第77話 金精様の教え
唐突に現れた神様は金精様だった。僕は前世で読んだ『俺のスキルが無だった件』を思い出してしまったよ。確かあの物語では金精様が大活躍していたよね。僕がそんな事を思っていたら、金精様が
「ムム、そなた銀太一と同じ魔力を持っておるの? 銀太一の生まれ変わりかの?」
と聞いて来たんだ。でも僕の前世の名前は銀太一じゃないから僕はソレを否定した。
「いいえ、金精様。僕は銀太一さんの生まれ変わりじゃありません」
「そうかのう? それにしては同じじゃが? そなた国語の神様とか言われておらんかったか?」
何ソレー? 僕の前世は平凡なサラリーマンでしたよ。ひょっとしたら金精様が言ってる銀太一ってあの国語辞典の編纂とかしていた
「いえ、僕はそんな大層な二つ名で呼ばれた事はありません」
「そうかあ、銀太一が亡くなって二百六十五年。そろそろ生まれ変わってもおかしくないんじゃがのう」
「えっと、銀太一先生が亡くなって十五年位だと思うんですけど……」
「ん? それは
うん、ややこしいな。つまり、地球の日本で十五年前に亡くなった銀太一先生は、この世界の今の時代よりかなり前に転生されて、二百六十五年前に亡くなったと言う事ですか。
神様の言う事だから信じられるけど、そうじゃ無かったら何を言ってるんだろうと疑ってしまってたよね。
「待て待て、そなたも転生者なのかの? いや、そうなんじゃろうな。我の名を違和感なく呼んでおるのじゃから。ソレよりそこな
そう言われて見てみたらラターシャお姉さま以下、婚約者達が金精様に対して武器を構えている。そして、
「コルくん、下がって。コレは女性の敵だ」(ラターシャお姉さま)
「コルク、穢れるわ。私達に任せなさい」(マアヤ・マキヤ)
「コルク(コルくん)、ダメよそんなのと話をしたら」(マラヤ・カリーナ)
皆が口々にそう言うから僕は慌てて止めたんだ。
「わぁー、皆待って待って! コチラの方は金清様って言って神様なんだ。決して変な魔物なんかじゃないから。武器を下げて、早く!」
僕がそう言うと皆は半信半疑で武器を下げた。それにホッとする僕。
「ああ、そう言えばトウジの物語でも異世界では邪神扱いされてたからね」
僕がポツリと呟くと、
「なんじゃ、そなたトウジとも知り合いか?」
とまるで物語の登場人物を実在する人のように聞いてくる金精様。僕は金清様に説明した。
「いえ違いますよ、金清様。僕が言ってるのは、地球の物語である『俺のスキルが無だった件』の話です」
「ほれ、やっぱりトウジの知り合いじゃないか。知らぬ様だから教えてやろうかの。良いか、物語とは
「はーい、呼びました? 貴方?」
本当に現れたよ、コクアが。ソレも実体を持ってるし。もう僕の頭は混乱の極みになったんだ。
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