炎上図書館/想起の図書館その4

 大学の図書館へと向かうとそこは火の海になっていた。


「これ避難誘導したほうがいい感じかな?」


 そうすると先程も見たパーシヴァルの人形がやってくる。


「いえ、皆さんはここに現れた賊党どもの撃退をお願いしたいです。避難誘導は私の人形で行います」


 ロンドンの中でもトップクラスの図書館。そこでこのようなテロ行為が起きることは相当の治安の悪さを感じられる。


「パーシヴァルさん。どのくらいの規模かって分かる?」


「火元になってる主犯格がいるのは分かるのですが、エーテルでの炎上をしているから感知が厳しいです」


「俺たち以外に戦力は?」


「ヘレナ先生が図書館全体のエーテルを管理していて直接下せず、私は避難誘導で回っています。パーシヴァルが今何人か抑えているところですね。ガレスは今いないです」


 他の人らはあてにならんか。


「パーシヴァル単体では万が一があると困るので、私が誘導をするので何人か」


「じゃあ、私とハーン来て。援護行こうか」


 僕とモルドレッドで残りを潰すって感じか。ホームズとハーンが駆け出していく。


「もう一体来たから行こうか。モルドレッド」


「ああそうだな」


 炎で燃えていく本。駆けてゆく場所全てにある本は消えてゆくと考えるとあまりにも辛さがやってくる。このまま忘れ去られていくとするならば自分は耐えられない。自分は忘れられるのは怖くて、そして仮に自分じゃなくても忘れられるのは止めたい。


 思考に耽ると目の前に一人の男が怪我をして動けない状態にあった。その負い目を追い打ちするかのように今回のテロをした敵がいる。


 足に力を込めて大きく一歩を踏む。相手を一撃で仕留めるようエーテルの刃に集中する。


 前傾姿勢で全体体重を掛けた一撃が敵に当たり、切り裂いてゆく。


「モルドレッド!拘束頼む!」


 モルドレッドが付与によって形づいた銃から拘束の紐を飛ばし取り押さえる。そのままパーシヴァルの人形に渡し、運送させてゆく。


「モルドレッドは他の敵頼んだ。僕はこの人を見る」


 助けた男を見る。その目は恐怖から好奇、憧れに転じているように思える。僕はそれに応えるように―――


「僕はアーサー。不屈の騎士で君を助けにきた」


「あ、ありがとうございます!」


 今来た道を戻るにしても、炎だらけで分からないな……とりあえず、火に対して耐性を持たせるように防御にエーテルのリソースを使うとして。うろ覚えだけども、向かうしかないか。


「熱くない?」


「大丈夫です」


「ならよかった。とりあえずここから出すようにするね」


 さてと、期待を裏切らないように動かないとね。

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