第70話 コーガイク改め、天然農業国ナチュレ

 二人の陛下が後始末に紛争しているのを横目に、僕は送られてくる農薬を無害化していた。

 ただ単に無害にするのではなく、人体や植物に蓄積される害ある薬品を取り除いて、防虫に有効な自然成分(ハーブ等から抽出)や、防病に有効な自然成分を足して、送り返しておいた。その分の料金は支払って貰う契約だから、会社にとっても損はないんだ。ただ、出来るのが僕しかいないっていうのがネックなんだけど……。


 使用してるのは神級魔術で、


抽出変換とりかえ】だ。

 

 コレは魔力制御がキモになる魔術で、僕以外だとラターシャお姉さまくらいしか使えないだろうと思う。まあまだ皆に上級魔術も教えてないからね。皆には中級魔術までは教えたんだけど、上級魔術、最上級魔術は僕が成人してからにしようとラターシャお姉さまから言われたんだ。理由を聞いても教えてくれないんだけど、何でだろうね?


 それでも僕はラターシャお姉さまの言う通りにしようと思う。好きな女性のいう事は聞いておくにこした事はないからね。


 そうそう、大々的に諸外国に発表された事があるんだ。コーガイク農協国家は天然農業国ナチュレに名称が変わった事。政権が一新される為に、落ち着くまではラスティネ皇国とラターシ王国が後見するという事が発表された。


 発表した時の諸外国の反応は様々だったけど、一国だけ、賛同を表明した国があったんだ。それがコーガイクから農薬を購入してた国だけど、国民にその農薬による被害者が多数でた為に、購入を停止してコーガイクに損害賠償を求めていたハルセーナ王国だ。ハルセーナ王国では人だけじゃなくて、動植物や昆虫の生態も崩れてしまっていて、購入を推進した国王は革命によって粛清されてしまったんだ。現在の国王は前国王の従弟になる人らしい。

 新たな国になったナチュレはハルセーナに賠償金を支払う声明を出したからハルセーナ王国は賛同を表明してくれたんだって。

 疲れた顔をしたヨーガ国王が教えてくれました。その時に僕に、


「コルク、変わってくれ」


 と言ってきたけど、


「陛下、ラターシ王国として動かれているのに、僕が全面に出たら諸外国に対しての抑制が効かなくなりますよ」


 とハッキリ言ってお断りしておいた。僕は国王じゃないからね。一家臣だから、国を背負って公に動くなんて出来ません。うん、我ながら良い言い訳だと思う。


 それから、ナチュレから送られてくる農薬を全て処理し終えた僕は、次の新たな事業に取り掛かろうと思ったんだけど、そうはいかなくなってしまったんだ。

 ラターシ王国の北にある渓谷に厄災がやって来たんだ。ソレも異世界から……


 厄災の名前は【軍隊】。地球の傭兵軍隊が銃火器を持ってこの世界に侵略行為を行う為にやって来たんだ。そんなのって有りなの? 神様!?


 

 

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