第67話 竜級魔術で解決します
可哀想に……
僕は万が一を考慮して竜級魔術【
自分の姿に気がついたようで、柄を放り出して慌てて前を隠した。
…… うん、今度から男性には使用するのを止めよう。見ても何も嬉しくないし。僕は心にそう誓ったんだ。
「な、な、な、何をしておるのだ! 貴様は!」
マウントアップの慌てた声が響いた。そして、ツカツカと騎士に近づいて(魔術は既に解いてます。オッチャンの裸を見ても嬉しくないですから)頭を張り倒した。
うん、マウントアップも只の貴族じゃないんだね。鍛えられた騎士が一発で床に沈んだから。
そのまま僕に向けて謝罪するマウントアップ。
「申し訳ありません。この男は国に帰り次第処罰致します。また、このような事があっては落ち着いて話を続ける事も出来ないかと思いますので、後日、改めてご連絡したいと思います」
そう言って僕の返事も聞かずに逃げていったんだ。逃げ足は魔術並に早かったよ。
ラターシャお姉さまが僕に聞いてきた。
「アレで良かったの? コルくん?」
「お姉さま、取り敢えずは良いと思いますよ。次にコーガイク農協国家が打つ手はもう分かってますから、今からラスティネ皇国に向かおうと思います」
「私達は?」
そうマアヤが聞いてきたので、
「マアヤとマキヤは王国に残ってボトル兄上とミレーお姉様と一緒に【キノコの恵み】に網を張っていて欲しいんだ。恐らくアソコにも手を出して来ると思うから。ラターシャお姉さまとカリーナは僕と一緒にラスティネ皇国に来て欲しい。マラヤは新陛下とサリー王妃の護衛を頼めるかな?」
そう指示をだした。皆は素直に「分かったわ」と返事をして、さっそく動き出してくれた。
そうそう、僕の婚約者(サクラちゃん以外)とボトル兄上にミレーお姉様、それに、
サクラちゃんは自前の魔法があるから良いって言うから、無理強いも出来ないしね。
それから僕はラターシャお姉さまとカリーナと一緒にラスティネ皇国のお城の一室に転位した。
ソコにはいつも居るメイドさんが今日も居て、僕達を見て、
「陛下にお知らせして参りますので、暫くお待ち下さい」
って言って部屋を出ていった。あのメイドさんは必ず居るけど、どうやって僕達が来るのを察知してるんだろう? いつか聞こうと思ってずっと聞けてないや。
程なくして戻ってきたメイドさんが、
「私室にてお待ちでございます」
って教えてくれた。今だ、聞こうと思ったらカリーナが、
「早く行こう、コルク。私がお兄様に文句を言ってあげるから」
って急かすから今日も聞けなかったよ。残念。
僕達が部屋に入るなり、サーライ兄上がニコニコ笑顔で出迎えてくれた。しかし、カリーナは騙されなかった。
「サーライ兄様! またコルクに面倒事を押し付けて! どういうおツモリですかっ!」
カリーナの剣幕に慌てるサーライ兄上。
「いやいや、待て。カリーナ。私が一人で対処するよりは両国の統一爵位を持つ弟に任せた方が話が早いだろうと、義息と意見が一致したのだ」
ハア、まあそんな事だとは思ってましたけどね。
僕はまだ怒っているカリーナを制して、サーライ兄上に事の
それを聞いたサーライ兄上が、
「ほう、我が皇国と戦をする気かな!?」
そう言ったけど、そこまでは考えてないと思うと伝えて、境界線上に魔術を展開しても良いか兄上に確認した。
「おう、どの様な魔術を使うのだ? 弟よ」
興味津々で聞かれたので、コーガイクが恐らく高濃度の農薬を、広範囲に撒き散らそうとしている事を伝えて、ソレを反転させてコーガイクの貴族や国家首脳陣が食べる為の作物を作っている畑の土中に撒くようにする魔術を使うと伝えた。
「ソレは良いが、罪の無い子息などにも影響が出るのではないか……」
サーライ兄上がそう言うので、僕は、
「作物が収穫されて、一度食べた位なら大丈夫です。気持ち悪くなってお腹も壊すでしょうけどね」
と伝えておいた。一度食べたのを確認したら、収穫した農作物と土中から農薬は消しておくからとも伝えて安心させた。
「そういう事なら構わないから、やってくれ」
サーライ兄上からの許可も得たので、マッシイ村に転位した僕は境界線に魔術を展開した。
竜級魔術【
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