第6話 シゲノリ視点

 コントなのに、ミカに選ぶ権利があるわっ、って言われた瞬間、頭の中が真っ白になった。今までどんなボケツッコミをされても、確実に返すことができたというのに。


 ミカが選ぶ男はどんなヤツだろうか? あいつ、美人だって自覚がないから困る。


 実のところ、いつも楽屋にほかの芸人たちがミカを口説きに来るけど、全部おれが未然に防いできた。そうでもしないとあいつ、ほいほいついて行きそうで見ていられないから。


 恋愛なんかでひどい目にあったあいつをなぐさめる役だなんて、気が滅入る。そんなあいつは見たくない。


 だったらおれが、おれがあいつと――。


 つづく

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る