事件解決翌日/舞台防衛戦その7
「今回の襲撃犯に手を貸した電脳技師、控えめに言って似非、たわけ者を通り越して邪悪です。これが無知であろうと既知であろうと」
翌日に再び4人と落ち合う。身体はしっかり動く。集まってから昨日の反省会をするとハーンが怒りの感情を滲ませる。
「……ですが、そうでなかったらアーサーは死んでいました」
はっきりと断言されていたが、否定はできないしむしろ肯定する。
「電脳というのは繊細です。特にジェイクの改造度では何も対策せずに怒りの感情を籠もらせると破滅しますよ。怒りによって過剰に流される信号はノイズが多すぎて受け止める事ができずに壊れます」
煽っといて正解だったか。いや、そうでもないかな。
「その顔をするのはやめよう?解決はできたし、課題は気持ちを落ち着いてからでも良いじゃないかな?」
誰もこぼれ落ちなかった。その事実だけで自分は満足だった。そんなことよりも、今のハーンを見たくない。
「だけども一番の問題は私です。万が一がやってきてしまい、相手のミスがなければ私が殺すところだった」
頭を下げようとしたところ遮る。下げないでほしい。
「いや、そこまで考えなくても大丈夫だって。自分の判断ミスとかもあったりしたし、万が一が起きてしまうのは承知で言ってくれたから備えられたから」
「いやですが!私は―――」
「はいはい。それ以上はアーサーくんを傷つけることになるよ~ハーン、頭を下げたくなるのは癖で染み付いているのは私は知っているけども、必要以上に頭を下げることは相手を貶めることになるからね」
ホームズがいると話が円滑に進んで助かる。ずっと黙っていたモルドレッドが口を開く。
「だが俺からも自己満足かもだが言わせてくれ。昨日はあの場に駆けつけられなくて申し訳なかった」
「本当に自己満足で喋ったね……モルドレッドくん……」
話から意識を向けずハーンが何やらとホームズの方を見つめる。
「その……今日のホームズは何かおかしくないですか?」
「ふへぇ!?なになにいきなりめっちゃエグい球投げるじゃん!死ぬかと思ったよ!」
過剰反応過ぎる。怪しすぎるぞ。
「ホームズ……?なんかおかしくない?」
「いつもネジが外れてめんどくさい厄介オタク面しているが、今日はおかしいな」
「過剰すぎるな……」
ホームズの目があらぬ方向へと向けて目をこっちに合わせようとしない。
「モルドレッド!さらっと言ったね!いや猛省してますけども、あーこういうこと言いすぎちゃったなぁ悪癖出たなぁって思うことあるけども、それをぶん投げるのは非道だよ!?」
いつもの早口も増して早くなっている。
「ホームズ……その首の裏のは―――」
ハーンの言われたところを見るとすぐさまに隠して発言を遮る。
「あっははは私ちょっと用事あるからここでじゃあねぇ~」
偉い速さで去っていった。
「ホームズ。いやいないからマーガレットって呼ぶけども、普段は色々と俺たちにあれやこれや言うのに自分事になるとマジで弱くなるな……」
「そういえば、ハーンさん。首元に何を見たの?」
「そのよく見えなかったので……分かりません」
モルドレッドがモジモジし始める。
「でも、そりゃ首元にって言ったら……」
「キスマークってことかい?」
「お前なぁ!」
「いや君がウブ過ぎるだけだと思うけどなぁ……」
でも待てよ。マーガレットがそんな相手がいるという話は聞いたことがない。そして、考えられる相手は。
「昨日の夜は……誰かといた記憶はないですけどもね。考えすぎじゃないでしょうか?部屋に戻って誰かと会うということもする時間ないでしょうし、怪我では?」
昨日の二人は事件が終わった後に部屋に帰った。その後は自分はよく知らないからそういうことなんだろう。
「まぁ、そうだな。マーガレットがそんな事するわけ無いか……」
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