学園イチの人気者は誰かに愛される夢を見たかった

ころ音。

絶対的生徒会

どこの世界のどこのグループにも絶対的存在ってあるだろう。

例えば国なら王だ。

土地なら地主、町なら町長。

そしてこの学園では


「それが、このボク。フィオーレ高等学園、生徒会長のイア・ニクラさ!」


この男である。

生徒たちの評判は悪くはないだろう。

と、いうよりはおかしな名物のようになっている。

廊下を歩くだけで会長!と声をかけられ彼はそれにこたえるように派手なパフォーマンスを繰り返すのだ。

それだけを毎日していれば当然のようにおかしな生徒会長だと面白がられるだろ。

それが彼の狙いなのかもしれない。


この学園はいわゆるエスカレーター式というもので幼稚舎から大学部までをここで過ごす者が多い。

そしてその多くはそれぞれの魔術を極め、魔術を使って生きていく道を選ぶ。

彼はそんな学園で幼稚舎から変わらず生徒会に属しているのだからおかしなものだ。


生まれ持った魔術というのは人それぞれで、例えば炎を操る者や水を操る者。

空を自由に駆ける者や魚のように水の中で生活する者まで多種多様だ。

その中でもいわゆる上位者という部類がおり生まれ持った魔術によっては奴隷や差別対象になる事もある、存外残酷なものだ。


その中でも生徒会長であるその男は別に特段優遇された魔術を持つわけではない。

とはいえ、それは魔術の種類に限った話だ。



「ボクは君たちの物語の始まりを心から祝福するよ。きっと忘れられない出来事に沢山出会うだろう。


 さぁ、始めようか!祝福のファンファーレを!」



大げさに広げた両手からは幾色の花弁が舞い、一面を覆いつくす。

その花は風に乗り広いホールの後ろまで埋めたかと思うと人々に笑みを届ける。

風が巻き上がり、甘い香りがそこらへ広がった。


長い襟足が風に浮かび花弁と一緒に宙へ揺れる。




イア・ニクラ。

人はこう呼ぶ。


変人であり、才能者だと。





イア・ニクラ


フィオーレ高等学園の生徒会長。

魔法 花 風

滞在能力 不明

髪 蒼

瞳 薄紅色

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