持ってない?」
「いや、陛下そんな唐突に持っていないですよ」
「そうだよね」
まぁ、当たり前の話なんだが着物を持ち歩きながら戦闘を行なうなど出来ないものでましてや普段では絶対に行わない行為である。
そんな事を悩んでいると辺りを散策しいたシノが私の横にやって来た。
「ねぇ、これ着させたら?」
そうシノが持って来たのは、まさか男性用の着物であった。
「どこにあったの、そんなもの?」
「あの木馬の奥の物干し竿にかかっていたやつ」
そうシノが渡して来たやつは明らかにサイズが合って無いものであった。しかし、今の姿よりかは幾分かは良くなるのも事実であった。
「琴音、咲輝にその着物を羽織らせて本陣まで連行しなさい」
そう私は、琴音に指示を出して先に本陣に戻る事にした。
「御大将、お帰りなさいませ」
「あーただいま」
「御大将、しろまる様と萌花様・朱音様が来ております
そう言ってきたのだ。私は、なぜ二人がこの地にやって来ているのだと思いながらも本陣に萌花・朱音の他にもしろまるがいるのは普通ではないと思い私は、本陣の中に入った。
「しろまる、どうしたの?」
「実は……」
そうしろまるが、事情を話そうとすると萌花が割って入ってきた。
「結奈、猫ノ宮帝國が但馬及び播磨に侵攻をして、帝國の統治下にしようとしているのよ」
そう萌花が言ったのだ。
そんな時であった、琴音が本陣にやって来た。
「陛下、咲輝様をお連れしました」
「あ、そうか、連れてまいれ」
そう言って私は、本陣の椅子に腰かけた。
「結奈、私達はどうすれば……」
「いつものように座ればいいんじゃない?」
そう言うと萌花と朱音は、目の前にある机を手早く片付けて椅子を私を挟むような形で座った。
そうして、準備が出来た所に着物を羽織った咲輝が、私達の目の前にやって来た。
「お久しぶりです、萌花・朱音様」
「ずいぶん、手ひどくやられたのですね。今の姿の方がお似合いですよ」
そう萌花は、咲輝を見て嘲笑ったのだ。まぁ、萌花にとってみれば咲輝は母親を殺した大将の妹君で、嫌味を言うのは当たり前のことではある。
「萌花、少し抑えなさい」
「結奈、あんただって……」
「黙りなさい、萌花」
そう萌花が言いかけた言葉を止めた。萌花の言いたい事は、分かる。しかし、同じ年頃の少女でありながら裏切りに遭い、女子としての尊厳を奪われたような恰好をさせられているのだ。このぐらいでやめなければ、この子のであり私の妹が可哀想である。
そう思いながら私は、咲輝に言葉をかけた。
「そなた、敗北をした。我軍は、貴様を処刑する覚悟もあるが、そなたはどうしたい?」
「私は、皇帝の処断に従うつもりです。ただ希望としては、生きたいと思います。虫がいいのは知っています。しかし、奴隷でもなんでもいいので、生かせてくれませんか」
そう涙ながらに私に言ったのだ。当然ながらこんな虫のいい話なんか、そう簡単に聞けるようなものでもない。
「そうか、分かった、萌花、お前に咲輝を預ける。生きたいのであれば、萌花に尽くせ」
そう私が咲輝が言うと深々と頭を下げた。辺りには、彼女のすすり泣く声と鳥の鳴き声だけが聞こえていた。
そうして咲輝の処断を決めた私は、片付けが終った二条城に入ったのであった。そして、白鷺軍の本隊であり私の妹である冬華との全面戦争がいよいよ終結をしようとしていたのであった。
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