第64話 それから三年

「シャチョー、キノコ販売部からマツタケの出荷量についてマッシイ村と相談したいと……」


「シャチョー、商工ギルドから今月の納金がありました。計算より金貨十五枚多いのですが……」


「シャチョー、狩業組合からオートクロスボウの試射が終わったと報告があり、さっそく注文が……」


 ウーン…… 忙しい。僕は十才になったけど社長業が忙しくて誕生日のお祝いも出来て無かった。


 そうそう、一年前にヨーガ様とサリー様はご成婚されて、国王に成られました。そして、今サリー様はご懐妊です。お目出度い事が続いております。


 そして、ラターシ王国では全ての領地で学校が出来ました。ラスティネ皇国ではあと少しです。


 そうなんです。ラターシ王国で行っている事をラスティネ皇国でも行っています。そして、アキンド国良爵として僕は今はラスティネ皇国の支社にいます。


 そして、いよいよサクラちゃんが研究してくれたクワガタ事業に今年から着手する。先ずは飼育が簡単なコクワガタ、ノコギリクワガタ、ヒラタクワガタ、オオクワガタの四種で始める事に決まった。二年前から雑誌の販売を始めて、少しずつ皆がクワガタに興味を持ち始めている。


 雑誌を買ってくれたのは子供達だけじゃなくて、大人にも多くいたので、順調に滑り出し出来ると考えているんだ。雑誌は銅貨三枚で販売したから、買えない人は居なかったと思う。孤児院には五冊ずつ寄付したしね。


 それから僕はこの三年で魔術大全の書Ⅱを読破した。二巻に書かれていた魔術は、最上級の更に上。竜級と神級と超神級。


 実は二年前にラスティネ皇国の辺境に現れた厄災【破滅竜デストロイドラゴン】を相手に神級魔術【神光はんはくめい】を試して見たら、山ごと削っちゃったから慌てて山だけ超神級魔術【修復つくろい】を使用したよ。あの時は本当に一人でアワアワしてしまったよ。


 忙しい毎日を過ごしているけど家に帰れば婚約者達と一緒に料理を作って楽しく過ごしている。

 そうそう、婚約者が一人増えました。


 皆様ご存知のラターシャお姉さまです。学校事業を頑張ってくれているラターシャお姉さまに報いたいと思って一番欲しいモノを聞いたら、


「わ、私もコルくんと結婚したい!!」


 だった。僕は三姉妹にカリーナ、サクラちゃんを呼んでラターシャお姉さまと婚約しても良いか確認したら、皆からは、


「言い出すのが遅い!」


 って怒られてしまった……

 素直にゴメンナサイって言ったけどね。そうしてラターシャお姉さまも僕の婚約者になったんだ。


 そうだ、ここで世の中の男性に言っておくよ。自分の生活を円満に過ごしたいなら女性と無駄な言い争いはしない事をオススメします。勿論、ここぞという時にはハッキリ言わなくちゃダメだけど、自分が折れたら円滑に進む時は女性の言う事を素直に聞いたら上手くいくよ。

 以上、異世界で初めてモテた男の独り言でした。


 ボトル兄上はこの三年間、ひたすら魔術(漢字)と体術をミレーお姉様と二人で鍛えに鍛え、ラターシ王国の【守護騎士】と人々から呼ばれる様になった。王国近隣に出た厄災までは言わないけど、騎士団や上位冒険者でも対処出来ない魔物や魔獣をバッタバッタと倒しまくってたからね。

 そんな二人の趣味はボトル兄上はヒラタクワガタを累代して、ミレーお姉様はコクワガタを累代している。

 そして、次の代で血統名を付けるって今その名前を一所懸命に考えている。


 コレはサクラちゃんと相談して雑誌にも書いたんだけど、累代も四代目になったら好きな血統名を付ける事を推奨したんだ。愛着がわくからね。


 クワガタ事業の開始は今から二ヶ月後の五の月に開始される。僕もサクラちゃんも楽しみにしてるんだ。準備に長くかかってしまったからね。販売する四種に合った飼育セットを準備するのも大変だったしね。


 まあ、そんな感じでこの三年間は過ごして居ました。他にも色々あったけど、それは落ち着いたらまたお話したいと思います。



 


 



 

 



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