舞台防衛戦
ランスロットとガヴェイン/舞台防衛戦その1
「さて、今回はめちゃくちゃ大事な依頼だぞ~」
マーリンのデスクに再び呼ばれている。いつもここで円卓の騎士の話はここですることにいつの間にかなっていた。
「その、円卓の騎士って自分たち以外の人達っているのですか……?」
「いるとも。君たちみたいに騎士の名を持つ人はいなくとも、属する人は多くいるのだよ」
全然展望が見えない。
「で、マーリン。なんでホームズとハーンがいるんだ?」
モルドレッドが突っ込む。何食わぬ顔しているのか。
「人材不足……?」
さっき、属する人は多くいるのだよって言ってたよな……?
「まぁ、半分本当で半分は嘘だけども。今回の依頼は人が多くいたほうが良いのと、単純にアーサーとモルドレッドだけだと不甲斐ないって判断したからだよ」
なかなか厳し目の言葉。
「でも、実力はあるからいいだろう? ホームズは汎用性の塊の並列思考、ハーンは電脳の申し子で今需要それなりにあるだろう」
何も言えないのだが。
「まぁ、そういうことです。アーサーとモルドレッドだけだとめっちゃだと不安だし、面白そうだからついていこうって思ってね」
「役に立つことはしたいですので」
バリッバリのやる気を感じる。あれからホームズとハーンは同じ部屋で住んでいるって聞いているし、想像以上に仲がいいのかもしれない。
「後は、今回は君たち以外の円卓の騎士が来るのさ」
そう言うと、部屋に二人の女性が現れる。
「ランスロットとガヴェイン。いま来たぜ」
「よろしくおねがいしますね。後輩さん」
円卓の騎士の名前に意味があるかと思わないけども、なかなかのビッグタイトル……!
「自分は、ランスロット。君等はアーサーとモルドレッドで……後は別口か」
赤髪にオールバック、スカジャンに使いこなされたデニム。
「かっこいい……! はっ、すいません」
ホームズって割と女性相手に惹かれがちではないかと考えてしまうが、そういうものなのか?踏み込めるのはそれなりにいいなぁ。
「へぇ、刺さったか? 今夜どうだい?」
「えっ? その……」
「今は趣味にかまけない。困ってるよ」
一方がランスロットさんだと分かればもう一方がガヴェインさんとなる訳ka.
ランスロットさんもガッチリ決めていたけども、こっちもそれなりに決めている感じがする。茶髪のボブカットにメガネ、冷徹さを感じる目、何よりも体型に合ったスーツ姿。
「ガヴェインさんってことですよね。すごいパンツスタイルのスーツ姿がお似合いです!」
身長自体はホームズのほうが高いけども、ホームズも女性基準で見れば高いからガヴェインさんは平均的だろう。ランスロットはホームズと同じぐらい。
「ありがとう。それを言ってもらえるのは私にとってはこだわりなんだ」
ガヴェインさんの視線の先は、ハーンの方へと向かう。
「君、名前は? 結構体術出来ると思いますが」
「皆はハーンって呼びます。貴女もそうだと嬉しいです。それと私は……その体術というよりは槍なので、それも別に大したものではないです」
スーツ姿で分からないけども、結構身体が鍛えられているのではないかと思われる。いや、全身から溢れる自信からそうさせる感じがする。
「その! 一応円卓の騎士に所属しているのに注目が外部の二人に行っている!」
「アーサー、いきなりどうした。落ち着け。それと隣にいるからうるさい」
「元気ですね。まぁ、君たちもこの大学でマーリンの教えを乞うている身だ。別に謙遜する必要はなかろう」
ガヴェインさん、喋りが硬いな……
「あのなぁ。ぶっちゃけ、お前ら面白みないし、情けねぇ野郎らに興味がねぇんだわ」
ランスロットさんは砕けすぎている。モルドレッドはサラッと自信喪失している。あんまり、彼のことをいじめないでほしい。辛い。
「ランスロット……今は貴女の性指向の話をする必要あります?」
「そりゃあ、ねぇけどもよぉ。つまらないって事実は突きつける必要はあるだろ? そっちの黒髪の方は言葉で簡単に傷つきやがる。そりゃあ、言葉は傷つくがそんなにも簡単に傷つくのは大問題だろ」
ガヴェインさんは特に否定しない。そこら辺、根底の価値観は違ってない。もちろん発言しているわけではないから分からないけども、この二人は恋人だろうし。
そうしてちらっと手を見ると指輪があるのが分かる。状況証拠しかないから分からないけども、まぁそれなりに深い関係と行き着くのは確定に近い。
「それに、さっきの子。名前は……」
「あーマーガレットですけども、アーサーくんとモルドレッドみたいな感じでホームズって名乗ってます」
うわ、今回は内輪ネタやめやがった。そこの分別ついているの。
「なるほど~気に入ったよ。ホームズねぇ。何?観察眼あるのかい?」
「いえいえ……私は別に」
ランスロットさんは少し考えた間を起こし、改めて笑う。
「いやぁ、これは面白そうだ。今回の仕事はペア組ませろ」
「ふぇ!」
「マーリン。仕事の話しましょう。後、私はハーンさんと組ませてください」
ガヴェインさん……?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます