第49話 VSイジイさん!?(イチ)
サーパさんが帰ってきた。
山の様なキノコを持って帰ってきた。
マツタケ、ホンシメジ、マイタケ、ヒラタケ、オオヒラタケ、シイタケ、エノキタケ、エリンギ、ブナシメジ、アミタケ……
数え切れない種類を持って帰って来てくれた。サーパさんの魔法鞄に入る(凡そ四トントラック八台分)だけの数を買って来てくれた。
コレだけ買ったのに、支払金額が王国金貨七〇枚だなんて……
ダメだ! そんな安価ではダメだ!
僕はサーパさんを通じて皇帝陛下(義兄)に計画書を提出した。
そうしたら皇帝陛下が我が家に来ると言う。そして、その時にそのキノコ村の村長と、各キノコを栽培している家の代表も一緒に来るとの事。
うん、コレはチャンスだ。皆に真のキノコの価値を知って貰わなければ。僕はイジイさんと、料理長以下七名と、料理好きメイドさん二名と会議を繰り返した。
皆が我が家に来るまであと七日。仕込みは三日前からで間に合う。
しかし、ここでマツタケの扱いについて、イジイさんと僕の意見が対立した。
そう、マツタケご飯で……
僕は細切りニンジンとゴボウ、親鶏にマイタケも一緒に入れて炊くべきだと主張した。
しかし、イジイさんはニンジンとゴボウは賛成だが、鶏は若鶏でマツタケだけで炊くべきだと主張する。
両者一歩も譲る気配がないのを見て、料理長が言った。
「あの、私達は食べた事が無いので判断できませんから、取り敢えず味見用にそれぞれ作って見ていただけませんか?」
その言葉に闘志を燃やす僕とイジイさん。
「カッカッカッカッ、コル坊よ。逃げ出すなら今の内じゃぞい」
「フッフッフッ、イジイさん。それはこちらのセリフですよ」
そして、お互いに食材選びから始めて明日の昼ご飯で皆に味見をして貰う事になった。
僕は親鶏を探す為に母上の所に行って町に買い物に行きますと伝えた。すると母上が私も一緒に行くと言ってくれたので、親子デートを楽しむ事にした。
しかし、驚いた。母上の人気に。町を歩けば皆がリーンちゃんと呼びかけてくる。母上を知らない人は居ないのじゃないかと思ったぐらいだ。
僕は母上に手を引かれて一軒の家にやって来た。家の前で母上が大声を出す。
「オジサーン! ご無沙汰してまーす! リーンでーす! お元気ですかー?」
すると奥から見た目六十才くらいの男性が現れた。
「おお、リーンじゃないか。久しぶりだな。おっ、ひょっとしたら次男のコルク様か? 良かったなあ、リーンに似て。ヴァンに似てたら殴ってたトコロだぞ」
いや、物騒すぎますが。自分の町の領主に対する物言いじゃないですよね。
「もう、オジサン。まだヴァンに怒ってるの? もう許して上げても良いじゃない」
母上がそう言うと、
「リーンよ、世の中には許せない事もあるんだよ。ヴァンの野郎が俺にウソをついて、根こそぎウチの鶏を安い値段で買い取って、ボロ儲けしやがったのは領主になる前とは言え、許される事じゃねえ! それはマルコ様にもちゃんと言ってあるからな」
おお、
「それで、今日はどうしたんだ?」
ソコで母上が料理対決に使用する鶏を選ばせて貰いたいとオジサンに言ったら、
「コルク様、選ぶのは良いが俺がダメだと思ったら卸す事は出来ねぇぞ」
と言われた。ソコで僕は料理の説明をして、求める鶏の肉質なんかも説明した。すると、
「良いだろう。それならハードルを少し下げてやろう。俺が選べと言った場所に居る鶏から選んでみな」
そう言って一つの鶏舎に案内された。ソコには立派な鶏冠を堂々と誇らしげに歩く鶏が二十羽いた。
さあ、選べとオジサンに言われた僕はその鶏舎じゃなく、隣の鶏舎から一羽を抱えてオジサンのトコロに行き、
「コレが僕が求める親鶏です」
と伝えた。するとオジサンはニカッと大きく笑い、
「正解だ! さすがリーンの息子だな。俺の引掛けにかからないなんて凄いぞ!」
と言いながら僕の頭をワシワシと撫でてくれた。
そして、その親鶏をキレイに絞めて、絶対勝てよと渡してくれた。
次に母上と一緒に行ったのは町外れの農地で、キレイに草一つ生えてない農地と、少し雑草が生えてる農地とに別れていた。
母上はコルくんはどっちの農地が良いと聞いて来た。
僕が選んだのは……
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