第12話 前世の夢

 自室に帰った私は、布団に倒れるように横になった。

 「はぁー停戦が終わったら再会するのかな」

 そう呟きながら私は、緊張の糸が切れたかのように目をとじた。


 「ここは、どこなのか?」

 そう思いながら私は、辺りを見渡しながらどこか既視感があった。

 「もしかして、ここは前世の記憶なのか?」

 そう思いながら私は、部屋の中を散策する中で一冊のノートを見つけた。

 「『若様の夢物語』こんな話書いてのか」

 そう思いながら私は、そのノートを手に取り近くのソファーに座りノートを開いた。そこには、私がこれまで経験して来た事の出来事が書かれていた。しかも、まるでそばで見て来たかのような感じで書いてあった。しかし、ノートには虎臥城の落城の後から先は、城の図面らしき絵と鉄砲の図面と言った図面ばかりが描かれていた。

 「はぁー私の生きている世界ってもしかしてこの物語の世界の中なんかな」

 そう思いながら私は、ノートを元の場所に戻そうとすると一枚の虎のイラストが書かれたシールで留められた水色の袋が足元に落ちたのだ。

 「なんだろう、この袋」

 そう思い私は、袋の中を見る事にした。あんまり、他人の者を見る趣味は、無いが夢の中であり前世の私の部屋だろうから問題無いだろうと思って袋の中に入っている紙を取り出すと手紙らしき紙が入っていた。


虎姫へ

 この手紙を読んでいると言う事は、恐らく私は転生をしたのでしょう。そんな私に前世の私がなぜあのような自殺さいごを辿ったのかについて少しだけ述べようと思う。私は、夢の中では「虎姫こひめ」として夢の中で生きていた。その夢は、自分みたいな障碍を持った者が一人の女王の下で皆、平等で差別の無いような世界であった。

 その国の王女として夢の中では過ごしていた。しかし、夢から覚めると待っている待っているのは生きづらい社会である。特に私は、収容所への入所は苦痛の日々であった。なぜなら、刑務官に逆らえれば自分の自由を奪われる世界なのだ。そんな世界があるのに、外からは、子ども達が生きやすい世の中を作ろうとしている者が居れば、障害を持っている子たちにも、健常者と同じ教育を受けさえようとする者もいる。私は、現実を見てから言って欲しいものであると思う。だって、刑務官である者が気に食わないやつには、「区別」と言う名の「差別」を行い、障害を持っている可能性のある者にはその後の人生における差別について一つも知らせずに手帳を取らせようとして来る世の中なのである。

 それを経験すれば、この世界に絶望するのも無理の無い話である。「手帳を持っていれば差別を受けにくいなる」と言う人がいるかもしれないがそれは幻想である。現実は、統治者からの支援があるから差別を出来ないのであって支援がなくなれば区別と言う名の差別が始まる。今でも健常者と障害手帳を持った民とでは、給与に差があるのにこれに学歴による差が重なってしまえば、言うまでも無く待っているのは「地獄のような生活」である。手帳を持つと言うのは、あくまでも病気を持っていると言う証明であって、「その人の能力が周りの健常者と比べて全てが低い」と言う事ではないのである。それなのに、障碍を持った人でも持ってない者でも自分と違った者を見ただけで差別や非難をする。

 そのような世界に居るぐらいでのあれば、転生かこの夢の中にいたものである。出来れば、一生この夢の中にいたものである。

                                                       前世の私より


 その手紙を読んでいると誰かが入って来るのを感じて見るとそこには、白の狐のお面に紺色の道着袴を着て腰に黒の刀をいた少女と私は、しばらくの間膠着こうちゃくをしてしまった。


 「あ、それ見たんですね」

 「あ、すみません」

 そう私は、とっさに手紙を袋に戻した。

 「あの、誰ですか?」

 そう私は、お面を付けた少女に名前を聞いた。

 「私の名前は、結奈。あなたのもう一つの世界線の住人」

 そう言うと私は、彼女の言う「もう一つの世界線」と言う言葉に疑問に思った。もし彼女の言う言葉が本当なら彼女は、パラレルワールドの住人であると言う事になる。しかし、一つ疑問なのはどこのパラレルワールドから来た住人なのかである。パラレルワールドと言う物は、過去のある時点で分岐して、共存する世界の事を言うのであると言うのが前世の私における世界の定義とされているのである。もし前世の私の世界の定義のある時点を生命の危機と言う事に固定をするのであれば、恐らく電車に飛び込んだのがパラレルワールドの起点になるのでは無いかと思うと納得してしまうのである。

 ただ、これはあくまでも私の推測に過ぎないので私は、結奈にこんな質問をしてこの推測の裏付けをしようとすると結奈から私にこんな質問をして来た。

 「あのさ、あなたって電車に飛び込んで転生したの?」

 「な、なんで知っているの?」

 「やっぱり、に飛び込んだ世界線の私なんだ」

 「あのさ、結奈ってあの時にどの選択をした世界線の私なの?」

 「うーん、飛び込まなかった世界線の私かな?」

 そう言う彼女の姿は、何かを隠しているような感じがした。

 「あのさ結奈、あの後の世界線って何があったのか私に教えてくれない?」

 そう私は、結奈にお願いをした。正直に言って私は、この願いをするのは気が引けるのである。なぜなら、彼女の思い出したくない記憶を再び思い返してしまう事に繋がってしまうのでは無いかと思うとどうしても気が引けるのである。

 「えぇ、分かったわ。じゃ、あの悲劇が起きなかった世界線の話をするわね」

 そう言って結奈は、あの悲劇が起きなかった世界線の話をし始めた。正直に言うと私の予想していた通りの世界線であった。あの後も教師からの圧迫面談は続いていたのだが、大陸からの流行り病が国内で大流行した事により一時的に学校が休校になりその期間だけは圧迫面談から解放された。しかし、休校の期間が終ると圧迫面談の再会された。その圧迫面談を何度も粘った事もあってか、教師は文句たらたらを言いながらも内申書を制作をしてくれたのだ。その結果何とか入試を受けることが出来たのだが、教師は落ちるのでは無いかと予想しながらも内申書を渡して来たらしいのだ。そして教師の予想は、見事に的中をしてしまった。

 その結果を結奈は、教師に報告をするとあの頃みたいな圧迫面談を行ったらしいのだ。結奈が、自殺未遂を仕掛けた事を知らずにである。しかし、結奈が自殺未遂を仕掛けたと言うのは、保健室の先生やカウンセラーの先生にも相談をしていたらしいのだがそんな事は、学校は知らないと言う素振りであったらしいのだ。

 そんな事をしている結奈にも限界に到達したらしく、結奈は当時服用していた薬を大量服用して自殺をしようとしたらしいのだ。しかし、服用量が足りなかったのかもしくは自殺予防されていた薬なのか知らならしいのだが、自殺は失敗したらしいのだ。翌日に学校行ったらしいのだが、その記憶は無かったらしいのだ。その為彼女の周りの人間からの話よれば、ふらふらしながらでも普段通りの生活を送っていたらしいのだが、放課後に教師呼び出されて職員室に向かう途中の廊下で突然倒れて寝てしまったらしいのだ。その為一度、保健室に運ばれて親に迎えに来てもらうように言ったらしいのだが、来た親はすぐに救急車を呼ぶように先生に言ったらしいのだ。その理由について、先生が親に聞いたらしいのだが、極度に末端の血液の酸素飽和度が薄かったのを見た親がすぐに病院に連れていく必要があると判断をしたらしいのだ。その親の予想は、的中して結奈は一時病院で心停止になったらしいのだ。その後目覚めた私は、親にその話を聞いた私はこれまでの教師の所業について話すと親は、校長にこの話をしたらしいのだ。その後校長から話があったのか知らないが、多少ましになったもの余り変わらないのであったらしいのだ。そして二回目の受験のために内申書の制作をして受け取りに行くと他の生徒も内申書を受け取りに行っていたのだが、教師はその生徒に一言応援のメッセージを言っていたらしいのだ。しかし、結奈にはこれ内申書だと言う風に渡すだけで応援のメッセージとか何も言わずに渡した。

 その後受験に合格をした結奈は、その結果を教師に報告をしなければならない為に報告をした。その報告を来た教師は、まるで自分の手柄みたいに誇っていたらしいのだが、正直に報告のタイミングが卒業式当日であった為無視をしていた。その後、無事に大学に行った結奈は、サークルの幹部として大学生を送っているらしいのだ。

 

 「これが、私の人生かな」

 そう言うと私は、結奈の話を聞いて案の定の結果だと言う事に、安心してしまった。ただ、予想外なのは結奈が自殺未遂を行なっていると言う事なのである。しかも、オーバードーズと言う行為によって自殺未遂を行っていると言うのが意外だった。

 そんな私は、少し気になった事を結奈に聞いた。

 「ねぇ、結奈なんで自殺未遂をしたの?」

 そう私は結奈に聞いた。すると結奈は、ソファーから立ち上がって私にこんな事を聞いて来た。

 「ねぇ、何か飲み物とおつまみ取ってくるけどなにかいる?」

 そう結奈に話を交わされたような気がするが、私ものどが渇いているしおつまみを食べながらでも話をしても良いかなと思うと彼女の案に載ってしまった。

 「じゃ、リンゴジュースとたまごボーロお願い」

 「分かったわ、じゃ他のおつまみは適当に見繕みつくろって持ってくるね」

 そう言って結奈は、部屋を出って行ったのだ。

つづく

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