第29話 その後

 何故二人をラターシャお姉さまの離屋敷に連れて戻ったかと言うと、自業自得とは言え魔法師の魔力が枯渇寸前状態こかつすんぜんじょうたいだっから。さすがにそのまま助けた妹さんも一緒にはい、さよならは出来なかったです。

 ラターシャお姉さまには甘いと言われたけど…… 

ねぇ。


 そして二人をしぶしぶながら泊めてくれると言ってくれたので、僕はラターシャお姉さまのほっぺに感謝のキスをした。

 仰向けに倒れるラターシャお姉さま。鼻からは鮮血が。今回は即座そくざ治癒ちゆ魔術をかけさせてもらいました。何故ならお兄さんをベッドに連れて行ったカリーナさんが下に降りて来たから。

 慌てて起き上がるラターシャお姉さまを見てカリーナさんが言う。


「だ、大丈夫ですか? 倒れていた様ですが?」


「大丈夫よ。少しつまずいてしまってね」


「そうですか…… あの、改めて有難うございます。助けていただいて」


「いやいや、もう少し早めに助けられたら良かったんだけど。それより魔法、いやお兄さんの様子はどうですか?」

 

 僕がそう聞くとカリーナさんが少し困った様な顔で返事する。


「はい、兄さんは少し混乱しているようで、お二人に申し訳ない事をしたって言い続けてましたが、やっと寝ました。あの、兄さんは一体何を……」


「うーん、それはまた明日、お兄さんが起きてからお話しましょう。もう夜も遅いし、今日はもう寝ましょう」


「あっ、はい。そうですね」


 カリーナさんが素直にそう返事をした後にラターシャお姉さまがモジモジしながら僕に言ってきた一言。


「コ、コルくんは今日はと、泊まるのかな?」


 うん、今日はお姉さまには迷惑をかけたし、泊まっても良いかな。僕はそう思ってお姉さまに言った。


「泊まっても良いですか? あっ、でもベッドが……」


 そう、今この屋敷の客間に二つあるベッドの一つは魔法師が、もう一つはカリーナさんが使用するだろうから、僕の寝るベッドがない。しかし、ラターシャお姉さまからは、


「わ、私と同じベッドじゃダ、ダメかな? 私は構わないけど……」


 顔を真っ赤にして言うラターシャお姉さまに負けて僕はお世話になりますって返事をしてしまった。


 そして、今からお風呂だと更に遅くなってしまうからと、僕が二人に清潔えいせいをかけて、ラターシャお姉さまが僕にかけてくれた。自分で自分にかけられるけど練習したいって言われたからね。


 それからラターシャお姉さまの部屋に行って二人でベッドに潜り込んだけど、僕を抱え込んでクンカクンカしてるのが丸わかりですよ、お姉さま。それに僕の背中に当たる柔らかいモノが気になって寝れません。

 これは二次性徴促進魔術に違いない。そう、普段は大きくならない僕のイケナイ場所が大きくなろうとピクピクしてるから……

 ダメです、お姉さま。その魔術を止めて下さい。僕はまだしばらくは幼気いたいけな子供のままでいたいんです。


 等と考えていたら寝落ちしてました。朝、目覚めるとお姉さまは既にベッドに居らず、僕は居間に向かった。すると非常にスッキリ爽やかな顔をしたお姉さまとカリーナさんが、キッチンで朝食を作っていた。起きてきた僕を見て、


「コルくん、お早う。顔を洗ってきてね」


 そう言うとお湯の入った手桶を渡してきた。僕はそれを受け取って洗面所に行き顔を洗ってから手桶のお湯を流してから居間に戻った。

 空の手桶を見て少し残念そうな顔をするお姉さまだが、そこは許して下さい。


 それから、魔法師サーパも起きてきて、取り敢えず朝食を食べようと言う時に、玄関の扉が慌ただしく叩かれた。


「師匠、居られますか! 大変なんです! コルクが昨夜から姿を消してしまったんです! 何かご存知じゃないですか!?」


 外から聞こえる祖父おじい様の大声とマアヤやマキヤ、マラヤの泣き声に、大事になっている事が分かる。

 そして、僕とラターシャお姉さまは【しまった、連絡を忘れてた】と言う顔でお互いを見たのだった……

 

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