第56話 新爵位を貰いました

 一旦カインズ家に帰ってきた僕達は、先ずはマアヤとマキヤを呼んで僕の部屋に集まった。

 何故かラターシャお姉さまも付いてきたけど。


 先ずはマアヤが口火を切った。


「大体の想像はつくけど、コルク。説明してくれる?」


 マキヤは既に諦めの表情だ。


「ハア〜、コルクだもんね。仕方ないよね……」


 マキヤのつぶやきが耳に痛い。しかし、そんな中でカリーナとマラヤが助け舟を出してくれた。


「マアヤお姉ちゃん、サクラちゃんはこれからコルくんが始めようとしている事業に必要な知識を持っているなの。それに、コルくんと同じ渡り人なの」


「マアヤ姉様、マキヤ姉様、私からもお願いしますわ。サクラちゃんもコルクの事を好きになってるみたいですし。それに、サクラちゃんは天涯孤独の身なんです」


 二人に続いてサクラちゃん自身が喋りだした。


「マアヤさん、マキヤさん初めまして。サクラと言います。私はこの世界に転生してきた者です。けれど、ちょうど私にとって理想と言える場所に転生出来ました。私はマッシイ村を出るつもりはありませんし、コルクくんと婚約して後に結婚してもそれは変わりません。私は現地妻の立場で良いので、末席に加えていただけないでしょうか?」


 それを聞いてマアヤとマキヤは本音をもらしてくれた。


「私達はコルクより年上だから、コルクと年が近い婚約者が増えると不安になるの。勿論、コルクを信じているんだけど、不安になる心をおさえられないって言うか……」


 ソコで僕は二人に言う。


「二人の不安が無くなるまで、何度でも言うよ。大丈夫だよ。僕は皆を幸せにすると約束するよ」


 その台詞を聞いたサクラちゃんが、


「日本の詐欺師と同じ事を言っちゃダメだよ。コルクくん」


 と突っ込んできた。うぉい! 今の言葉はキミの為でもあるんだよ。しかし、その僕の心のツッコミを無視してサクラちゃんは言った。


「具体的に説明してあげないと、女は安心出来ないんだよ。コルクくん」


 それに頷く三姉妹とカリーナさん。そこで僕は意を決して、契約ほしょう魔術を一部解禁した。それによって、マアヤとマキヤは思い出したようだ。成長抑制ロリータ魔術が掛かっている事を。

 賢明な二人は声には出さずに僕を抱き締めて、こう言った。


「「もう、一生コルクから離れないからね!!」」


 姉妹のハモリが美しく響いた。


 こうして、サクラちゃんも僕の婚約者に決まった。そして、家族に紹介したんだ。


 ソコで父上が言った。


「コルクよ、成人までまだまだ先だけど、お前は器が大きい。そこでだ、陛下に言ってお前に爵位を授けて貰うようにするから、ウチから独立するんだ」


 えっ? 父上、七才の子供に独立って……


 僕はビックリしたけど、母上も兄上も賛成してくれた。そしてソレを聞いたサーパさんとカリーナからも、私達も兄様に言って爵位を貰うからと言い出した。


 それからは怒涛の日々だった。結局、サクラちゃんからクワガタの研究成果を教えて貰ったのは新しい僕の為の爵位を貰ってからになってしまった。


 賛成した祖父おじい様と父上、更にはミランダ様にせっつかれて国王陛下は皇帝陛下に連絡を入れて、二人で新しい爵位を考案した。


 僕は結局二国の王家、皇家から新しい爵位を賜った。


 爵位の名は【商爵あきないしゃく】で、アキンドの名を授かる事になった。


 僕はカインズ公爵家を出て、自身がコルク・アキンドになった。身分的には伯爵より上で、侯爵位に匹敵する身分だと、二つの国から保証された。


 領地はカインズ公爵領から少し西に行った空き領地と、ラスティネ皇国からはマッシイ村を含む皇国直轄地を賜る事になった。


 そして、婚約者達は成人を待たずに僕の妻として認識される事も決まった。けれど、性的な交渉は成人するまで勿論お預けになったけどね。


 ざ、残念なんて思って無いからね! (そもそも、勃たないし……)


 そして、先ずはアキンド家の領地になった土地に家を作る事に。ソコには、何とラターシャお姉さま、イジイさん、副料理長、メイドさん一名に僕が雇った農夫から若者二名が付いてきてくれる事になった。そして、曾祖父ひいおじい様と曾祖母ひいおばあ様は頻繁に顔を出してくれる事を約束してくれた。


 作る家は僕が設計図を書いて、ラターシャお姉さまとマラヤが協力して建ててくれる事に。


 ラスティネ皇国にはマッシイ村の外れに、凡そ千坪の土地を賜り、ソコに同じくラターシャお姉さまとマラヤ、それにサクラちゃんが協力して建てる事になった。


 僕はアキンド家の当主として恥じない様に生活していこうと心に誓ったんだ。

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