第73話 先ずは話合いから
さあ、僕は今窮地に立たされている。どうすればこの窮地を脱する事が出来るんだろう……
僕の目の前には、ボトル兄上、ミレーお姉様、マアヤ、マキヤ、マラヤ、カリーナ、サクラちゃん、ラターシャお姉さまが立っている。そして、私達も連れて行けと僕に迫って来ているのだ。
いや、でもね。敵の銃器の規模が分かっている僕には幾らでも防ぐ手段があるんだけど、皆は銃は兎も角として、戦車からの砲撃を防ぐ手段が無いよね。アレは竜級魔術じゃないと防げないし。
そう説明しても連れて行けの一点張りで僕に迫ってくる八人に僕は非常に困っていたんだ。ソコに現れたのは
「コルくん、我が家の【真の家訓】を伝える時が来たようね。ウチの【真の家訓】は、第一条から第十五条まであってね、【仲間がやられたら、徹底的に報復せよ!!】が第五条にあるの。だから、分かるわよね、コルくん。ウチの精鋭勢力で叩き潰してきてね。母様からのお願いよ」
「はい、母上!!」
僕は直立不動でそう返事をしてしまったよ。母上の闇を垣間見た僕にはそれ以外の返事をするなんて考えられなかったからね。それから僕は急ピッチで準備をした。八人分の新たな
ソコで皆に、
「良いですか、先ずは話し合いをしてみます。怒らないで下さい。僕も必死に怒りを抑えてますから。ただ、話も聞かずに殲滅したんじゃ彼らと同じになってしまいますから、先ずは話し合いを試みましょう。僕が彼らの星の言葉で話しかけますから。皆にも分かる様に、竜級魔術の【
そうして、皆に言い聞かせて、遂に侵略者達と相見える事になった。
僕達は歩いて彼らの野営地に近づいた。見張りが僕達を見つけて、銃口をコチラに向けながら
「ソコで止まれ! 何者だ、何の用事でココに来た!」
と英語で言ってきた。僕も英語で返事をする。
「僕はここ、ラターシ王国の貴族で、アナタ達が何の目的でココに来たのか、確認しに来ました。侵略ですか? それとも友好ですか? 友好にしては攻撃して来たようですが……」
僕の口から流暢な英語が飛び出した事に驚いた顔をしていたが、言葉が通じる事にホッとした顔を見せる見張り。五人いるうちの一人が野営地に向かった。
「少し待ってくれ。隊長を呼びに行った。話は隊長として欲しい」
相変わらず銃口をコチラに向けたままそう言う見張りに僕は、
「僕はこの国の貴族だと言ったし、こうして話をしていて、今すぐの攻撃の意志が無いことも示している。それなのに銃口をコチラに向けたままだと言う事は、隊長とやらを呼びに行くまでもなく侵略だとコチラが判断しても文句は言えないよ。ソレは君達全体の意志なんだろうね?」
そう聞いてやった。慌てて銃口を下げる四人の見張り達。ソコに、凡そ十人の武装した男を連れて、一人の偉丈夫が現れた。
「私がこの部隊を率いているオリューカットマーだ。何だ、子供か。相変わらずこの国は腐ってるようだな。こんな子供を寄越すとは。しかし、連れてる女は上玉ばかりだ。私のハーレムに加えてやろうじゃないか。ハーハッハッハッ」
うん、殲滅決定だね。ソレでも一応宣戦布告はしておくべきだろう。それに気になる言葉も聞いたから、あの男は生け捕りだね。
「アナタの言葉でハッキリした。侵略に来たのは間違いないようだね。アナタ達が言葉が通じないが故に間違えて僕の同胞を殺してしまったのか、確認しに来たのだけど、どうやら最初から殺す気で来たようだ。それならコチラも抵抗させて貰うよ」
「クワーハッハッハッ、たった九人で来て何を言うかと思ったら、おい、聞いたかお前たち。ユーモアのセンスがあるようだぞ、子供貴族様は。あいつともう一人の男は殺しても構わん、女は生け捕りだ。作戦C6だ。速やかに遂行しろ! 私は司令部で待つ」
「イエス、サー!!」
十人の武装した男達を残してオリューカットマーが居なくなった。僕は皆に言った。
「怒りはあるだろうけど、なるべく殺さずに済ませてね。奴隷として使役するから」
僕の言葉にミレーお姉様が、ニヤッと笑って、
「それじゃ、私があの十人を骨抜きにするよ、コルク。お母様直伝の【
そう言うとミレーお姉様は【
さあ、殲滅(生け捕りだけど)だっ!!
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