第16話 裏切りと反乱

 「伝令、伝令」

 そう私の本隊に琴音が率いる先陣より伝令が突如やって来た。

 「どうしたのよ?」

 「は、琴音様より伝令。二条殿ご謀反」

 「そう、琴音の指示はなんと」

 そう私は、伝令に聞いた。

 「包囲、陥落をする下準備を行っており本隊の到着を待つとの事です。それから琴音様よりこの書状を殿下に」

 そう言って一枚の紙きれを私に渡して来た。私は、それを受け取り目を通した。


 「そう、そう言う事か咲輝」

 そう私は、呟くと伝令に向かって言った。

 「すぐに琴音に捕縛作戦の中止及び二条陥落戦に移行せよと通達いいな」

 そう私は、伝令に伝えた。すると伝令は、首を縦に振ると走って琴音の所に向かった。正直に言ってここから二条まで距離にして一時間は、かかるが琴音なら上手く指揮を執ってくれるだろう。

 そう思う他無いのだ。

 「陛下、我らはどうされますか?」

 そう琴音の小姓が聞いて来た。なぜ琴音の小姓がいるかと私が、単独で行動して危険な事をしないようにと言う意味で今回だけ琴音の小姓が私の傍に居るのだ。

 「まぁ、虎姫隊の皆ならやる事知っているから大丈夫でしょう」

 そう私は、小姓に言うと全軍に向かって言った。

 「さて、咲輝をどうするのか知っているのなら分かるよな」

 「御大将、やってよろしいのですか?」

 「構わないよ」

 そう言うと一斉に散開して進軍を開始した。その様子を見た小姓が私に聞いて来た。

 「あの陛下、護衛兵が一個小隊分しか残っておりませんが大丈夫ですか?」

 「別に問題無いよ。そもそも虎姫隊は、三つの小隊から編成された部隊そのうち二個小隊かけても問題無いよ」

 そう言うと私も別働隊に遅れては、彼らの作戦の役割を水に返してしまうと思うと一刻も早く行動する必要があった。

 「さて小隊諸君、姫を捕縛しに行くぞ」

 「おぉー」

 そう言って私達は、京の街並みを走って二条に向かったのだ。


 一方その頃

 「咲輝殿下、お気持ち変わりましたでしょうか」

 「あんた達、何をしているのかわかっているの?」

 そう咲輝が男に話すと男は深い溜息を吐いた。

 「何を?ただ咲輝お嬢様を縄で縛っているだけですが?」

 そう言ったのだ。

 「あんた達、お姉ちゃんが知ったらどうなるのか知っているんでしょうね?」

 「ふん、所詮小娘か、また来るからな」

 「あんた達、覚えてなさい」

 そう咲輝が言うと男は、部下と共に去って行った。


 「そろそろ二条に着きます」

 そう報告を受けるとそこには、若葉紋とその先にある紋に私は見て驚いた。

 「なるほどね、若宮風翔そっちにあなたが着くんだ」

 そこには、黒の若葉紋が翻っていた。

 私は、多少驚きはあった。しかし、虎姫隊の活躍を良く思ってない勢力があると言うのも知っていた。その勢力が若宮風翔を総大将とした勢力である。まぁ、朱音から聞いた時はまさかとは思っていたが現実に起きてしまってからには対象しなければならないものである。

 そう考えながら琴音のいる本陣に向かった。


 「琴音、大丈夫?」

 そう琴音の所に行くと既に日は上がっていた。

 「えぇ、大丈夫です。ただお、風翔の姿は無いので恐らく別の拠点で反乱を企てているのでしょう」

 そう言う琴音の姿は、どこか戸惑いのある姿であった。しかし、ここは戦場であり身内であろうと殺らないといけない場面もある。それで大切な物を失ったりするのだから、かつての私のように……

 そんな事を気にしながらも琴音は、机のある地図で配置している部隊で琴音の作戦を聞いた。

 

 「……と言う事ですがよろしいですか陛下?」

 「そうね、問題無いよ」

 そう言うと琴音は、作戦を開始するべく本陣を後にしたのだ。その様子を見ていたしろまるが私に聞いて来た。

 「あの御大将、琴音様大丈夫ですか?」

 「えぇ、大丈夫よ。彼女の作戦を使って私達の作戦を行なうからね」

 そう言うと私は、しろまるに二枚の紙を渡した。

 「これを東部隊と西部隊に渡して」

 「御意」

 そう言ってしろまるは私の元を去った。


 そうしてしばらくしていると琴音隊による砲撃攻撃が始まった。琴音は、全門に部隊を配置して突撃をさせて陥落させる方法であった。

 「始まったわね、狼煙をあげなさい」

 「了解しました」

 そう私は、琴音の攻撃開始を伝令に伝えて狼煙を上げさせた。

 「では、砲撃作戦を開始せよ」

 「了解」

 そう言って私は、部下に言って北門から少し離れた所に大砲と鉄砲隊を配置した。

 

 「御大将、配置完了しました」

 「うむ、はなてぇー」

 そう言って私は、部隊に指示を出した。その途端に一斉に四門の大砲と六発の霊獣砲が火を噴いた。それと同時に天守閣から破片が飛び散った。

 「さてと我らも突撃をするかな」

 「了解」

 そう言って私達は、破壊した塀に向かって進軍をした。その様子を見た小姓が私に聞いて来た。

 「あの陛下、突撃ってどこからするのですか?」

 そう私に聞いて来た。

 「いや、普通にあそこの塀から?」

 そう言って私は、破壊した塀を指さした。小姓は、首を傾げていたが私は、気にせずに前進した。

 堀のふちまで来たとき小姓は、私が余裕にしていた理由に驚いたのだ。

 「まさか、あの砲撃ではしごを作るとは……]

 「まぁ、後ろで作っていたからね」

 そう言って私達は、二条城の城内に侵入した。そしたら案の定であろう敵が両側からやって来た。

 「っち、まさか琴音隊の方の部隊がこっちに流れて来たのか。小隊、下から砲撃支援をお願い」

 そう指示を出した。

 「御意、橋はどうしましょう御大将?」

 「破壊して構わないわ」

 「御意」

 そう言って私は、小隊を堀の外側に戻した。


 「さてと、しろまるじゃ始めるか」

 「御意、我主」

 「鮫姫、おいで」

 そう言って鮫姫を呼び出した。

 「なに、ここの兵全員食べていいわ」

 「了解」

 そう言って私達は、敵兵を一気に倒しにかかった。小姓も槍を振るいながら私にこんな事を聞いて来た。

 「あの陛下、この二人で大丈夫なんですか?」

 「あー大丈夫だよ」

 そう言いながら私は、やって来る敵兵を惨殺して行った。しかし、私は小姓が意外に戦えると言うのであった。


 「はぁー全くやはりこうなりますか、陛下」

 「あら、遅かったじゃない琴音」

 そう言って数人の兵を率いてやって来たのは、琴音であった。

 「まぁ、いいですけどどうされますか?」

 「おそらく、敵は本丸ね」

 「でしょうね」

 そう言って私は、新方砲撃が止んだ事からこれ以上すると本丸に狙いを定めないと行けないのだと知った。

 「それじゃ行こうか、琴音」

 「御意、陛下」 

 そうやって行こうとすると琴音は、小姓にある指示を出した。

 「小姓この者達と共に引き上げて虎姫隊と合流しなさい。以降の指示は虎姫隊の指揮下に入りなさい」

 「了解しました」

 そう言って小姓は、琴音の率いていた兵士と共に引き上げて行った。それと同時に破壊された天守閣と同時にその瓦礫によって損かいしている本丸御殿に私と琴音の二人で突入した。


 しばらくの間探索していると琴音が私をいきなり止めたのだ。

 「陛下、おそらく誘導されています」

 そう私に言ったその時だった。左右から数人の城兵がやって来た。

 「虎臥結奈殿とお見受け致す。我らの御城代の為にその命頂戴する」

 そうどこぞの時代劇さながらの言葉で一斉に襲いかかって来た。

 「主人に何するのよ」

 そう言って一瞬に敵兵は惨殺されたのだ。ただ一人の少女によって

 「相変わらずだね、シノ」

 「ありがとう」

 そう相変わらずの塩対応である。シノとは、若宮王家の守護獣の一つである桂皮であり、あまり話す事が好きではないのか無口なのである。

 「おそらく……」

 そう私が何かを言いかけたその時だった。庭の方から一本の矢が飛んできたのだ。すると琴音は、目の前にある襖を蹴落とした。


 するとそこには、一人の少年がいた。

 「へ、陛下、あの紋章って……」

 「あ、山名御紋だな」

 そう私が言うと少年は、私の方を見たのだ。

 

 「おや、障碍女王自らとは意外だな」

 「そうかしら?ところで君は誰、私の妹の大切な人に乱暴働いていたようだけど?」

 そう私は、少年に向かって言った。

 「俺は、山名優斗やまなゆうとだよ。山名舞花まいかの弟だ」

 そう言うと琴音が優斗に話かけた。

 「なんで、猫ノ宮帝國の人間がここにいるの?」

 そう山名舞花と言えば、猫ノ宮帝國の軍人のトップの人である。陸海で、無敗を誇る名将である。そのような弟が居るとなるときな臭いものである。

 「へぇ、そんなの決まっているじゃないか若宮風翔の謀反の協力さ」

 そう言ったのだ。

 「もういいわ、死んで」

 そう言って琴音は、刀を抜いたのだ。

 「よしな、琴音」

 私は、琴音が持っていた刀を取り上げたのだ。

 「なぜです?あの男は、陛下を侮辱しているのですよ?」

 そう琴音が私に言って来た。

 「琴音、あんな安い挑発ちょうはつにのならいの。私にいい案があるからさ」

 そう言って私は、優斗のいる本丸の庭に降りたのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る