第9話 お姉様はショタ?
その翌朝、僕は朝から書物を読んでいた。まだページは進んでないけど、この
この人は何よりも魔術が好きで、そして研究をして、でも人を傷つけたくなくて、言葉を変えて悪い人にこの強力な魔術が伝わらないように考えたんだ。
冗談めかして書いてる文章の端々に、人を傷つけちゃいけないってメッセージが隠れている。自分の大切なモノを守る為に、魔術はあるんだと伝わってくる。
僕はその隠されたメッセージに気がついたんだ。
そのメッセージに気がついた僕はこの魔術を使用する場合は守る為に限定しようと心に誓った。現在では誰も使えないこの強力な魔術は、使う人間次第では恐ろしい凶器となる。僕は自戒を込めてそう誓ったんだ。
それからの僕は更に書物を熟読していった。やっぱり一週間あっても全部のページを読む事は出来なかったんだけど、初歩魔術から中級魔術までは完璧に覚える事が出来た。その中で【
僕が地下の訓練場に行くと、
「全く、死んでも人使いが荒いな。それで、ここで良いのか?」
『ええ、そこで良いわ。それに折角貴女に作ってもらったけど、私達じゃ運ぶ事も出来ないんだからしょうがないじゃない』
『あら、コルク。ちょうど良い所にきたわね。さあ、的の設置は終わったから、火の魔術を打ってみなさい』
どうやら女の人の紹介は後のようだ。その女の人も黙って的から僕の方にきて、横に立った。
僕は言われるがまま的に向かって魔術を打つ。
「
前回と同じく青い火の球が的に向かって飛び、直撃した。今回の的は溶けずにそのままの形を保っている。凄い、これならいけそうだ。
僕はそのまま他の魔術を打ってみた。
「
「
「
「
闇以外の初歩魔術を全て打ってみたが、的は平然とそこに立っていた。
「凄いです!
僕がそう言うと黙ったまま僕の横に立っていた女の人が
「私が作った的はそう簡単に壊れたりはしない。しかし、君の唱える魔術は変わっているな。初歩だと言うが火の魔術は最上級魔術の【ヘルファイア】クラスの火力があるようだ」
と言ってきた。そこで僕は素直にお礼と共に素性を尋ねたんだ。
「お姉さん、凄い的を作ってくれて設置までしてくれて有り難うございます。僕はコルクといいます。お姉さんのお名前を教えてください」
僕がそう聞くと女の人は顔を赤くして鼻の部分をおさえた。それを見て笑う
「わ、笑うな! サラシ、マーヤ! 私は鍛冶師のラターシャという。生前からサラシとマーヤとは友人付き合いをしていた。二人が亡くなってからも付き合いが続いているが······ まあ、よろしくなコルク少年」
「はい、ラターシャお姉さま!」
僕の返事でまた顔を赤くして鼻の部分をおさえるラターシャさん。そんなに変な返事はしてない筈なんだけどな。
『ワッハッハッハッ、ラタよ。ウチのひ孫に惚れるなよ』
『ラターシャ、貴女のその趣味は変わってないのねぇ·······』
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