第66話 コーガイク農協国家
コーガイク農協国家。ラスティネ皇国と同じ大陸にある国で、農業については自国が一番だと常に諸外国に宣伝してくる困った国なんだ。
そこから使者がやって来たんだけど、僕に文句を言いに来たようだ。
「お初にお目にかかる。アキンド国良爵。私はコーガイク農協国家のマウントアップと申す。侯爵の地位にある者だ。アキンド国良爵に一つ意見をしたいと思い、まかり越した次第だ」
うわ、最初から上目線だな〜。後ろに控えている騎士達も僕を睨むように見てるし。ヤバイな〜、僕の後ろに控えているマアヤをはじめとした婚約者兼秘書達が怒りのオーラを発してるよ。
僕がそんな事を思っているとマウントアップさんは言葉を続けた。
「全くどういうツモリなのだ。我が国が他国へ販売している除草剤や防虫剤、病気用の薬品を使うなとラスティネ皇国やラターシ王国に
うん、来るとは思ってたけど国を通して出した通達だったから、国王陛下や皇帝陛下に行くと思ってた文句が、直接僕に来ました。
僕はため息を吐きながらマウントアップさんに言った。
「それについては各国の取決めですから、僕に文句を言われても困ります」
そう言う僕にマウントアップさんは、
「その言い訳は通用しないぞ。ラスティネ皇帝サーライ様はアキンド国良爵に一任していると仰られたし、ラターシ新国王陛下も、その件はアキンド国良爵に言えと仰られた。だから私はここに来たのだ!」
あの二人めーっ! 相手をするのが面倒だからって僕に丸投げしたなー! それならもう良いやっ! 好きなように対処させて貰おう。
僕はそう考えてマウントアップさんに返事をした。
「分かりました。両国のトップが僕に一任されたなら、対処させて貰いましょう。先ずはマウント侯爵に言おう。僕は両国では大公の地位に匹敵する爵位となる。侯爵程度で偉そうな口を聞いて貰っては処断の対象となるが、そこは分かってやっているのかな?」
突然強気になった僕にコメカミをひくつかせながらマウントアップは反論してきた。
「その爵位は我が国の爵位ではない。よって、丁寧な口を聞く必要は無いと判断したのだ! 何か問題があるか!?」
いや、問題ありまくりでしょ。仮にも両国のトップが僕に一任したと言う事は、この問題に関しては僕が両国のトップなんだから、丁寧な口調を心掛けるのが当たり前でしょ? こんな事は派遣の為に教育している人も言わなくても分かってる事なんだけどね。それとも、二国相手に戦争でも起こすツモリなのかな? 僕はそう思い聞いてみた。
「侯爵に聞こう。僕は両国の陛下から一任された立場だから、爵位を別としても敬意を持って対されるのが常識だと思うのだが、それすらも無いと言う事は、コーガイク農協国家はラスティネ皇国とラターシ王国に対して戦争でも起こすツモリかな?」
僕の言葉にやっと問題に気付いたようだ。慌てて否定してくるマウントアップ。
「ま、待て! いや、待って下さい。そんなツモリでは無いのです! いや、先程までの無礼な態度を謝罪します。どうかお許しを……」
そう言って頭を下げてきたけど、後ろの騎士さん達はそれでも良いぞって顔で睨んで来てますよ〜。僕がその事を告げると慌てて後ろを向いて騎士達を叱り始めるマウントアップ。
「こら、お前達! 何で睨んでいるんだ! 控えろ! いや、もう良い! 下がれ、下がって待っておれ!」
マウントアップにそう言われて一人を残して部屋から出て行く騎士達。残った一人は護衛かな。
「これでやっとマトモに話し合う事が出来そうだね。マウント侯爵、先ず答えを返そう。貴国の薬品を制限したのは、作る農作物に蓄積して食べている人体にも長年をかけて蓄積されていき、やがて体に何らかの異変を引き起こすからだよ」
僕は一息にそう言い切った。マウントアップは、即座に否定する。
「そんな馬鹿な! 我が国では既に長年使用してますが、そのような事は起こっておりません!」
「それは貴族や国家首脳陣だけだよね。巧妙に隠されているけれど、庶民の間では既に問題が出ている事は調べがついてるんだ」
「なっ!? 何故それを……」
絶句したマウントアップだけど、その時に残っていた騎士が
可哀想に……
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