雨水 サニーサイドにて

 ワシは悠久の時空を揺蕩う〈放浪者ウォーカー〉でありながら、〈物語職人メイソン〉として物語ナラを綴ることを生業いきがいとしておる。

 いつの日か、この身が朽ち果てても、書き記したモノは遺るからのう。


 雪や氷が溶け出す時分に、こうして遥々とやってきたのは『銀河』の支流である太陽渓じゃ。ようやく溶け始めたこのコンパクトな宇宙渓谷は春夏秋冬シーズンと呼ばれるエリアに分かれておって、それぞれの太陽渓の岸辺サニーサイドに立ち寄ることができる。


 逝き先など決めぬ気ままな軌道が性に合っておるものの、此処へやって来たのはあの時の、あの記憶の所為かもしれん。

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