第11話 スパイがいた
「コルくん。この魔術は君が成人するまでは人の前で見せては行けない。何故なら、君の力を悪用しようとする者が必ず現れるからだ」
ラターシャお姉さまが真剣な顔で僕にそう言ってくれた。僕も真剣な顔でお姉さまに返事をした。
「はい、僕は
僕が精一杯の心を込めてラターシャお姉さまの顔を見てそう誓うと、ラターシャお姉さまの真っ赤になったお顔の鼻から血がタラーと······
『ラタ、鼻血、鼻血!』
『いい加減、治しなさいよ。その性癖は······』
僕は前世の記憶でわかっていたが、ラターシャお姉さまが可哀相なので、知らない振りをしてあげた。
そして、
『コルクよ、先ほどの誓いはもちろん守るにこした事はないが、自分や大切な誰かや何かを守るために必要ならば、
『そうよ、コルク。私達は守るための使用までは禁止しないわ。それはラターシャも同じ気持ちよ』
「それは勿論だ。コルくん、家族や仲間を守れる者がコルくんしか居ない時には、魔術を使用して構わないからな」
「はい、分かりました!」
僕は大きな声で返事をした。
それからも僕は地下で試せる魔術は試して、それ以外は書物を熟読して過ごした。そして、七才になり冒頭に戻る。
マアヤが僕に話しかける。
「コルク様、最近はあの難しい書物をお読みになってないんですね」
「うん、マアヤ。そうなんだよ。飽きてしまってね」
「まあ、コルク様がそんな事を仰るなんて。でもそうですね。まだコルク様も七才ですから、お外で過ごされるのも良いかとマアヤは思います」
「そうだね。僕もそう思うよ」
僕は今、悲しい気持ちを押し隠してマアヤと歩いていた。実は
僕が地下に行ってる間に僕の部屋をゴソゴソと探し物をしていたり、僕が部屋にいるときは地下室に行って探し物をしているようだ。
どうやら【魔術大全の書】を探しているらしい。
僕がそんな事を思っていると、マアヤが僕に言ってきた。
「コルク様、飽きられたのならあの大きな書物は邪魔でしょう? 私が処分しておきますので後で渡していただけますか?」
マアヤ、ダメだよ。そんな事を言っちゃ。だって僕はマアヤにも言ったよね? この書物はカインズ公爵家にとって大切な書物だって。それとも六才の子供が言ったから覚えてないだろうって思ったのかな? 僕はマアヤとの楽しかった思い出が溢れてきて、涙を溢した。そんな僕を見てマアヤが慌てる。
「コルク様、どうなさいました? どこか、怪我でも?」
「うん、マアヤ。僕は心に大きな傷が出来たよ」
泣きながらそう言った僕は、辛いけれど僕が対処すると、マアヤに真相を聞くと、
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