第11話 交渉と思惑
私が広間に着くと既に朱音が座っていた。
「ごめん、遅くなってすまない」
「大丈夫ですよ、明日の支度の方は大丈夫なんですか?」
「えぇ、問題ないわ」
そう言って会話していると広間に咲輝がやって来た事を知らせる使い番がやって来た。
「申し上げます、
そう言って咲輝が入って来た。
「夜遅くに押しかけて申し訳なく存じ上げます、虎臥結奈皇帝陛下」
そう言って咲輝が深々と頭を下げた。その様子を見て朱音は、咲輝にこんな質問を投げかけた。
「表をあげられよ、咲輝殿」
「はっ」
「本来であれば、内府である我姉の狐ノ宮朱奈若しくは真中家当主真中萌花殿が出席なさる予定でしたが、あいにくお席を外しており代わりに狐ノ宮朱音がお二方の代わりに出席させていただいております」
そう朱音が長ったらしい挨拶をしていた。さすがあの内府の妹だけあってしっかりしているものである。
「では、咲輝殿なぜ我らにすぐに面会を求めて来たのか理由をお聞かせください」
「率直に申し訳あげるなら、湊帝國の傘下に下りたいのです」
そう咲輝が言うと朱音と私は、一瞬膠着した。すると朱音が咲輝に更に詳しい事情を聴くべくこのような質問をした。
「なぜ、今頃になって降伏なのですか?」
そう降伏と言うよりも白鷺帝國の領土と湊帝國の領土と国力も圧倒的に白鷺帝國の方が上である。しかし、それなのに降伏や傘下に下ると言うのは理由が無いのである。それに周辺列強も白鷺帝國に抵抗出来るほどの能力は無いはずであったのだ。
「実は今白鷺帝國は、隣国である
そう咲輝が言うと私は、咲輝に話とするために朱音にこんな事を頼んだ。
「朱音、御簾をあげなさい」
「了解しました、陛下」
そう言って朱音に御簾を上げさせた。そうすると慌てた様子で顔を下げた。
「咲輝、表を上げて構わないわ」
「はっ」
そう言って咲輝は、恐る恐る表を上げた。まるで、湊帝国の皇帝と謁見した時のようだったので少し懐かしく思いながら見ていた。
「それで、咲輝よ先ほど述べた話は本当でいいのよね?」
「はい、間違いございません。私の言葉白鷺皇帝の御言葉と受け取って構いません」
そう咲輝が言うと私は、詰めた質問をする事にした。
「なら咲輝、村上帝國と山陰連邦国はどうなったの?もし現状そうなっているのなら帝國と王国は、二国を滅亡させたことになるわよ?」
そう言うと咲輝は、恐る恐る言葉を述べた。
「はい、恐れながら両国とも一夜にして陥落させられており連邦も帝國も君主は全て殺害されております」
そう言うと私は、少し考えた。そもそも二国が一夜にして陥落するような国ではないのである。なぜなら村上帝國は、
その事から私は、ある事を考えたのだ。しかし、咲輝に聞いても恐らく分からないだろうが現状聞くほか無いのも事実であり聞く事にしたのだ。
「咲輝よ、本当に坂本王国からの侵攻なのか?」
「はい、間違いございません」
そう咲輝が言うと私は、このような事を彼女に話した。
「もし猫ノ宮家が坂本王国を一夜で陥落させることが出来たらどうする?」
「そうなれば、私達は猫ノ宮帝國の侵攻防止のために防衛線を構築します」
「そう、わかったわ」
そう返した最中であった。突然思いもよらない知らせが飛んできたのだ。
「申し上げます、先ほど内府様からの知らせで猫ノ宮帝國から宣戦布告され内府様の指揮の元旧領である
「そう分かったわ、そのまま播磨及び因幡に侵攻を命じなさい」
「了解しました」
そう返した直後だった。再び伝令がやって来た。
「どうしたのよ、今度は何?」
そう朱音が切れながら伝令に聞くと伝令は震えながら言葉を出した。
「も、申し上げます、四国の坂本王国滅亡とのことです」
それは、私が予想した通りの結果になった。そう坂本王国は、元々猫ノ宮家の
そして白鷺帝國がこのまま猫ノ宮帝国に攻め落とされるなど御免なので私は、こんな事を提案した。
「咲輝よ、我帝国に白鷺帝國領の姫路以外を全て差し出したら白鷺帝國を救援しよう」
そう言った。勿論これは、白鷺帝國の事実上の降伏宣言をする要請であった。
「そのような理屈を通すわけには行きません」
「そう分かったわ、なら二ヶ月間だけあなたの本拠である山城には手出ししないわ」
「分かりました」
そう言って咲輝は、大津城を後にした。その様子を見て私に朱音がこんな事を聞いて来た。
「陛下、よろしかったのですか?」
そう朱音が心配そうに聴いてきた。確かに猫ノ宮帝國が四国と淡路を領有しているのが事実である以上白鷺帝國の滅亡はもはや時間の問題と言って良いだろう。
「別にいいわよ、それこそが猫ノ宮のやり方だからね」
「そうですか、して山城攻略が出来ない以上次の攻略地はどこにするのですか?」
「そうねぇ、どうしようか」
そう言いながら手元にある小さな地図を見ながら考えているとある地域に目が付いた。
「朱音、これより
「しかし、それをすると
この三国は、中部地方を勢力とする三国であり、東海道を支配する今川王国と信濃と甲斐を支配する武田王国に湊帝国の隣国にある滝川連邦は、北陸道を押さえる連邦国で、日本海側から東方を攻略する際に必ず攻略しないといけない国家である。そのうえ東海道の要衝である那古野を統治する国家である。
「別に彼女達は今は動けないわよ」
そう言って一枚の書状を朱音に見せた。それを読んだ朱音が私にこんな事を聞いて来た。
「陛下、これはいつのお話しなんですか?」
「昨日よ、武田・今川連合国軍より関東帝国が侵攻の仲裁をしろだってさ」
「どうしたのですか、返事の方は?」
「断っておいわ、どうせ関東軍には勝てないのだから」
「そうですか、滝川連邦はどうなるのですか?」
「あの国に今兵を動かす余力があるわけないじゃん、そう言う事だから私は寝るわ」
そう言って私は、自室に戻ってお婆様の葬儀の為に自室に戻った。
その頃咲輝は、とある人に報告をしていた。
「……と言う事であり山城は、二ヶ月間侵攻をしなさいとのことです」
「そう、分かった」
「咲輝、ありがとうね」
「別に大丈夫ですけど、
「そうね、でもバレたらたぶんこの国滅びるわね」
「そうですね……」
そう咲輝が言うと少女がこんな事を咲輝に向かって話した。
「ところで、結奈姉は元気でいるの?」
「はい、お元気と言うよりも怖かったです」
「そう、分かったわ」
「こっちも作戦の準備はあと少しで完了するから領土防衛お願いね」
「分かりました、陛下」
そう言って少女は、京の闇に消えて行った。
つづく
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