第69話 農協国家崩壊

 翌朝、僕は早速動いた。先ずはマッシイ村に転位してサクラちゃんからドロローンで撮影した動画を貰う。勿論、昨日のコーガイク国民も一緒に連れて来てるよ。


 コーガイクに乗り込むのは、僕とラターシャお姉さまだけだ。他の皆は万が一に備えて要所要所で待機して貰っているんだ。

 

 そして、さあ乗り込むぞという時にボトル兄上とミレーお姉様が、ヨーガ国王とサーライ兄上を連れて転位してきたんだ。


「コルク、私達も行くよ。国対国で話をしないとね」


「我が弟にだけ働かせるツモリはないぞ」


 とお二人は言うけれど、恐らくサリー様に怒られたんだと思います。カリーナがサリー様に言うって話してたから。


「分かりました。それじゃ、ボトル兄上とミレーお姉様も一緒に来てくれる? 両陛下の護衛として」


「ああ、勿論だ。コルク」


 声変わりして、大人な声になったボトル兄上が頼もしい。そう、ボトル兄上は身長も高くなって、今は一七八センチもあるんだ。

 ミレーお姉様も女性にしては背が高く一六九センチもある。それに出るトコロも出、ゲフンゲフン。僕は何も言ってませんよ。

 とにかくとても美しい淑女レディになったんだよ。脳筋気味なのは相変わらずだけどね。

 

 そして、僕達はコーガイク農協国家に乗り込んだんだ。慌てて対応しようとするけど、首脳陣や主要貴族がまだ政庁に出てきてないらしく、下級官吏しか居ない状態だった。


 けれど、その中で一番立場が上の人に来てもらい、昨夜の悪事を告げて、その証拠動画と、自国の民の証言も有るので、どう責任を取るツモリだと迫った両陛下。


 皇帝と国王の二人に責められ、迫られアタフタと涙目で何とか対応しようとする下級官吏のまとめ役さん。ゴメンね。アナタは何も関わってないから知らないんだもんね。


 僕が同情しながら見ていたら、部屋の扉が開いて、首脳陣が青い顔で入ってきた。どうやら内部屋で中の様子を見ていたらしい。その数八名。そして、主要貴族も同じく死にそうな顔をしながら入ってきた。その数十五名。中にはマウントアップの姿もあったよ。青い顔は農薬野菜を食べた所為もあるんだろうけど、言い逃れ出来ないと悟ったのもあるようだ。


 そして、全員が両陛下に対して土下座したんだ。最高責任者である元国王のジ・エイ・エーが、


「この度は誠に申し訳ございません。もう二度とこのような事は致しませんので、どうかお許しいただけないでしょうか……」


 蚊の鳴くような声でそう言うけど、両陛下は


「口でいくら謝罪されても信用できませんが」


「我が弟を陥れようとしたのだ、この程度で済ます筈が無かろう」


 と許す気配がない。


「そ、それではど、どのようにすれば、よ、よろしいので、しょうか……」


 ソコで僕を見る両陛下。

 考えてなかったんですかー!! 僕は呆れながらも自分の考えを伝えた。


 農協国家は選挙で首脳陣が選ばれると言うが、全てが貴族選挙で、国民の意見が反映されていないという点が一つ。

 国内でも、貴族が使用する農薬と、国内の庶民が使用する農薬がその危険度が全く違う点が一つ。

 危険度が高い農薬を安全だとうたって諸外国に販売している点が一つ。

 貴族が幅を効かせて、庶民を脅したりしている点が一つ。


 簡単に言ってもこの四つは最低でも直して貰わないとダメだと言って、解決する為に、


 貴族組織は解体する事。危険な農薬の開発、販売を止めて、現在売ってしまった物を回収して無害にしてから廃棄する事。成人した国民全員が参加した選挙を行い、新たな首脳陣にする事を提案した。


 当然だけど、青い顔をしたまま横暴だとか言ってきたけど、僕は首脳陣や貴族たちが画策した証拠を提示して、諸外国にばら撒いて攻め込まれる方が良いのかと確認した。


 そしたらマウントアップが、


「そ、そんな事をしたら罪もない庶民も傷付けられてしまうぞ!」


 なんて人道的な事を言ってきたけど、ばら撒く時は庶民はラスティネ皇国とラターシ王国で保護して、この国には貴族しか居ない状態にしてからするよと言ってやった。勿論、あなた達が逃げられない様に結界を張っておくから、諸外国の軍隊と勇敢に戦ってね。

 僕がそう言ったら、条件は全て飲みますから、助けて下さいと言ってきた。


 言質を取った僕は、それじゃあと首脳陣の八名のウチ七名を漢字魔術で縛り上げて、貴族十五名のウチ、十三名を同じく縛り上げた。


 残った首脳陣一名と、貴族二名は体に蓄積された農薬を即座に取り除いてあげた。そして、


「あなた達三名は最後まで反対していたし、普段から庶民の事を考えて政策を行っていた事を僕は知ってます。他の人を確実に捕まえる為に同じ状態にしてしまってごめんなさい。これからは、僕が言った条件の元で、あなた達が中心になってこの国を良くしていって下さい。あっ、ついでに国名も変更される事をオススメします」


 僕の言葉に涙しながら頷く三人。縛られた首脳陣達が騙したなとか煩いから、猿ぐつわもしてやった。そして、三人には後見としてラスティネ皇国とラターシ王国が着く事も付け加えた。


 廃棄する為に回収した農薬は、僕が無害化するから、会社に送って下さいと頼んで僕はマッシイ村に戻ったんだ。


 後始末は国のトップにお願いしてね。国対国の事だからね。両陛下にはしっかり働いてもらいましょう。






 


 

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